ジピリダモール製剤(抗血小板薬)
血小板凝集を抑え血栓を抑える作用や冠動脈を拡張させる作用をあらわし、血流を改善することにより心疾患や腎疾患などの症状を改善する薬

ジピリダモール製剤(抗血小板薬)の解説

ジピリダモール製剤(抗血小板薬)の効果と作用機序

  • 血小板凝集を抑え血栓を抑える作用や冠動脈を拡張させる作用をあらわし、血流を改善することにより心疾患や腎疾患などの症状を改善する薬
    • 血小板が凝集すると血液が固まりやすくなり血栓ができやすくなる
    • 体内には血小板凝集を促進する物質や血小板凝集を抑える物質がある
    • 本剤は血小板凝集を促進する物質の阻害、血小板凝集を抑える物質の合成促進作用などにより抗血小板作用をあらわす
    • 本剤には冠動脈を拡張させ心臓への血液循環を改善する作用もある
  • 尿タンパクを減少させる作用によりネフローゼ症候群などの腎疾患へ使用する場合もある

ジピリダモール製剤(抗血小板薬)の薬理作用

体内で血小板の凝集がおこると血液が固まりやすくなり、血栓ができやすくなる。体内で血小板の凝集を抑える物質にプロスタサイクリン(PGI2)があり、PGI2は血管の拡張作用などももつ。また体内で血小板凝集を促進させる物質にトロンボキサンA2(TXA2)がある。

本剤はPGI2の放出促進作用やTXA2の合成阻害作用をあらわす。また本剤は体内で血小板凝集促進に関わるホスホジエステラーゼ(PDE)という酵素や血小板凝集を抑える作用をもつcAMPという物質に作用し、PDE阻害作用及びcAMP合成促進作用により血小板凝集を抑える作用をあらわす。本剤はこれらの作用により、血小板凝集を抑えて血栓の形成を抑える抗血小板作用をあらわす。

本剤は抗血小板作用の他に冠動脈拡張作用をもち心臓に血液を循環させることより、狭心症、虚血性心疾患などに使用される。また尿は腎臓の糸球体というところで作られるが、糸球体の毛細血管で血液凝固がおこると糸球体の炎症が促進し尿にタンパク質が混ざるようになる。本剤は糸球体の毛細血管での血液凝固を阻害する作用をもち、ネフローゼ症候群などでの尿タンパク改善目的で使用される場合もある。

ジピリダモール製剤(抗血小板薬)の主な副作用や注意点

  • 出血傾向
    • 頻度は非常に稀である
    • あおあざができやすい、皮下や歯茎の出血、鼻血などの症状がみられた場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する
  • 精神神経系症状
    • 頭痛、めまい、倦怠感などがあらわれる場合がある
  • 循環器症状(頻度は非常に稀である)
    • 心悸亢進、頻脈、血圧低下などがあらわれる場合がある

ジピリダモール製剤(抗血小板薬)の一般的な商品とその特徴

ペルサンチン

  • 錠剤や注射剤があり用途などによって選択される

アンギナール

  • 散剤があり、嚥下機能の低下した患者などへのメリットが考えられる
    • 川崎病など小児へ使用する場合は散剤は特にメリットとなることがある