バルビツール酸系睡眠薬
脳の覚醒を抑え、眠りやすくしたり、不安や緊張を鎮めたりする薬
バルビツール酸系睡眠薬の解説
バルビツール酸系睡眠薬の効果と作用機序
- 脳の覚醒を抑え、眠りやすくしたり、不安や緊張を鎮めたりする薬
- 睡眠障害は脳が過度に覚醒している状態などによってもおこる
- 脳の大脳皮質や
脳幹 というものが脳の覚醒に関わっている - 本剤は大脳皮質や脳幹に作用して脳の覚醒を抑えることで、眠気や鎮静作用をあらわす
- 作用持続時間により主に以下に分類される(作用時間の短い順に記載)
- 短時間作用型
- 中間作用型
- 長時間作用型
- 薬剤によっては麻酔薬を効きやすくする目的で麻酔前に使われるものもある
バルビツール酸系睡眠薬の薬理作用
睡眠障害(不眠)は睡眠になんらかの問題がある状態で、寝つきが悪い、途中で目が覚めてしまうなどの様々なパターンがある。睡眠薬は脳の活動を抑えることで、眠気などを誘発させて睡眠障害を改善する。
本剤(バルビツール酸系睡眠薬)は脳の大脳皮質や脳幹に作用して、脳の覚醒を抑えることで、眠気や鎮静作用をあらわす。薬剤の作用持続時間により作用の短い順に、短時間作用型(短時間型)、中間作用型(中間型)、長時間作用型(長時間型)に分けられる。以下は主な薬剤例。
- 短時間作用型:ペントバルビタール(商品名:ラボナ)
- 中間作用型:アモバルビタール(商品名:イソミタール)
- 長時間作用型:フェノバルビタール(主な商品名:フェノバール)
また本剤の催眠・鎮静作用を利用して、麻酔薬の効果を高めるため麻酔前に使用する薬剤もある。
なお、本剤は有用な催眠作用をあらわす一方、依存や耐性が生じやすく、血中濃度の上昇に伴い呼吸中枢や血管中枢などへの抑制作用が増強するため仮に過量投与となった場合に呼吸麻痺などの重篤な症状を引き起こす懸念が大きい。また薬の中断によってせん妄や痙攣発作などの退薬症候を生じることが考えられるため、睡眠改善目的での限定的となっていて、慢性的な不眠の改善に使われる睡眠薬としては本剤に比べ依存や耐性などの懸念がより少ないベンゾジアゼピン系睡眠薬や非ベンゾジアゼピン系睡眠薬などが主流となっている。
バルビツール酸系睡眠薬の主な副作用や注意点
- 呼吸抑制
- 呼吸機能が低下している患者へは原則として使用しない
- 幼小児、高齢者、虚弱者などには特に慎重に投与する
- 連用によって薬物依存が生じることがある
- 催眠・鎮静作用における注意
- 自動車の運転など危険を伴う機械の操作は控える
- アルコールの摂取により作用が増強する場合があるので原則として控える