正常妊娠
多くの人が妊娠に気づくのが妊娠2ヶ月(妊娠4週0日から妊娠7週6日まで)です。妊娠したかもと気づくと、今までしてきた生活や体の症状、これから何をしたらよいかなど気になることも多いとおもいます。また、妊娠前にしておくことが勧められることもあります。そのような疑問に回答します。
最終更新: 2017.10.04

妊娠中期のお母さんと赤ちゃんの変化、症状は?

妊娠16週0日から妊娠27週6日までを妊娠中期といいます。ここでは妊娠中期におけるお母さんと赤ちゃんの変化や生活する上で注意が必要なことを紹介します。

1. 妊娠5ヶ月(妊娠16週0日から妊娠19週6日)

赤ちゃんの変化

2頭身だった赤ちゃんの体型は妊娠5か月ごろに3頭身になります。皮下脂肪もつきはじめ徐々に体型に丸みが出てより人らしい体つきになります。頭髪や胎毛(たいもう)が出現するようになります。胎毛というのは赤ちゃんの全身に毛が生えることです。胎毛には皮膚を保護する役割があります。

赤ちゃんのお腹の中での体勢にもよりますが、外性器が発達するため健診の際の超音波検査エコー検査)で性別が分かるようになります。赤ちゃんの聴力が発達し、子宮外の音が聴こえるようになるのもこの時期と言われています。

お母さんの変化

子宮の大きさは成人の頭くらいの大きさ、子宮底長は15cm程度にまで大きくなります。外見的にもお腹の膨らみが分かるようになってきます。妊娠初期に比べるとつわりが軽快しているため、過ごしやすく感じることが多いですが、子宮の増大によって体の他の臓器が圧迫されて動悸や息切れを感じやすくなる時期です。無理しすぎないようにして過ごしましょう。

動悸・息切れについて詳しくは「妊娠してから動悸、息切れがしたら?」で説明しています。

子宮底長の測定

女性の骨盤の正中矢状断。

医療機関にもよりますが妊娠16週以降の健診では、お腹の上にメジャーをあてて子宮底長(しきゅうていちょう)の測定が行われます。子宮底長とは、恥骨(ちこつ)の上から子宮の一番上方(子宮底部)までの長さを測定します。子宮底長の測定によって簡易的に子宮の大きさを測定し、胎児の発育や羊水の量が適正かどうかの目安にすることができます。しかし、子宮底長の測定にはある程度の誤差が生じてしまうため、実際には経腹超音波検査で胎児発育の状態や羊水量を測定し、その結果も合わせて判断をしていきます。

2. 妊娠6ヶ月(妊娠20週0日から妊娠23週6日)

赤ちゃんの変化

妊娠20週になると赤ちゃんにはますます皮下脂肪がつき、体型が丸みを帯びてきます。赤ちゃんの動きが活発になり動きの多い時間も増えるため、個人差はありますがお母さんも胎動を感じることができるようになります。また超音波検査上でも、赤ちゃんが羊水を飲み込む動作である嚥下運動(えんげうんどう)が観察できるようになります。

妊娠20週ごろからは、出生後に備えて肺のサーファクタントという物質の産生がはじまります。サーファクタントは肺が正常に酸素と二酸化炭素のガス交換を行うために必要な肺表面活性物質です。妊娠22週ごろで赤ちゃんの体重は500gほどの大きさになります。

妊娠22週0日以降の出産で赤ちゃんの治療が可能に

また、妊娠22週というのは妊娠期間の1つの区切りでもあります。妊娠22週0日以降は胎児が母体外において生命を維持することが可能となる時期とされます。妊娠22週以降で早産になっても、胎児は新生児集中治療室(NICU)での管理の元、治療が可能になります。残念ながら妊娠22週以降なら必ず生存可能というわけではなく、生存率は妊娠週数が上がるに従って高くなります。

妊娠中期の経腹超音波検査(エコー検査)

経腹超音波検査の目的は、胎児発育の評価や胎盤の評価、羊水量の評価、胎児異常の有無の確認です。経腹超音波検査のタイミングは医療機関によって異なりますが、妊娠20週ごろには1回行われる施設が多いです。基本的に毎回の妊婦健診で行われるものではありません。妊娠週数にもよりますが、妊娠中期では胎児の器官がある程度形成されてくるため、胎児の構造異常の有無についても確認をすることができます。

お母さんの変化

妊娠6ヶ月ごろには子宮の大きさは子宮底長21cmほどになり、お母さんのお臍(へそ)の辺りまで大きくなります。子宮や胎児も大きくなるため体への負担は増え、腰や股関節が痛み始める方もいるかもしれません。「妊娠中に腰痛になったらどうする?」をあわせてご覧ください。

また、赤ちゃんの性別も分かるようになり体調も安定している時期ですので、出産の準備を少しずつ始めていくことをお勧めします。

妊娠中期の血糖値検査はなぜするの?

妊娠中は血糖値が上がりやすくなっています。妊娠中のホルモンの影響によって、膵臓(すいぞう)から分泌されるインスリンの作用が効きにくくなります。インスリンは血糖値を下げるホルモンです。インスリンが効きにくいとは、血糖値が一度上がると下がりにくいということです。インスリンの抵抗性が増すともいいます。妊娠中はインスリン抵抗性により、生理的に血糖値の上昇を招きやすい時期です。

妊娠中に高血糖が続くと、胎児も高血糖が続くため発育が促進されすぎて巨大児となり難産になってしまったり、羊水の量が増えすぎてしまったりします。また産まれてからは逆に低血糖をおこしやすい状態になってしまいます。妊娠によって高血糖が続くことを妊娠糖尿病といいます。妊娠糖尿病は厳密には糖尿病ではないのですが、妊娠糖尿病から本当の糖尿病に進んでしまうこともあります。妊娠糖尿病は母児共に影響を及ぼすため早期に発見し、血糖値のコントロールをする必要があります。

血糖値の検査は妊娠初期にも採血の検査で行われます。加えて妊娠中期はインスリンの抵抗性が増し血糖値が上昇しやすいため、再度検査を行います。検査は妊婦健診の際に採血を行い血糖値を測定したり、必要があれば糖水(糖入りの甘い水)を飲む前後で血糖値の変動を検査する糖負荷検査を行います。詳しくは「妊娠糖尿病(GDM)とは?妊婦の血糖値が上がりやすい原因と注意点」をご覧ください。

妊娠中期には歯科検診をうけるべき?

妊娠中はホルモンバランスの影響で歯周病の病原菌が増殖しやすく、歯肉炎歯周炎といった歯周病にかかりやすい状態にあります。また歯周病を持っていた妊婦は、歯周病がなかった妊婦に比べて早産かつ低出生体重児(妊娠36週6日までの出産で、出生時の体重が2,500g未満)の割合が高かったという報告もあります。「妊娠中の歯周病、虫歯(う歯)は赤ちゃんに影響する?」もあわせてご覧ください。

そのため、妊娠中の歯科の受診は必要であり、妊娠期に行える治療もあります。

妊娠後期に入ると、お腹が大きくなるため歯科の診察を受ける体勢を保つことが辛くなる可能性があります。つわりが落ち着いて体調が比較的安定している妊娠中期に歯科検診を受けることをお勧めします。歯科に行く際には、母子手帳にも妊娠期の歯科検診の欄がありますので母子手帳を持参し、妊娠しているということを伝えましょう。お住いの地域によっては妊婦さんの歯科検診の受診を助成している場合もあります。

参照:J Periodontol. 1996 Oct;67(10 Suppl):1103-13. J Periodontol. 2005 Nov;76(11 Suppl):2144-53

3. 妊娠7ヶ月(妊娠24週0日から妊娠27週6日)

赤ちゃんの変化

神経系機能が発達し、お腹の中で赤ちゃんの胎動が活発になり羊水中で回転するような運動をみせるようになります。また、この頃まで赤ちゃんの眼瞼がんけん;まぶた)はくっついている状態でしたが、妊娠26週から妊娠28週ごろには分離し眼球の運動が認められるようになります。赤ちゃんの臓器の中で一番最後に発達するのは、肺です。肺の構造は妊娠26週ごろには完成しますが、その機能はまだ未熟な状態です。妊娠25週ごろで体重は800gほどの大きさになります。

お母さんの変化

妊娠7ヶ月ごろの子宮の大きさは24cmでお母さんのお臍(へそ)の上3cm程度まで大きくなります。子宮で胃が圧迫されるようになり、食後には胃もたれや胸やけのような感じがして、1回の食事量が減ってしまう方もいるかもしれません。食事はゆっくりと食べ食後はすぐに横になるのは避けましょう。「妊娠中の胸やけにはどう対応する?」でも解説しています。

4. 妊娠中期に注意することは?どう過ごす?

一般的に安定期と言われる妊娠中期の過ごし方について紹介します。

「安定期」っていつから?

医学的に厳密に定義された言葉ではないのですが、一般的には妊娠16週0日から妊娠27週6日までの妊娠中期の時期を安定期といいます。妊娠15週ごろには胎盤が完成し胎児と胎盤の血液循環機能が完成することや、お母さんのつわりの時期が終わり妊娠初期の自覚症状が安定することからそのように言われています。

しかし、この「安定」という言葉に医学的な根拠はあまりありません。妊娠中期の流産率は妊娠初期に比べると減少しますが、絶対に流産しないわけではありません。妊娠中期は赤ちゃんの成長や機能もまだ未熟な状態です。妊娠の経過が順調で、かかりつけの医師から特に注意をうけていなければ、日常的な生活や外出、軽い運動等は行いやすい時期ですが、

安定期に入ったからといって無理はしすぎない生活を心がけましょう。

安定期と外出、旅行

医師から自宅での安静を指示されているような状況を除いて、妊娠経過に異常がなければ一般的に妊娠中の外出は問題ありません。旅行に関しては、かかりつけの医療機関で相談をしてから行くことをお勧めします。妊娠中は子宮の増大によって疲労感が出やすいことや長時間の立ちっぱなしなどは腹部にも負担がかかりやすいため、人混みは避け、こまめに座って休憩をとるようなゆとりをもった行程にするのがいいでしょう。「妊娠中の外出や旅行は大丈夫?」もあわせてご覧ください。

安定期と性交渉

妊娠経過に特に問題がなければ、妊娠中の性交渉は禁止ではありません。しかしながら、以下の様な人は、性交渉は控えた方が望ましいといえます。

また、性交渉中に痛みや出血などの症状がある場合にはすぐに中止をし安静を保ち、症状が続く場合にはかかりつけの医療機関を受診するようにしてください。また、性交渉中には、腹部の圧迫が強い体位も避け、感染予防の観点からコンドームの着用は必ず行いましょう。

  • 切迫流産切迫早産と診断されている(出血やお腹が張りやすいなどの症状がある)
  • 過去の妊娠で切迫流産切迫早産と言われたことがある
  • 過去に子宮頸部の手術(子宮頸部円錐切除術など)をしており子宮頸管の長さが短い
  • 子宮頸管無力症と診断されている
  • 前置胎盤である
  • その他医師から安静にするように指示されている

5. お腹の張り(子宮収縮)ってなに?張ってる感じがしたらどうする?

妊娠中期の健診では「お腹の張りはありますか?」と医師や看護師から聞かれることもあるかもしれません。お腹の張りとは、子宮は筋肉から出来ており、その筋肉が一時的に緊張することを指します。妊娠中期以降は、赤ちゃんが大きくなることや胎動が活発になることで子宮の筋肉が刺激を受けて緊張しやすく、自覚としてお腹の張りを感じやすくなってきます。すぐに収まるようなものであれば基本的には問題がありませんが、持続するようなお腹の張りの場合には注意が必要です。

お腹の張り(子宮収縮)の自覚症状

お腹の張りは一時的に子宮の筋肉が緊張することをさし、押しては返す波のように症状が出たり、収まったりするのが通常です。そのため、お腹が大きくなることで感じる皮膚の突っ張りとは区別されます。症状がある場合には以下のような自覚として感じられます。

  • おへその下辺り(子宮のある部位)を触れると硬く触れる
  • 下腹部が圧迫される、突っ張るように感じる
  • お腹の中で風船が膨らんでいるような感じがある

お腹の張りを感じたらどうする?

問題のないお腹の張りであれば、胎動が盛んだった時やお母さんが動き過ぎた時に起こる一時的なものです。安静にしていれば収まりますので、お腹の張りが落ち着くまで30分から1時間程度を目安に横になって休むようにしてください。横になって落ち着くようであれば問題はありません。

しかし、横になっていても以下のような症状が続く場合は注意が必要です。

  • 横になっていても治まらず、定期的にお腹の張りを感じる
  • お腹の張りに伴って痛みがある
  • 出血がある
  • お腹がずっと固い感じがして痛みがある

このような症状が続く場合には、生理的なお腹の張りではない可能性がありますので、かかりつけの病院を受診する必要があります。かかりつけの病院に電話連絡をするようにしましょう。

6. 赤ちゃんの推定体重はどうやってわかる?

妊娠中期以降の経腹超音波検査では、超音波検査で計測した赤ちゃんの大きさを元に、以下の計算式に当てはめることで体重を推測することができます。推定体重をいつの時期に測定するかは施設によって異なりますが、胎児の発育だけではなく胎児の形態の観察も兼ねて妊娠20週前後や妊娠30週前後、分娩前などの時期に行われることが多いです。

赤ちゃんの推定体重(EFW)=1.07×BPD+0.30×AC2×FL

BPD:児頭大横径(じとうだいおうけい)とも言います。赤ちゃんの頭の横幅です。

AC:腹部周囲径とも言います。お腹周りの長さです。

FL:大腿骨長(だいたいこつちょう)とも言います。赤ちゃんの太ももの骨の長さです。

それぞれの平均値は以下のようになります。

妊娠週数 児頭大横径(BPD) 腹部周囲径(AC) 大腿骨長(FL) 推定体重(EFW)
妊娠20週0日 約45mm 約15cm 約30mm 約300g
妊娠30週0日 約75mm 約25cm 約55mm 約1,500g
妊娠37週0日 約88mm 約30cm 約65mm 約2,600g

ただし、経腹超音波検査は、赤ちゃんの向きや体勢によっても計測値にずれが生じやすいため、実際の長さとは±10%程度の誤差があると言われています。また、妊娠後期に入り、児頭が骨盤内に下がってくると、BPDが上手く計測しにくいために、推定体重にも誤差が出やすくなります。

たとえば推定体重が3,000gと計算された場合、±300gの誤差があると考えます。つまり2,700gから3,300g程度の体重だと推測します。

赤ちゃんの推定体重が、妊娠週数に応じて正常かどうかを判断するためには、「胎児発育曲線」というものがあります。胎児発育曲線とは、胎児の発育を評価するために作られたグラフです。正常体重で出生した3,762人の赤ちゃんに行われた14,159回の超音波検査による計測値を元に作成されたものです。この胎児発育曲線を目安にして、週数に応じた発育をしているかどうかを評価していきます。

エコー写真をもらうと、推定体重の横に「±◯◯SD」とかかれているのを見かけるかもしれません。これは標準偏差といって推定体重の平均値からどのくらい外れているかを示したものです。±1.5SDの範囲内であれば標準的と考え、±2.0SDの範囲内であれば問題ないことも多いです。一つの基準としてこの値が-1.5SDを下回ると胎児発育不全のリスクがあり、日にちを開けて何回か超音波検査を行い、胎児の成長があるかどうかや体重以外の構造上の異常がないかどうかを詳しくみていきます。

参照:「推定胎児体重と胎児発育曲線」保健指導マニュアル. 超音波胎児計測の標準化と日本人の基準値

7. 赤ちゃんの性別はいつわかる?

赤ちゃんの性別は精子と卵子が受精した時点から決定しています。しかしその性別が外性器として現れ、妊婦健診で確認できるようになるのは妊娠5ヶ月(妊娠16週0日から妊娠19週6日)以降になります。性別の判定は経腹超音波検査で行われますが、外性器の観察は胎児の体勢や向きによってうまくできないことがあります。そのため、妊娠5ヶ月頃に検査をしたのに性別が分からないこともあるかもしれません。

8. 出産や育児の準備はいつからはじめる?

妊娠中期は、つわりも終了することから妊婦さんにとっては比較的過ごしやすい時期になります。妊娠後期に入るとより子宮が増大し、外出するのに体が思うように動かなくなったりしてしまうこともあります。そのため、医師から安静を指示されているなどの制限がなければ、この時期に外出をして出産や育児に必要なものを揃えることをお勧めします。2回目以降の出産の場合にも、出産する時期によって肌着の種類や素材などが前の出産の際に使用したものだと代用できないこともあります。そのため家の中の整理をしながら足りない出産・育児用品を確認しておくことをお勧めします。まだ仕事をしていて思うように時間がとれないという方の場合には、休みが取れたときにすぐに準備できるように何を揃えたらよいのかなどを確認しておきましょう。

出産や育児が不安なときはどうする?うつっぽいと思ったら?

妊娠中は初めて体験する体の変化やホルモンバランスの変化、体験したことのない出産や育児への漠然とした不安から、精神的に不安定になりやすいといえます。最近では里帰りせずに自宅に帰る方も多く、出産後に手伝ってくれる家族が少ないといった背景から産後の育児が不安になる方も多くいます。

家族のサポートは大切ですが、家族以外で妊娠中の生活や出産、育児の不安について相談する窓口には以下のようなものもあります。

■病院で相談してみる

妊娠の経過や出産に不安がある場合には、まずはかかりつけの病院に相談をしましょう。病院では妊娠や出産、育児に対しての情報提供や情報共有の場として母親学級や両親学級を実施しているところもあります。病院によっては、お住いの地域の産後の育児支援などのサポートと連携できる場合もあります。

■住民票のある役所に問い合わせしてみる

役所には子育て支援課など住民の子育てをサポートするための機関があります。地域によってサポートの内容は様々ですが、住民票があれば育児支援サービスを安く利用できることが多いです。妊娠中から相談をすれば、状況に合わせてどのようなサービスが利用可能かも紹介をしてくれます。利用を検討することで産後の不安を解消することができる場合もありますので、電話などで問い合わせをしてみましょう。

また、新生児訪問指導といって産後1ヶ月を目安に住民票のある地域の保健師が自宅に訪問し、赤ちゃんの健康状態や育児相談にのってもらえる機会もあります。

精神的に不安定になって(うつ)なのではないかと感じる人もいるかもしれませんが、家族や医療者に相談することや時間の経過とともに解消するような一時的なものである場合が多いです。しかし以下のような症状がある場合には、注意が必要になることがあります。

  • 食事や家事などの日常生活に手が付かない
  • 夜眠れない、不眠である
  • 赤ちゃんがかわいいと思えない

特に、妊娠前にうつ病などにかかったことがある方の場合には、妊娠や出産などの環境の変化がストレスとなり、症状が悪化してしまうこともあります。無理をして1人で抱え込まずに家族や病院で医療者に相談をすることを勧めます。状況によっては妊娠中でも使用できる薬もありますので、まずは病院に相談をするようにしましょう。

9. 妊娠中期の食事はどのくらい食べて良い?何に気をつける?

妊娠中期はつわりが終わり、食欲が増しやすい時期です。適切とされる食事量を説明します。

妊娠中期に必要なカロリーは?

妊娠糖尿病などで食事療法をしている場合を除き、一般的に妊娠中期の妊婦が必要とされるカロリーを表にまとめます。

  身体活動レベル※
I II III
18-29歳 2,000kcal 2,300kcal 2,600kcal
30-49歳 1,950kcal 2,250kcal 2,550kcal

妊娠中期は妊娠前に比べると1日あたり+250kcal ほどの摂取が必要とされています。250kcal というとおにぎり1つ分ほどのカロリーです。思っているほど多くのカロリーが必要ないことが分かります。

※身体活動レベルとは?

日々の仕事やプライベートでの過ごし方によって1日に必要なカロリーは異なります。自分が当てはまる身体活動レベルについて把握しておきましょう。

I:生活の大半は座って過ごし、あまり動かない人

II:座って過ごすのが中心だが、職場で接客など立ち仕事や移動がある。通勤や買い物、軽い運動などをする人

III:移動や立ち仕事の多い仕事についている。運動習慣がある人。

妊娠中期に摂取したい食材は?

基本的には、妊娠中を通し一汁三菜で主食をしっかりと摂取するようなバランスのとれた食事内容を心がけましょう。特に妊娠中期以降は鉄欠乏性貧血が起こりやすいため、食事の中で鉄分の摂取を多くすることが勧められます。

動物性の食品に含まれる鉄のほうが、植物性の食品に含まれる鉄よりも体の吸収率が良いため、赤身の肉や魚などを多く食べると効率的です。また鉄分を摂取する場合には、ビタミンCと一緒に摂取すると吸収率が高まります。

鉄分を多く含む食材には、大豆、小松菜、ほうれん草、ひじき、昆布、赤身の肉、赤身の魚、貝類などがあります。ビタミンCは、青菜やブロッコリーやピーマン、いちごやレモンなどの果物から摂取することができます。

逆に摂取を避けたい食材に関しては、妊娠期間中を通して変わりません。詳しくは「妊娠中の食事は何に気をつける?」で説明しています。