がいはんぼし
外反母趾
足の親指が体の外側(小指側)を向いて変形してしまう状態
4人の医師がチェック 15回の改訂 最終更新: 2022.03.11

Beta 外反母趾のQ&A

    外反母趾の保存療法(薬、リハビリ、装具)について教えてください

    外反母趾は、足の親指が小指側に曲がって(外反)変形し、「くの字」になる状態です。年齢を重ねるとともに変形が強くなりやすく、進行すると歩くだけで痛みがあらわれることもあります。まずは保存療法を行い、それでも痛みがひどい場合や変形が強い場合には手術療法を行います。

    外反母趾の保存療法として、まず第一に足に良い靴を選ぶことが大切です。具体的には以下のことが挙げられます。

    • 靴のつま先の部分が広く、足趾(足の指)の動きを妨げないもの

    • ヒールの低いもの(3cm以下)

    • 足のサイズが合っているもの

    • 土踏まずをサポートする靴

    そのほか、外反母趾の治療で薬物療法、装具療法、リハビリテーションを行います。

    ■薬物療法

    • 非ステロイド性消炎鎮痛薬(湿布、塗り薬、飲み薬など)の使用

    ■装具療法

    • 足底板を靴に挿入する

      • 特殊な中敷を靴の中に挿入することで「土踏まず」や足の甲の膨らみを作っている足裏のアーチを支え、足の変形を矯正する
      • 足底板は病院で作成することができる
    • 足の親指に装着するバンドや足のすべての指の間に挟む矯正装具を使用する

    ■理学療法(リハビリテーション)

    • 足の指の動きを良くする

      • 手指を使って足ゆびを曲げたり広げたりして動かし、ストレッチを行う
    • 足の指の掴む筋肉をつける

      • タオルを足の指でつかんで寄せる運動(タオルギャザー)を行う
      • 足の指でグーチョキパー運動を行う
      • 下駄やサンダルなど鼻緒のついた履物で歩いたり、裸足で歩くことも良い

    外反母趾は適切な治療により症状の改善や進行の予防ができる病気です。足の親指の変形や痛みがあれば、早めに病院へ受診しましょう。

    外反母趾の原因、メカニズムについて教えて下さい。

    外反母趾とは、足の親指が人差し指側にくの字に曲がってしまう疾患です。原因は、足に合わない靴を履くことであるといわれています。爪先の細い靴や、ハイヒールなどを履くと親指の付け根に負担がかかり、徐々に変形していきます。偏平足(土踏まずがつぶれている足)の人もなりやすいとされています。また、中年期以降では、肥満や筋力低下によっても引き起こされます。

    外反母趾は、どんな症状で発症するのですか?

    外反母趾の症状は、足の親指の変形と、親指の付け根の痛みです。親指の付け根を押したり、靴を履いたりするとその部位が痛みます。徐々に、靴を脱いだ状態や安静にした状態でも痛み出し、歩くことが難しくなる場合もあります。

    外反母趾が重症化すると、どのような症状が起こりますか?

    外反母趾が重症化すると、靴を脱いでも痛みが続きます。土踏まずが潰れてきて、足の親指や人差し指の腹の方まで痛みが出ます。親指の変形によって、人差し指が足の甲側に脱臼する場合もあります。その時は、人差し指が靴に当たり痛みが出る場合もあります。

    外反母趾は、どのように診断するのですか?

    外反母趾は、目で見て明らかに足の親指が変形しているため、変形を認めた場合に外反母趾を疑います。X線(レントゲン)検査を行い、足の変形の具合をみます。この時、立った状態で検査を行います。体重をかけないで検査を行うと、足の変形の程度が低く評価されやすいためです。

    外反母趾の治療法について教えて下さい。

    治療法は、主に保存療法と手術療法の2つに分けられます。保存療法は、足に合った靴を履く、減量をする、装具や痛みを薬で抑える、理学療法(リハビリ)をして足を鍛えるといった方法があります。手術療法は、変形がひどく、靴を脱いだ状態でも痛みが続く場合に選択します。手術の種類は様々ですが、足の指の骨を切り、変形を矯正して、固定する方法がよく用いられます。

    外反母趾では入院が必要ですか?通院はどの程度必要ですか?

    手術をする場合でも、日帰りで行える場合が多く、入院を必要としないケースが多いです。手術方法にもよりますが、手術は腰椎麻酔か局所麻酔で、1時間程度で終わります。翌日から歩くことはできますが、最初はつま先に体重を掛けられない場合もあり、装具を使いながら歩く練習をします。元の靴が履けるようになるには2ヶ月ほどかかります。

    外反母趾に関して、日常生活で気をつけるべき点について教えて下さい。

    主な原因は、足に合わない靴を履いていることです。サイズが合っていない靴や、つま先が狭い靴、ハイヒールなどは、外反母趾を悪化させますので、足に合った靴を履きましょう。また、肥満であると、足に負担がかかりますので、体重を減らすことも重要です。

    外反母趾は、完治する病気ですか?あるいは、治っても後遺症の残る病気ですか?

    一度変形してしまった骨は、元に戻すことができません。完治させるには手術をして、関節を矯正するしかありません。軽症のものであれば、装具療法や理学療法(リハビリ)によって、症状を軽減させたり、変形を食い止められる可能性があります。

    外反母趾に対して、自分でできるリハビリはありますか?

    外反母趾に対して、足の指の筋力を鍛えることが大切です。自分でできる簡単な体操としては、座った状態または寝た状態で、足の指をグーチョキパーと開く運動があります。寝る前やテレビを見ながらなど、空いた時間をみながら、運動しましょう。

    外反母趾に関して、仕事の都合などでヒールのある靴を履かなければならない場合はどうしたらよいですか?

    仕事の都合でヒールのある靴を履かなければならないことがあるかと思います。なるべくヒールの高さは低めで、ヒール部分が太く足が安定するものを選びましょう。足首や足の甲にストラップが付いている物だと、さらに足が安定し、親指にかかる負担が軽減されます。長時間の着用は避け、椅子に座っている間は、サンダルを使うなど、ヒールの着用は必要最低限にしましょう。適度に靴を脱いで足の指をグーパーと動かしましょう。靴の中に足底板(特殊な中敷き)をいれることも、足の負担軽減に有効といわれています。

    外反母趾に関して、装具はどんな種類がありますか?

    市販のものと、医師の処方のもとオーダーメイドで作成するものとあります。市販のものは、変形して突き出た骨を保護するパッドや、足の親指にはめるものなどあります。オーダーメイドで作成するものは、医師の処方のもと、義肢装具士が足の型をとり、患者さんの足にあったものを作ります。足の指にはめるものや、靴の中敷きとして入れるもの(足底板)など様々な種類があります。医師と相談し、自分に合った装具を選びましょう。