NTT東日本関東病院
〒 141-8625 東京都 品川区東五反田5-9-22
患者のための診療とは― ロボット手術のエキスパートに聞く

患者のための診療とは― ロボット手術のエキスパートに聞く

PR NTT東日本関東病院 泌尿器科部長 志賀淑之医師

ダヴィンチと呼ばれるロボット手術を知っているだろうか。前立腺がんや腎臓がんなどで用いられるこの手術は、身体の深い部分や狭い部分の手術を容易にするという利点を有する。一方で、ダヴィンチを用いると直接手で触ることができないので手術中の判断などで経験が必要となる場面も多い。
今回はそのダヴィンチを用いた手術の第一人者である志賀淑之医師に話を聞いた。話を聞いていくうちに、手術の腕だけでない彼の魅力が浮き彫りになってきたのである。

国内トップクラスの執刀経験が支える安全で確実なロボット手術

NTT東日本関東病院の泌尿器科は年間のべ2万5000人以上の外来患者を受け入れ、年間400件を超える手術を行っている。腎臓がん、膀胱がん、前立腺がん、前立腺肥大、尿路結石などの治療を行いながらも、がん組織以外の正常な部分をできる限り残すという臓器温存の視点に立つ。最も注目すべきは、最新鋭の手術支援ロボット「ダヴィンチXi」を導入したロボット手術を年間160件も実施していることだ。国内のロボット手術の事情は年間50件でも多い方であり、まして100件を上回る病院は限られる。この圧倒的な数字を支えるのが部長の志賀医師である。開腹手術800件、ロボット手術480件という突き抜けた執刀経験を持ち、現在はロボット支援下の前立腺全摘除術や腎部分切除術に力を入れている。

ロボット手術は、体内に挿入した内視鏡カメラとロボットアームを遠隔操作して行う最新鋭の手術法で、「安全」「確実」「低侵襲(身体へのダメージが少ない)」を実現する。これまでの開腹手術では目が届きにくかった身体の深くに位置する部分もはっきりと見えるようになり、病気の部分のみを高い精度で取り除くことができる。体の傷も腹部に1cm前後の穴を数カ所開けるだけであり、最小限に抑えられ、出血量も少なくすることができる。前立腺全摘除術を志賀医師が執刀した場合、1時間30分ほどの手術時間で出血量は30ml程度に留まる。この数字は一般的なロボット手術の半分以下というから驚きだ。また、「患者さんの痛がり方が全然違いますね」と志賀医師が話すように、開腹手術と比べて痛みが小さいことは患者にとって大きな魅力となる。「手術後3日目くらいまでの体調の立ち上がり方は圧倒的にロボット手術をお受けになった患者さんの方が楽そうです。翌日からしっかりと歩いておられますね」。つまり、より早く健康な身体に回復することを可能にしているのである。

術後の尿もれ期間を短縮― 合併症を最小限にしていち早い社会復帰を目指す

前立腺がんの手術では、排尿障害や勃起障害(ED)などの合併症を心配する患者が多い。その不安に対して「合併症はほとんど出ていません」と志賀医師は強調する。「学会に出たり論文を読んだりして、うちの成績はトップクラスなんだと自覚しています」というから頼もしい。

たとえば、術後に起こる尿失禁(尿もれ)は患者の生活の質(QOL)の低下に直結する。一般的に尿もれは術後1年が経てばたいていが解消されるのだが、いかにその期間を短くできるかが医師の腕の見せどころとなる。志賀医師によると、尿パッドを一日2枚以上使用する患者の割合は、全国平均で術後3カ月60〜70%、6カ月30%、9カ月15〜20%。一方、志賀医師が執刀した患者では、術後3カ月20%、6カ月10%で、9カ月もすればほとんどいなくなるという。さらに、腹圧性尿失禁や切迫性尿失禁を予防するために、骨盤底筋体操という失禁に関わる筋肉をトレーニングするリハビリを勧めている。やり方をまとめた冊子をつくるなど、患者の術後QOLを高め、いち早い社会復帰を後押しする工夫を行っていることがわかる。

その一方で、EDなどの性機能への対応についてはジレンマを感じることもあるという。男性患者にパートナーがいる場合、性機能の温存は本人だけの問題ではなくなってくるからだ。「私たちがやったこと、患者さんが望んだこと、パートナーの気持ち、それぞれにギャップがあることもあるのです」と話す志賀医師は、患者の背景にあるパートナーとの関係性にも配慮しながらアプローチをしていくという。

志賀淑之医師の写真01

ひと目でわかる手術説明― 3Dプリンターで実物大模型をつくる試みも

「どんな手術をするんだろう」。こうした疑問や不安を患者が抱えているのは言うまでもないが、医師もまた「どうやったら患者さんに伝わるんだろう」と思いを巡らせている。たとえば、CTやMRI検査で撮影すると身体を輪切りした二次元の画像を目にする。このような画像を見慣れている医師は頭の中で三次元化して立体的に見ることができるが、多くの患者にとっては何が何なのかわからないのだ。

そこで志賀医師は、3Dプリンターに着目。腎臓がん患者であれば、本人のCTやMRI検査のデータから腎臓の実物大模型をつくり、それを見せながら手術方法を説明するといった斬新な試みを行っている。模型をつくるのは、4例に1例程度で、腎部分切除術といった複雑な手術で、模型があった方が患者がイメージしやすいと考えた場合だ。手術で摘出する部分が外れる仕掛けをあらかじめつくっておき、患者の目の前で実際に“摘出”して見せる。患者のお腹の上に置くこともできるため、手術に対する実感が得られ、ほかの臓器や血管との位置関係も格段に把握しやすくなる。志賀医師は「今まで100説明したうちの50しか伝わらなかったのが、100わかっていただけるようになりました」とその絶大な効果を実感している。

この試みは患者の単なる理解を助けてくれるだけではないという。手術内容が手にとるようにわかることで、患者は手術を受けることへの覚悟を持つようになるのだ。「これががんなんだ。取らなきゃいけないんだって納得していただけるんです。手術の世界が具体的に見えることで、『わかりました。手術します』と患者さんの心のなかでいい意味での“諦め”がつくんだと思います」と志賀医師は分析する。

志賀淑之医師の写真02

何度も病室に来てくれる医師― 自らの“患者経験”での気づきを生かす

手術に対して人並み以上の努力を重ねる志賀医師だが、病室では患者に顔を見せることを大切にしている。研修医時代は一日6回、部長で多忙を極める現在でも一日3回、患者のもとを欠かさず訪れるようにしている。入院経験のある人からすれば目を見張る回数ではないだろうか。「自分が執刀した患者が気になるというのもありますが、やはり顔を出してあげたいんですよね」。

実は、こうした患者との関係性へのこだわりには志賀医師の“患者経験”が生かされている。「子どものころは身体が弱かったんです」と振り返るように、志賀医師は幼少期から病院や医師を身近な存在として過ごしてきた。医師になってからも3回の入院を経験している。自ら病室のベッドの上で感じたのは医師との目線の違いだった。「腕を組んで話すとか、なんとなく上から目線で見られているのがわかったんですよ」。志賀医師は、患者の目を見て話すことはもちろん、患者がベッドに横になっているときは、ひざまずいて目線を同じ高さに合わせて話すようにしている。

「きょうは来なかったなぁって思わせたくない」。穏やかな口調で志賀医師は続ける。「やっぱり患者さんは医者の話を聞きたいんだと思う。特に診察することがなくても、どうですかって身体をさすってあげたり、手を握ってあげたり、点滴入っているところを痛くないですかって見てあげたり。ちょっとしたことなんですけど、日々、患者と医者の触れ合いを大切にしています」と話す視線は真っ直ぐである。

「医者に聞いていけないことはない」患者の気持ちを汲み取る姿勢が不可欠

患者に対する思い入れが強い志賀医師からは患者に呼びかける言葉が次々に出てくる。「医者に聞いていけないことはひとつもない」というのもそのひとつ。志賀医師には「患者は嘘をつかない」という信念がある。患者が何か言いたがっているときは、その後ろに必ず何かあるはずで、医者はその気持ちを理解するように努めなければいけないというものだ。だからこそ、志賀医師は患者との普段の何気ないコミュニケーションも大切にしている。「僕は病気を治すお手伝いをしているだけなんですよ。患者さん本人の気持ちがあってこそ僕はお手伝いできるのです。結果として、この人に診てもらってよかったなぁと思ってもらえるように努力していきたいですね」。

診療科によって特色は異なるが、泌尿器科の医師は一人の患者を初診から検査、診断、手術、術後ケア、そして看取りまで、そのすべてに携わっている。だからこそ、志賀医師のように患者一人ひとりに丁寧に寄り添い、その気持ちを汲み取ろうとする姿勢が患者にもたらす影響は計り知れない。

志賀淑之医師の写真03

【聞き手のひとこと】

小生が研修医の頃、回診を一生懸命行った。患者さんの様子をひとつも漏らしたくなかったし、できることが少ないからこそ患者さんのそばで一生懸命でありたかった。しかし、できることが増えて仕事が増えてくると、どうしても回診の回数が減ってしまうのである。それなのに、多くの手術をこなし部長職もこなしながら、一日に3回も回診を行う医師がいることに純粋な敬意を覚える。一流の腕を賞賛されながら決して初心を忘れない姿勢に、多くの患者が救われることであろう。「この人にお願いしてよかった」と思えることで、身も心も軽くなるのである。

MEDLEY社医師 園田唯

NTT東日本関東病院の基本情報・アクセス

施設名

NTT東日本関東病院

エヌティティヒガシニホンカントウビョウイン

住所 〒 141-8625 東京都 品川区東五反田5-9-22
電話番号 03-3448-6111
アクセス 山手線 五反田下車 徒歩7分 東急池上線 五反田下車 徒歩10分 浅草線 五反田下車 徒歩5分
駐車場 無料 - 台 / 有料 150 台
病床数 合計: - ( 一般: 578 / 療養: - / 精神: - / 感染症: 628 / 結核: -)
Webサイト http://www.ntt-east.co.jp/kmc/

この情報は、厚労省および都道府県が公開する情報に基づいています。最新の情報についてはNTT東日本関東病院へ直接お問い合わせください。

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