副甲状腺ホルモン製剤(骨粗しょう症治療薬)
骨を作る細胞(骨芽細胞)の機能を活性化し骨をつくる過程である骨形成を促進させることで骨粗しょう症による骨折などの危険性を低下させる薬

副甲状腺ホルモン製剤(骨粗しょう症治療薬)の解説

副甲状腺ホルモン製剤(骨粗しょう症治療薬)の効果と作用機序

  • 骨を作る細胞の機能を活性化し骨をつくる過程を促進させることで骨粗しょう症による骨折などの危険性を低下させる薬
    • 骨粗しょう症では骨を壊す過程(骨吸収)が骨を作る過程(骨形成)を上回り骨量が低下して骨折などの危険が伴う
    • 副甲状腺ホルモンは断続的に途切れ途切れ投与すると骨を作る細胞の機能が活性化し骨形成が促進される
    • 本剤は副甲状腺ホルモンの製剤で骨形成を促進させる作用をあらわす
  • 投与期間の制限(上限)が決められている

副甲状腺ホルモン製剤(骨粗しょう症治療薬)の薬理作用

骨粗しょう症では骨を壊す細胞(破骨細胞)と作る細胞(骨芽細胞)のバランスが崩れることで、骨がもろくなってしまい、転倒などにより骨折する危険性が高くなる。

骨が壊される過程を骨吸収、骨が新たに作られる過程を骨形成といい、骨形成は骨芽細胞の働きによって行われる。副甲状腺ホルモンは骨吸収を促進することで血液中のカルシウム濃度を上げる。これはこのホルモンによって骨のカルシウムが血液中に溶け出しているからであり、常に副甲状腺ホルモンがある場合では骨吸収が継続して骨がもろくなる。しかし、副甲状腺ホルモンを断続的に途切れ途切れで投与し、 “一時的に”副甲状腺ホルモンの濃度を高めると骨芽細胞の機能が活性化し、骨形成が促進されることが確認されている。

本剤は副甲状腺ホルモンを断続的に途切れ途切れ投与する製剤であり、骨芽細胞を活性化し骨形成を促進させることで骨粗しょう症を治療する薬となる。本剤は過度に投与量を増やしたり投与期間を長くすると、骨吸収が骨形成を上回り結果として骨量が減少したり、骨肉腫の発生確率が高くなるなどの懸念があるとされ、投与を継続する最長の期間が決められている。

副甲状腺ホルモン製剤(骨粗しょう症治療薬)の主な副作用や注意点

  • 消化器症状
    • 吐き気、食欲不振、嘔吐、胃炎、口渇などがあらわれる場合がある
  • 精神神経系症状
    • 頭痛、めまい、眠気などがあらわれる場合がある
  • アナフィラキシー
    • 頻度は非常に稀である
    • 皮膚のかゆみ、じんま疹、声のかすれ、息苦しさ、動悸などがみられる場合がある
    • 上記のような症状がみられた場合は放置せず、すみやかに医師や薬剤師に連絡する

副甲状腺ホルモン製剤(骨粗しょう症治療薬)の一般的な商品とその特徴

フォルテオ

  • テリパラチド製剤
  • 通常、1日1回、自己注射により投与する製剤
  • 本剤の投与は24ヶ月間までとする

テリボン

  • テリパラチド製剤
  • テリボン皮下注用56.5μg
    • 通常、1週間に1回、病院やクリニックなどの医療機関で注射により投与する製剤
  • テリボン皮下注28.2μgオートインジェクター
    • 通常、1週間に2回(1日1回の投与で、投与間隔は原則3〜4日間隔)、注射により投与する製剤
    • オートインジェクターに関して
      ・在宅での自己投与も可能
      ・投与時に注射針の付け替えが不要な1回使い切りタイプ
      ・キャップを外して投与部位に押し付けるという2ステップで投与可能
  • 本剤の投与は24ヶ月間までとする

オスタバロ

  • アバロパラチド製剤
  • 通常、1日1回、電動式注入器(オスタバロインジェクター)を用いて注射により投与する製剤
  • 本剤の投与は18ヶ月間までとする