Kチャネル遮断薬(III群抗不整脈薬)
脈に関与する電気信号の一つであるK(カリウム)イオンの通り道を塞ぎ、乱れた脈を整える薬
同義語:
カリウムチャネル遮断薬

Kチャネル遮断薬(III群抗不整脈薬)の解説

Kチャネル遮断薬(III群抗不整脈薬)の効果と作用機序

  • 脈に関与する電気信号の一つであるK(カリウム)イオンの通り道を塞ぎ、乱れた脈を整える薬
    • 不整脈は何らかの原因で脈が速くなったり、遅くなったり、リズムが乱れる
    • 脈(脈拍)はNa(ナトリウム)やKなどの金属イオンが電気信号となり、これらのイオンが心筋細胞に出入りすることによっておこる
    • 本剤はKイオンの通り道であるKチャネルを遮断し、脈の乱れを整える作用をあらわす
  • 不整脈薬はその作用などによって、I~IV群に分類される
    • 本剤はIII群に属する薬剤となる

Kチャネル遮断薬(III群抗不整脈薬)の薬理作用

普段は一定のリズムで脈を打っている心臓が、何らかの原因で脈が速くなったり、遅くなったり、リズムが乱れたりする状況をまとめて不整脈という。

脈(脈拍)は心臓の拍動による振動が末梢血管に伝わったものであり、心臓の拍動は心筋細胞の活動によっておこる。心筋細胞は電気信号(活動電位)によって活動し、この電気信号に乱れが生じることで不整脈がおこる。電気信号にはNa(ナトリウムイオン)Ca2+(カルシウムイオン)K+(カリウムイオン)といった+(プラス)の電荷をもった金属イオンが関わり、通常は心筋細胞内にNaが流入し細胞の活動が始まり、Kが細胞外へ放出されて活動がおさまる。しかし不整脈では活動がおさまる前に何らかの原因によって普段はおこらないところで心筋細胞の活動がおこることがある。これを回避・改善するにはKの放出を阻害して心筋細胞の活動時間を延長してあげることが方法の一つとなる。

本剤は心筋細胞におけるKの通り道であるKチャネルを阻害し、Kの放出を抑え心筋細胞の活動時間を延長することによって脈を整える作用をあらわす。抗不整脈薬はその作用などにより、I群からIV群までに分類されるが、本剤はIII群に属する薬剤となる。また、本剤の中には他の群に属する抗不整脈薬の主な作用を合わせもつ薬剤もある。

Kチャネル遮断薬(III群抗不整脈薬)の主な副作用や注意点

  • 消化器障害
    • 吐き気、嘔吐、下痢などがあらわれる可能性がある
  • 不整脈作用による心不全など
    • 稀に既存の不整脈を悪化させたり、新たな不整脈を誘発させる場合がある
    • 動くと息苦しい、疲れやすい、足がむくむ、急に体重が増えた、めまい、動悸、胸が痛むなどの症状がみられる場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する
  • 肝機能障害
    • 頻度は稀である
    • 倦怠感、食欲不振、発熱、黄疸などがみられ症状が続く場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する

Kチャネル遮断薬(III群抗不整脈薬)の一般的な商品とその特徴

アンカロン

  • 他の種類に属する抗不整脈薬の作用ももつ
    • I群からIV群までの抗不整脈薬の主な作用を合わせもつ薬剤
  • 特に注意すべき重篤な副作用である肺機能障害に関して
    • 息切れ・息苦しさ、空咳が出る、発熱などがみられ、これらの症状が急に出現したり、持続したりする場合がある
    • 上記のような症状がみられた場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する

ソタコール

  • Kチャネル遮断作用以外の作用(β遮断作用)に関して
    • β遮断作用により心臓の心拍数を減らし収縮力を抑える作用ももつ
    • β遮断作用により気管支収縮作用があらわれ喘息発作がおこりやすくなる可能性がある
    • 原則として、気管支喘息をもつ患者へは使用しない