避妊
避妊の方法としてコンドーム以外にも経口避妊薬(ピル)や子宮内避妊器具(IUD)と呼ばれるものがあります。それぞれのメリット・デメリットなど、避妊の疑問について解説します。
最終更新: 2020.05.11

ピルの副作用は?

低用量ピル経口避妊薬)には副作用があります。重大な副作用には「血栓症」があり、1万人に数人の割合で発症することがあります。そのため、血栓症のリスクが高い高血圧の人、ヘビースモーカー、前兆を伴う片頭痛を伴う人などは使えません。最初に医師によく相談したうえで処方してもらってください。

1. 低用量ピルの副作用は?

ピルの副作用には、マイナートラブルといわれる頻度は高いけれども軽微な副作用と、頻度は低いけれども起こってしまうと重大な副作用とがあります。

ピルのマイナートラブル

国内の使用成績調査で報告されている症状は下記の通りです。

  • 消化器症状(3.8%):吐き気(2.25%)、下痢、腹痛、便秘など
  • 乳房痛(2.0%)
  • 頭痛(1.38%)
  • 不正性器出血(1.21%)

ただ、内服を継続していくと症状がなくなることが多いため上記のトラブルが現れても心配しすぎる必要はありません。症状の強さにもよりますが、服用開始後3か月程度は医師とよく相談しながら継続しましょう。

ピルの重大な副作用:血栓症

血栓症とは、血管内に血液の塊ができ詰まってしまう病気です。血栓症は若い女性ではまれな病気で、1万人に1-5人程度の発生率ですが、低用量ピルを内服した人では1万人に3-9人に発生率が上がります。

ただし、妊婦では1万人に5-20人、産後3か月までの女性では1万人に40-60人の発生率であり、妊娠のほうがピルの服用よりも血栓症になるリスクが高いといえます。また、低用量ピルより、中用量、高用量のピルのほうが血栓症が起こる確率は上がります。

2. どんな人が要注意なの?

血栓症を起こすリスクが高い人は、ピルの服用に適しません。また、乳がんなどのホルモン依存性腫瘍にかかった人も、ピルの服用に適しません。

【ピルを飲んではいけない人(禁忌)】

  • 中等度以上の高血圧症の人
  • 35歳以上・1日15本以上の喫煙者
  • 前兆(頭痛の前に目がちかちかするなど)を伴う片頭痛がある人
  • 心臓病、糖尿病などで血管の病変を伴う人
  • 家族に血栓症を発症した人がいる人
  • 閉経後、または月経発来前の人
  • 産後4週間以内の人
  • 手術前後4週間以内の人
  • 高度の肥満である人

また、乳がんにかかったことがある人も内服はできません。

ピルを服用する場合には、あらかじめ医師に自身の体質・持病や生活習慣などを伝えておくことが非常に大切です。また、年に1回程度、以下のような検診を必ず受けるようにしてください。

【ピルを使用している人に年1回受けて欲しい検査】

  • 血圧測定
  • 体重測定
  • 子宮頸がん検診
  • 感染症検査
  • 乳がん検診
  • 子宮・卵巣超音波検査
  • 採血

3. 副作用を防ぐには?

ピルを服用する際には、生活習慣を改善したり、血圧測定を日常的に行うなどの自己管理が必要です。特に、喫煙は血管の傷害を起こし、血栓症のリスクを高めるため、ぜひ禁煙を心がけるようにしてください。また、過度の飲酒や、塩分が多い食生活なども体調に悪影響を及ぼします。効果的にピルを使用するため、生活のコントロールが必要です。

また、ピルを飲んでいるときでも、コンドームは必ず使用してください。コンドームの使用はクラミジアなどの性感染症や、子宮頸がんの原因であるHPVヒトパピローマウイルス)の侵入を防いでくれます。定期的な健康診断も併せて行えば一層安心です。