避妊
避妊の方法としてコンドーム以外にも経口避妊薬(ピル)や子宮内避妊器具(IUD)と呼ばれるものがあります。それぞれのメリット・デメリットなど、避妊の疑問について解説します。
最終更新: 2020.05.11

コンドームで避妊失敗する確率は?ほかの避妊方法と比較

避妊方法の中でも日本で最も普及している男性用コンドームについて、避妊に失敗する確率や、ほかの避妊方法と比較したときのメリットやデメリットについて詳しく説明します。

1. コンドームをつけても妊娠する確率

コンドームをつけていても、妊娠することがあります。避妊効果の目安として、パール指数という指標があります。パール指数とは、100人の女性が1年間避妊を続けたときに、妊娠する数です。つまり1年間で避妊に失敗して妊娠する確率(パーセント)のことです。

男性用コンドームを正しい使い方で使い続けた場合、パール指数は2とした文献があります。つまり男性用コンドームを使っていても1年間で2%の割合で避妊に失敗して妊娠してしまいます。1年間避妊できる割合としては、98%ということになります。

また、以下で説明するようにコンドームの使い方が正しくない場合も含めると、妊娠する割合はさらに大きくなり、同じ文献によればパール指数は18とされています。1年間で18%の女性が妊娠するということです。

(参考:Contraception. 2011 May; 83(5): 397–404.)

コンドームで避妊に失敗する場合の例

男性用コンドームを正しく使っていても妊娠することはありますが、以下のように間違った使い方や使用時のトラブルがあると、より避妊に失敗しやすいと考えられます。

  • 性交時にコンドームを使ったり、使わなかったりする
  • 途中からコンドームを使う
  • コンドームが破れた
  • コンドームが外れた
  • コンドームが膣内に残った

「安全日ならコンドームはいらない」とか「射精の前にコンドームをつければいい」といった考えは、間違った使い方につながるかもしれません。

女性の生理周期から妊娠しやすい日を予測するのは難しく、「安全日」なら妊娠しないとは言えません。また、途中からコンドームを使うことで精子の侵入を防げるとは限りません。

2. ほかの避妊法で妊娠する確率

パール指数によって避妊法の効果を比較することができます。コンドームとその他の避妊法のパール指数を示します。

  • ピル:0.3
  • 子宮内避妊器具(IUD):0.2-0.6
  • 女性用コンドーム:5
  • 男性用コンドーム:2
  • 女性不妊手術:0.5
  • 男性不妊手術:0.1
  • 殺精子薬:18
  • (避妊せず):85

(参考:Contraception. 2011 May; 83(5): 397–404.)

避妊効果はコンドームよりもピルや子宮内避妊器具のほうが高いと言えます。

3. コンドームのメリットとデメリット

ほかの避妊法と比べると、コンドームのメリット・デメリットとして以下の点が挙げられます。

  • コンドームのメリット
    • 感染症(性病)を予防できる
    • 気軽に薬局やコンビニ、通販で買うことができる
    • 毎日薬を飲む必要がない
    • 薬や手術と違い、副作用や合併症の心配はない
  • コンドームのデメリット
    • 世の中で期待されているほど避妊効果は高くない
    • 男性が協力的でないと使えない

男性が主体となる避妊方法としては、ほかに男性の避妊手術があります。精管結紮術という避妊手術があります。避妊効果は高く、一度手術すれば効果が持続します。

  • 男性の避妊手術のメリット
    • 避妊効果が高い
    • 毎日薬を飲む必要がない
    • 避妊効果が長く続く
  • 男性の避妊手術のデメリット
    • 妊娠したくなったときに元に戻せない場合がある
    • 手術が負担になる

詳しく知りたい方は、避妊手術のページをご覧ください。

女性が主体となる避妊方法としては、ピル(経口避妊薬)子宮内避妊器具女性の避妊手術などについて、各ページで説明しています。

避妊法を選ぶには、男性と女性のどちらが主体か、また避妊の確実さ、方法の簡便さ、安全性、元に戻せるかなどの観点が考えられます。メリット・デメリットを見比べて自分に合った方法を選んでください。