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ステロイド治療の効果と副作用は?また免疫抑制薬とは?重症筋無力症の治療について解説(2/3)

解説記事  最終更新: 2015年8月4日

重症筋無力症免疫異常によってが開きにくい、口が開きにくい、飲み込みにくいといった目や口の症状が起きたり、腕が上がりにくい、立ち上がりにくいといった全身の筋力低下が起こる病気です。前回のページでは重症筋無力症の治療法の概要について紹介しました。ここでは具体的な治療法としてステロイド治療および免疫抑制薬の概要と効果、副作用について紹介します。

 

重症筋無力症に対するステロイドによる治療

重症筋無力症の治療の中核は免疫療法であり、ステロイドによる治療はさらにその中核となるものです。上でも述べたように、飲み薬として使う場合と点滴で使う場合があります。

①飲み薬として使う場合

ステロイドはまず治療を開始する際には飲み薬として使用します。飲み薬としてのステロイドはプレドニン®という薬が使われます。この際に注意しなければならないのは、重症筋無力症ではステロイド投与開始時に、一時的に症状が悪くなってしまう「初期増悪」と呼ばれる現象があることです。従って、飲み薬を始める際には、注意深く少量から使っていく必要があります。まずは5-10mg/日から始めて、徐々に増やしていきます。その後、高用量投与、すなわち50-60mg/日までステロイドの量を増やしていきます。ステロイドの投与は隔日、すなわち一日おきに投与することが多いです。

病気が落ち着いてきたらステロイドの量を徐々に減らしていきますが、これもゆっくり減らしていくことが多いです。ステロイドを減らす際には、臨床症状にくわえ反復誘発筋電図検査の結果を参考にします。

ステロイドを服用していると、易感染性(免疫が抑えられてしまうために感染症にかかりやすい)など、注意しなければならない副作用が色々と出てきますので、一定量以上ステロイドを服用している期間は入院して治療を受けることになります。

②点滴として使う場合

いわゆる「ステロイドパルス療法」です。他の病気でもよく使われる治療法で、ステロイドを注射で3日間ほど大量投与します。重症筋無力症の症状が急に悪くなってきた時に行うもので、速やかに効果が得られる上に、副作用が比較的少ない治療法です。しかし、重症筋無力症の治療を始める際にいきなりステロイドパルス療法を行ってはいけません。ステロイドを使用する際は初期増悪があると上で述べました。ステロイドパルス療法は大量にステロイドを点滴で投与する治療法であるために、いきなり行ってしまうと初期増悪がみられる可能性がかなり高くなります。従って、ステロイドの飲み薬を少量使用してしばらくしてから行うことになります。

 

重症筋無力症の免疫抑制薬による治療

免疫治療にはステロイド以外にも免疫抑制薬という薬を使った治療もあります。重症筋無力症の治療に用いられるのはシクロスポリン(ネオーラル®)とタクロリムス(プログラフ®)です。ステロイド治療による効果がいまひとつである場合に用いられます。

また、免疫抑制薬を併用すると、飲み薬のステロイドの量を減らせるというメリットも有ります。これについては後でまた説明します。

 

以上の免疫療法でも効果が限定的な場合、以下の治療を組み合わせて用いることがあります。

免疫グロブリン大量療法(IVIG)

IVIGも他の多くの病気で使われています。中等症から重度の重症筋無力症の治療に用いられます。重症筋無力症の症状が急に悪くなってきた時に短期間で効果が得られる有効な治療法です。②の血液浄化療法と比べると簡単に行える(点滴のみ)ため、比較的よく用いられます。

②血液浄化療法

こちらも適応は基本的にはIVIGと同様です。重症筋無力症の症状が急に悪くなってきた時に行います。抗アセチルコリン受容体抗体が陰性の重症筋無力症に対しても、これは有効であることが知られています。

この治療を行う際には、腎臓が悪い方が血液透析治療で使うような体外循環装置が必要であり、IVIGよりも大掛かりな治療法となります。

次のページでは重症筋無力症に対する手術治療や抗コリンエステラーゼ治療、また近年の治療法の考え方の一例と今後の展望について紹介します。

http://medley.life/expositions/item/55bfae8ab5d46ec501605746

 




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