めまい・耳鳴り
最終更新: 2018.03.19

めまいの治療薬:病院で処方される薬と市販薬の例

めまいがあって病院を受診した時、処方されることがある薬にはメリスロン、アデホス、イソバイドなどがあります。処方箋なしで買える薬の中でも、自律神経調整薬と同じ成分を含む市販薬や、市販の漢方薬はめまいを現すような体調に適する場合があります。

1. グルグル?ふわふわ?めまいの種類の違い

めまいの種類によって原因や治療は違います。

めまい(眩暈)と一口に言っても、細かく分けると「回転性めまい」と「浮動性めまい」に区別できます。難しい医学用語のようですが、英語では回転性めまいをvertigo、浮動性めまいをdizzinessと呼んで、日常会話でも区別しています。

回転性めまい(vertigo)は、目の前がグルグル回転する感じのめまいです。

浮動性めまい(dizziness)は、ふらつきがある、くらくら・ふわふわした感じがするめまいです。

めまいの原因となる代表的な病気に対して、以下の薬が処方されることがあります。

メニエール病の原因である内耳の余分な水分を減らす利尿薬や、めまいの症状を和らげる抗めまい薬、神経の炎症を抑えるステロイドなどが使われています。

ストレスや不安などによってめまいや耳鳴りが悪化する場合などには、抗不安薬が処方されることもあります。

良性発作性頭位めまい症BPPV)は、薬のほかに頭を動かして治す「エプリー法」などの治療もあります。

このページでは、めまいが起きている状態で使われることがある薬の例を挙げて、それぞれの用途などを説明します。

2. めまいに効く市販薬はある?

前提として、浮動性めまいや回転性めまいの症状があれば病気が原因となっている可能性があり、病院・クリニックで診察を受けることが望ましいと考えられます。危険な場合を見逃さないためにも診察を受けることは大切です。

ただし、更年期障害などによるめまいに対して効能・効果のある漢方薬などの市販薬もあります。漢方薬の多くは処方薬と同じ成分を含むものが市販薬としても手に入ります(ただし、配合割合などが違っている場合もあります)。漢方医学ではひとりひとりの体質や症状に合わせて漢方薬を選びます。体質や症状は「証(しょう)」という言葉で表現されます。漢方医学の専門的な知識を持った医師や薬剤師などに相談することで、証に応じて適切な漢方薬を選ぶことができます。

ほかにもめまいの改善に関係する成分を含む市販薬が販売されています。

以下でめまいの改善に役立つと考えられる市販薬の例を挙げて説明します。

当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)

当帰芍薬散は、虚弱気味(痩せ気味)で、疲れやすく冷えやすいなどの証の人に適した漢方薬です。更年期障害の治療にも使われます。めまい、脱力感、頭痛、動悸などの症状に効果が期待できます。

桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)

桂枝茯苓丸は女性ホルモンへの作用を持つ漢方薬です。体質や体格が中等度からやや充実気味(比較的体格ががっしりしているなど)で血色が比較的良く、下腹部の痛みや肩こりなどがある証の人に適しています。

更年期障害自律神経失調症に伴う頭痛、めまいなどの症状に効果が期待できます。

半夏白朮天麻湯(ハンゲビャクジュツテンマトウ)

半夏白朮天麻湯は、冷え症があり胃腸が虚弱気味な証の人に適した漢方薬です。めまいや頭の重さ、頭痛などのある場合に適しています。

アリナミン®EXプラス

画像:アリナミン®EXプラスのパッケージの写真。

アリナミン®EXプラスは、本来は肉体疲労時のビタミンB1などの補給や肩こりなどの改善を目的とした薬ですが、めまいや耳鳴りに対して効果が期待できる成分を多く含んでいます。中でもガンマオリザノール(γ‐オリザノール)は、自律神経調整薬として処方されるハイゼット®などにも使われている成分です。アリナミン®EXプラスには以下の成分が含まれます。

  • ビタミンB1
  • パントテン酸カルシウム
  • ビタミンB6
  • ビタミンB12
  • ビタミンE
  • ガンマオリザノール(γ‐オリザノール)

命の母®A

画像:命の母Aのパッケージ写真。

命の母®Aは、加味逍遙散、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸の成分に加えて、大黄(ダイオウ)、紅花(コウカ)、人参(ニンジン)、半夏(ハンゲ)などの生薬成分とビタミンBやタウリンなどを加えた製剤です。

幅広い症状に適しています。

ルビーナ®

画像:ルビーナのパッケージ写真。

ルビーナ®は、めまい、動悸(どうき)、頭痛に効果がある苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)と四物湯(シモツトウ)を合わせた連珠飲(レンジュイン)という漢方処方をもとに作られた製剤です。

ほてり、のぼせ、冷え症、疲労による倦怠感などを改善します。

​中将湯(ちゅうじょうとう)

画像:中将湯のパッケージ写真。

中将湯には、当帰(トウキ)、芍薬(シャクヤク)、茯苓(ブクリョウ)などを含め全部で16種類の生薬成分が配合されています。

不安、頭痛、肩こり、腹痛、冷え、のぼせ、めまい、耳鳴り、むくみなどを改善します。

キューピーコーワゴールドα-プラス

画像:キューピーコーワゴールドαプラスのパッケージ写真。

キューピコーワゴールドα-プラスは、本来は滋養強壮や肉体疲労時の栄養補給を目的とした薬ですが、含まれている成分はめまい、それも疲労やストレスなどからくる症状に対して改善効果が期待できるものです。

キューピーコーワゴールドα-プラスには次の成分が含まれています。

  • ビタミンB1
  • ビタミンB2
  • ビタミンB6
  • ニコチン酸アミド
  • ビタミンC
  • ビタミンE
  • トウキ
  • エゾウコギ
  • オウギ
  • オキソアミヂン
  • L-アルギニン
  • カフェイン(無水カフェイン)

ストレージ®タイプZM

画像:ストレージ®タイプZMのパッケージ写真。

ストレージ®タイプZMは苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)という漢方薬の成分で造られています。

苓桂朮甘湯は体力が中等度からやや不足気味で息切れなどがあるような症状・体質に適するとされます。頭痛や立ちくらみのようにグラっとするめまいなどに対して効果が期待できます。

トラベルミン®

画像:トラベルミンのパッケージ写真。

処方薬としても使われるトラベルミン®は、市販薬としても販売されています。市販薬としては主に乗り物酔いによるめまいや吐き気などを和らげる目的で使います。

3. めまいに処方される薬

抗めまい薬(メリスロン、セファドールなど)

ベタヒスチンメシル酸塩(商品名:メリスロン®など)、ジフェニドール塩酸塩(商品名:セファドール®など)は回転性めまいに効く薬です。抗めまい薬とも呼ばれます。メニエール病前庭神経炎に処方されます。良性発作性頭位めまい症BPPV)はエプリー法などの治し方がある一方で、抗めまい薬などを使ってめまいを抑える方法もあります。

ベタヒスチンメシル酸塩の副作用が出ることは非常にまれですが、吐き気などの消化器症状がありえます。胃潰瘍などを持病で持っている人は特に気を付けてください。

ジフェニドール塩酸塩の副作用として、口が渇く、食欲不振などのほか、非常にまれですが、排尿障害や眼圧の変化なども起こる可能性があります。緑内障前立腺肥大などの持病がある人はこれらの副作用により悪化する恐れがあるので注意が必要です。

ATP製剤(アデホス、トリノシンなど)

アデノシン三リン酸二ナトリウム(ATP)製剤は、メニエール病など内耳の異常による回転性めまい・耳鳴り・難聴に効く薬です。アデホス、トリノシン®などの処方薬があります。

ATP製剤は全体に飲み合わせや副作用の問題がかなり少ないこともあり、耳鳴りやめまいの再発予防薬として長期的に飲む人も多い薬です。

ビタミンB12製剤(メチコバールなど)

ビタミンB12は食べ物にも含まれているビタミンです。神経細胞の修復やタンパク質・脂質などの代謝を助ける働きを持っています。

回転性めまいや耳鳴りの治療にも処方されるメチコバール®(メコバラミン)などの薬は、神経組織に取り込まれやすいビタミンB12製剤です。

ビタミンB12は水溶性ビタミンと言って水に溶けやすい物質です。水溶性ビタミンは過剰に摂っても体に蓄積しにくいので副作用をあらわしにくいとされます。ATP製剤と同様に、ビタミンB12製剤を予防的に長期に渡って飲んでいる人も大勢います。

利尿薬(イソバイドなど)

イソソルビド製剤(商品名:イソバイド®など)は、メニエール病で処方される薬です。内耳にたまりすぎている水分を移動させて尿にする作用(利尿作用)があります。回転性めまい・耳鳴りの改善効果が期待できます。

イソソルビド製剤で起こる可能性のある副作用として、下痢、嘔吐などが知られています。

ステロイド薬(プレドニンなど)

ステロイド薬は炎症を和らげる作用など多くの作用があり、アレルギー性疾患、自己免疫疾患など多くの病気や症状に対して処方されている薬です。

メニエール病前庭神経炎に対して内耳や神経の炎症を抑える目的で、内服薬(飲み薬)のプレドニン®、プレドニゾロンなどが処方されます。

ステロイド薬は用量を守ることがとても大切です。自己判断で急にやめたり処方された用量を変えて飲んだりすると、本来の効果が得られないなどの望ましくない事態にもつながります。

ステロイド薬は、高血糖などの副作用にも注意が必要な薬です。処方した医師や薬剤師から注意点や副作用が出たときの対処をよく聞いておき、正しく使ってください。副作用についてはコラム「ステロイド内服薬の副作用とは」で詳しく解説しています。

吐き気止めの薬(ナウゼリン、プリンペランなど)

激しいめまいはしばしば吐き気・嘔吐をともなうため、めまいの治療の間には吐き気を抑える薬もよく処方されます。

ドンペリドン(商品名:ナウゼリン®など)やメトクロプラミド(商品名:プリンペラン®など)は吐き気止めとしてよく処方されている薬です。めまいに伴う吐き気や嘔吐を抑える効果があります。飲み薬のほか注射剤もあり、吐き気で薬が飲めない場合などに使い分けることもできます。

鎮暈薬

めまいに伴う吐き気・嘔吐には、トラベルミン®などの鎮暈薬(ちんうんやく)が使われる場合があります。トラベルミン®は市販薬(OTC医薬品)として薬局・薬店・ドラッグストアでも処方箋なしで買える薬で、「乗り物酔いの薬」としても知られています。

処方薬(医療用医薬品)のトラベルミン®はジフェンヒドラミンとジプロフィリンという2種類の成分を含み、吐き気や嘔吐を抑える効果があります。急におこる発作性のめまいやメニエール病に対しても有効とされています。

また乗り物酔い動揺病)に使うジメンヒドリナート(商品名:ドラマミン®)という薬もめまいや吐き気などに効果が期待できる薬です。

抗不安薬(メイラックス、コンスタンなど)

抗不安薬によって不安や緊張を和らげることで、耳鳴りやめまいの改善効果が期待できます。効き方が少しずつ違う薬から適したものが選ばれます。抗不安薬には多くの種類がありますが、一部の例を挙げます。

抗不安薬の多くに、眠気の副作用があります。転倒(特に高齢者など)や車の運転などの危険を伴う作業に対しては特に注意が必要です。

脳の血液循環を改善する薬(サアミオン、セロクラールなど)

脳梗塞の後遺症として、めまいや意欲低下などの症状があらわれます。脳細胞にダメージが残ったり脳の血液循環が悪くなることが原因と考えられます。脳の血液循環を改善する薬は、脳に栄養や酸素が送られやすくすることで、症状を改善します。

ニセルゴリン(商品名:サアミオン®など)は脳循環の改善作用に加え、脳梗塞によって悪くなった脳の神経伝達機能を改善する効果などをあらわす薬です。

イフェンプロジル酒石酸塩(商品名:セロクラール®など)は血管を広げることで脳血流を増加させ循環を改善するほか、血液が固まるのを抑える作用により脳梗塞の再発防止効果が期待できます。

イブジラスト(商品名:ケタス®など)は血管を広げる作用、炎症を抑える作用、血液が固まるのを抑える作用、神経を保護する作用などがあり、脳の循環障害によるめまい、ふらつき、立ちくらみの改善効果が期待できます。イブジラストはアレルギー症状を抑える効果も期待でき、気管支を収縮させる体内物質を抑える作用などから、気管支喘息などの治療薬としても処方されています。

自律神経調整薬

自律神経失調症に対して、自律神経の働きを整える自律神経調整薬が処方されます。

  • トフィソパム(商品名:グランダキシン®など)
  • ガンマオリザノール(商品名:ハイゼット®など)

卵胞ホルモン・黄体ホルモン製剤

更年期障害で不足している女性ホルモンを薬として補充することで、めまいなどの更年期症状を改善する効果があります。よく使われている薬の例を挙げます。

  • 卵胞ホルモンエストロゲン)製剤
    • 経口剤(飲み薬):プレマリン®、ジュリナ®、エストリール®
    • 貼付剤(貼り薬):エストラーナ®テープ
    • ゲル剤(塗り薬):ル・エストロジェル、ディビゲル®
  • 黄体ホルモン(プロゲストーゲン)製剤
    • 飲み薬:プロベラ®、ヒスロン®、デュファストン®
  • 卵胞ホルモン・黄体ホルモン配合剤
    • パッチ剤(貼り薬):メノエイド®コンビパッチ
    • 飲み薬:ウェールナラ®配合錠

鉄剤などの栄養剤

鉄分の不足による鉄欠乏性貧血は、女性のふらつきの原因として多いものです。鉄剤で薬として鉄分を補うことで改善できます。

ほかにビタミンの不足による巨赤芽球性貧血に対して葉酸やビタミンB12を補う治療法があります。

めまいの治療に使うその他の処方薬

ほかに抗めまい薬のイソプレナリン塩酸塩(商品名:イソメニール®)、末梢の血管拡張薬であるカリジノゲナーゼ(商品名:カルナクリン®など)などの薬が処方されています。

ストレスや不安からくるような心因性のめまいに対して抗うつ薬(SSRIなど)といった薬が有用となる場合もあります。