避妊
避妊の方法として、コンドーム以外にも経口避妊薬(ピル)や子宮内避妊器具(IUD)と呼ばれるものがあります。それぞれのメリット・デメリットなど、避妊の疑問について解説します。
最終更新: 2018.02.16

ピル(経口避妊薬)を処方してもらうとかかる費用

避妊目的でピル(主に低用量ピル)を使う場合は、産婦人科などで処方してもらいます。避妊目的の場合は通常、保険適用外の自由診療扱いになるため費用は100%自己負担となり、医療機関によっても異なります。

1. ピルとは?

一般的に「ピル」と呼ばれる薬は卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2種類の女性ホルモンが配合されています。

ピルは経口避妊薬としても使われますが、ピルの使用によって得られる効果は避妊だけでなく様々です。

月経(生理)に関係する月経困難症の軽減、ホルモンバランス改善による月経前症候群PMS)の軽減、排卵に関係することでの卵巣がんの予防など多くのメリットが考えられます。

効果の一方で副作用もあり、中でも非常にまれとはされていますが、血栓症などの重い副作用も考えて使う必要があります。

ピルは一般的に、卵胞ホルモンの量によって含有量の多い順に、高用量ピル、中用量ピル、低用量ピルに分類されます。現在、避妊目的で使われるピルで主流になっているのは低用量ピル製剤です。

用途や治療目的、個々の体質などを考慮し適するピルが選択され活用されています。

低用量ピルとは?

「低用量」とは高用量ピルや中用量ピルに比べて卵胞ホルモンの含有量が少ないことを意味します。

以下は現在(2016年8月)、日本で販売されている代表的な低用量ピルです。

  • オーソ®M21
  • マーベロン®21、マーベロン®28
  • ヤーズ®配合錠
  • ルナベル®配合錠LD、ルナベル®ULD
  • シンフェーズ®T28
  • オーソ®777−21
  • トリキュラー®21、トリキュラー®28
  • アンジュ®21、アンジュ®28

このほか、ルナベル配合錠LDのジェネリック(後発)医薬品としてフリウェル配合錠LDなどもあります。

ルナベル(及びフリウェル)とヤーズは薬価収載医薬品として保険の対象薬にもなっています。ただし保険適用となるのは通常、月経困難症などの治療目的として使われる場合で、仮に避妊目的で使用する場合には基本的に自由診療において100%自己負担となります。

その他のマーベロン®、トリキュラー®、アンジュ®などのピルは自由診療のみで使用する薬です。

低用量ピルは避妊目的で使われるほか、月経困難症などの治療目的でも使われています。

2. ピルの避妊率は?

ピル(主に低用量ピル)を正しく適切に服用した場合では、100%に近い確率で避妊できるとされています。

ピルには排卵抑制作用の他に、射精された精子が子宮に辿りつくのを妨げる作用や精子が着床する子宮内膜に対する作用などもあるため、膣に射精されてもかなりの確率で避妊することができると考えられています。

ピルを飲んでも妊娠する可能性はある?

ピルの避妊効果はあくまでピル(主に低用量ピル)を正しく適切に服用した場合においてであり、実際に1周期中で飲み忘れた錠数が増えると妊娠する確率も増加するという報告もあります。

詳しくは「低用量ピル」のページをご覧下さい。

3. ピルの副作用は?

ピルの副作用で主なものは、消化器症状(吐き気、下痢、腹痛、便秘など)、乳房痛、頭痛、不正性器出血、月経過多、にきび、うつ(抑うつ)などが挙げられます。

一般的なピルは卵胞ホルモンと黄体ホルモンが含まれるため、上記の症状の多くがこのホルモンが体内に及ぼす影響によって引き起こされると考えられます。

また頻度は非常に稀とはされていますが、血栓症などの重い副作用があらわれる可能性もあります。血栓性静脈炎などの静脈系の副作用は主に卵胞ホルモンに起因すると考えられています。一方、虚血性の心疾患や高血圧などの動脈系の副作用は主に黄体ホルモンに起因すると考えられています。

副作用を考慮して、ピルの成分は改良されてきた歴史があります。

卵胞ホルモンの量を少なくした低用量ピルには、副作用を減らす狙いもあります。

また、黄体ホルモン成分としても、従来のピルに含まれている成分よりも天然の黄体ホルモンに近い成分が開発されてきました。デソゲストレルなどの合成黄体ホルモンが開発されています。

現在避妊治療の中で主流となっている低用量ピルには、これまでの使用経験に基づいた改良が応用されています。しかし、卵胞ホルモンが少ないほど安全とは限りません。卵胞ホルモンの量をさらに減らした「超低用量ピル」という薬があります。一部の超低用量ピルは、不正性器出血の発現率が従来の低用量ピルよりも高いという報告もあります。

ピルの副作用に対して気を付ける点は?

高血圧、心疾患、糖尿病などの持病(またはこれらの病気の予備軍であること)があったり、家族に血栓症を発症した人がいる場合には注意が必要です。他にも血管障害の原因となる喫煙をする人、肝機能障害を持つ人、女性ホルモンに関わる病気(子宮筋腫乳がんなど)の持病を持っていたり過去に患ったことがある人なども注意が必要とされています。

日本においてピル(経口避妊薬)は基本的に病院やクリニックといった医療機関で処方してもらう必要があります。診療科としては産婦人科を専門に行っている医療機関が主となります。(海外では緊急避妊薬としてのピルを一定の条件下で医師の処方無しで購入できる国もあります)

ピルはどんな人でも適するというわけではなく、場合によっては他の避妊方法や治療方法が適する場合もあります。血栓症、高血圧、糖尿病などの病気を患ったことがあったり家族歴がある場合、喫煙をする場合などにおいては使用に制限がかかることも考えられます。

ピルを処方してもらう際に、自身の体質や持病、普段の生活習慣などをしっかりと医師へ伝えることは非常に大切です。

ピルを飲むと妊娠できなくなる心配はあるか?

時々、「ピルを使っていると妊娠できなくなるのか」という質問を受けることがあります。

しかし避妊目的でピルを服用していても、処方医の指示によって適切に中止すれば通常、妊娠可能な状態に戻ります。

ピルが避妊目的以外に月経周期異常などに対して使われていることからも、むしろピルを上手に活用することで不妊治療に役立てることも可能です。

実際に高用量ピルに分類される製剤などでは、卵巣機能不全による不妊症の治療薬として保険適用を持っている薬剤もあります。

4. 避妊目的でピルを処方してもらうための費用は?

避妊目的でピルを使用するための費用は一定ではないため、ピルを処方してもらおうとする医療機関に問い合わせるのが確実です。

避妊目的のピルは自由診療で処方される

ピルは基本的に病院やクリニックといった医療機関で処方してもらう必要があります。診療科としては産婦人科を専門に行っている医療機関が主となります。

保険診療として使われる薬の値段(薬価)は全国一律に決められています。しかし、ピルを避妊目的で使う場合は通常、保険適用外になります。

保険を使わない診療を自由診療と言います。自由診療における薬の値段などは医療機関によっても違います。そのため避妊目的でピルを使うための費用は一定ではありません。保険が効かないので費用は100%自己負担となります。

低用量ピルでも、避妊目的ではなくヤーズ®やルナベル®といった薬価収載薬を月経困難症の治療目的で使う場合には通常、健康保険の対象となります。

保険診療でピルを使う場合の薬価

ヤーズやルナベルは1シートで約6,000〜7,000円(2016年4月時点)の薬価が設定されているため、月経困難症の治療などで保険適用となる場合は通常、この金額の30%の負担となります。

仮に避妊目的で使うとして、(100%の負担であれば)この金額に通常であれば受診料や処方箋の発行料などが加わる計算になります。

自由診療のみで使われているピルの値段

マーベロン®、トリキュラー®、アンジュ®などの自由診療のみで使われているピルに関しては医療機関や薬剤によっても様々ですが平均的には1シート3,000円前後になっています。マーベロンのジェネリック(後発)医薬品に相当するファボワール®、トリキュラー及びアンジュのジェネリック(後発)医薬品に相当するラベルフィーユ®の取り扱いがあれば先発医薬品に比べやや割安になる場合も考えられます。

病院やクリニックだけでなく、院外処方箋を取り扱う調剤薬局やドラッグストアにおいても薬の値段などが異なってきますので、「どのくらいの費用がかかるのか?」について各医療機関へ問い合わせてみるのが確実です。