めまい・耳鳴り
最終更新: 2018.03.19

立ちくらみ(失神/前失神)・浮動性めまいの原因になる病気について

立ちくらみのほとんどは横になればすぐ治るものですが、危険な病気が隠れていることもあります。立ちくらみ(前失神/失神)やふわふわしためまいを起こしやすい状況・原因となる病気について説明します。

1. 立ちくらみ・浮動性めまいの原因一覧

気が遠くなる、目の前が暗くなる、などと表現される立ちくらみや、ふわふわする感じがする浮動性めまいは、以下のような原因で起こることがあります。

このページでは以上の原因のそれぞれについて説明していきます。ただし「めまい」と言ってもぐるぐる目が回る「回転性めまい」が現れた場合には別の原因を考える必要があります。詳しくは「回転性めまいの原因になる病気について」をご覧ください。

2. 迷走神経反射

注射や採血で腕に針を刺された後に気が遠くなったり、朝礼などで緊張しすぎたときに倒れてしまったりする場合、迷走神経反射(めいそうしんけいはんしゃ)が考えられます。迷走神経という神経が刺激やストレスに反応することで、全身の血管が広がって、心拍数が下がり、脳に届けられる血液が一時的に少なくなってしまうことで起こります。
迷走神経反射で倒れた人は、通常横になって休めばすぐ意識が戻り、命に危険はありません。

3. 状況失神

咳、食べ物の飲み込み、排尿、排便などがきっかけでめまいや失神が起こることを状況失神(じょうきょうしっしん)と言います。同じきっかけによって頻繁に失神を繰り返すことがあります。状況失神ではすぐ意識が戻るのですが、頻繁に失神を繰り返すようであれば、失神時に怪我をしてしまう危険性もあります。咳を止める治療などできっかけとなる状況をなるべく取り除くことに加え、もし急に失神しても怪我をしないよう、座って排尿・排便するなどの対策が有効です。

4. 起立性低血圧

狭い意味での「立ちくらみ」、つまり寝ている状態や座っている状態から立ち上がったときにくらくらしたり、失神したりする症状は、起立性低血圧(きりつせいていけつあつ)の特徴にあてはまります。起立性低血圧では、横になって血圧を測定したあと、立ち上がった姿勢で血圧を測定すると血圧が下がっていることが多いです。

起立性低血圧の原因について

立ち上がるとくらくらする原因は、脳血流の不足です。
立ち上がろうとすると、通常は自律神経のはたらきで自動的に血管が収縮し、心拍数も上がり、頭(脳)の血流が維持されます。しかし、血圧がの調整がうまくいかず、血液が重力に負けて足のほうに溜まってしまうと、脳の血流が不足し、立ちくらみを自覚します。

特に病気がなくても運動後や飲酒後などに起立性低血圧になることもあるのですが、神経の異常や出血が隠れている場合もあります。そのため、起立性低血圧を自覚した際には、原因をはっきりさせるために、医療機関で調べてもらうと良いでしょう。

起立性低血圧の主な原因】

たとえば、病気で薬を飲んでいるとき、特に血圧を下げる薬を飲んでいるときに立ちくらみが出たら、副作用かもしれません。そのような場合には、立ちくらみが出たことを主治医に伝え、薬を続けてよいかを相談してください。もし、薬が原因になっていれば薬の中止が検討されることもあります。

5. 不整脈

立ちくらみ(前失神/失神)を起こす原因として心臓の病気も考えられます。たとえば不整脈は失神の原因にもなります。失神を起こす不整脈に、房室ブロックや洞停止、心室細動があります。不整脈は種類によって、突然死の原因になるため注意が必要です。

不整脈の対策について

失神を起こす不整脈は病院で診てもらう必要があります。原因がわからず急に失神することがあれば、循環器内科などで相談してください。ホルター心電図(24時間かけて測定する心電図)などが検査に使われます。治療では、必要に応じて、薬物療法、ペースメーカーの埋め込み、カテーテル治療などが行われます。

6. 肥大型心筋症

肥大型心筋症は心臓の筋肉が必要以上に厚くなる病気です。呼吸困難や動悸(どうき)、立ちくらみを起こすことがあります。肥大型心筋症が進行すると心不全や危ない不整脈の原因になり、命に関わります。

肥大型心筋症の対策について

立ちくらみに加えて動悸や息苦しさがあれば、循環器内科や心臓血管外科などで相談してください。症状を減らすことや突然死を防ぐことを目的に、薬の服用、ペースメーカー植え込み、カテーテル治療などを行う方法があります。

7. 大動脈弁狭窄症

大動脈弁狭窄症(だいどうみゃくべんきょうさくしょう)は高齢者に多い病気です。最初は症状がないのですが、徐々に進行して、息切れや胸の痛み、失神などの症状があらわれます。

大動脈弁狭窄症の対策について

息切れや胸の痛みを感じたあとに失神することがあれば、循環器内科や心臓血管外科などで相談してください。治療法として薬や手術、カテーテル治療があります。

8. 脳梗塞・脳出血

めまい・立ちくらみに加えて次のうち当てはまるものがひとつでもあれば、脳出血脳梗塞の可能性があります。

脳梗塞脳出血の特徴】

  • 年齢が60歳以上である
  • 頭痛がある
  • 意識がぼんやりしている、おかしなことを言う
  • 呂律(ろれつ)が回らない、しゃべりにくい
  • 手足や顔が動かしづらい麻痺している
  • 体の感覚がおかしい
  • ものが二重に見える
  • 強い吐き気がある、嘔吐を繰り返す

脳梗塞脳出血では、症状があってもしばらく動き回れる場合があります。放っておくと命に関わるので、倒れる倒れないに関わらず、すぐに救急科脳神経外科神経内科などで診察を受けてください。

脳出血・脳梗塞でめまい・立ちくらみが出るのはなぜ?

脳出血脳梗塞で、脳幹(のうかん)や小脳という部分に異常が起こるとめまいの症状があらわれます。たとえば小脳出血の症状は、突然のめまい、頭痛、吐き気や嘔吐、ふらつきです。脳出血脳梗塞は60歳以上の高齢者では特に起こりやすいので症状に気を付けてください。

9. 脳腫瘍

脳腫瘍が聴神経や脳幹、小脳にできた場合は浮動性めまいが起こることがあります。通常はゆっくりと症状が進行していきます。2週間以上めまいが続いている場合は、脳神経外科に行って診察を受けてください。

10. 神経変性疾患

パーキンソン病多系統萎縮症レビー小体型認知症、小脳性運動失調症、多発性硬化症などは、脳や神経の細胞に異常が起こる病気で、神経変性疾患と総称されます。ここまでに挙げた病気と比べるとかかる人がかなり少ないのですが、めまいの原因にもなります。

たとえばパーキンソン病は、手足の震えや、手足の筋肉が固くなってスムーズに動かなくなるといった症状が中心ですが、立っているときや歩くときにふらつく、浮動性めまいのような症状や、起立性低血圧、すなわち立ちくらみを起こすこともあります。

パーキンソン病を含めて神経変性疾患は症状をひとことで説明しにくく、治療が難しいものが多いです。

神経変性疾患の対策は?

神経変性疾患には、最先端の医学でもなかなか改善できない難病が多いです。症状も多様で見分けにくいので、あらかじめ気を付けておくのは難しいのですが、日頃から自分の体の正常な状態を把握しておくことは大切です。

もともと体をどの程度自由に動かせているかを意識して、もし変化があったときに気付けるようにしてください。万一気になる変化があれば神経内科などで相談してください。

11. 心因性めまい

不安や心配事、ストレスがめまいのきっかけになることがあります。
様々な事柄に対して強い不安を感じる状態は、不安障害と呼ばれます。不安障害の中でも突然の息苦しさやめまいの発作を起こして、生活に支障が出る場合はパニック障害と呼ばれます。
また、うつ病によってめまいが生じることもあります。

不安障害の症状について

不安障害の発作では、いわゆる過呼吸により、過換気症候群(かかんきしょうこうぐん)と呼ばれる症状が出ます。

過換気症候群の症状について】

  • 呼吸が苦しい
  • 動悸
  • 手足がしびれる
  • 手足が冷たい
  • めまい

過換気症候群の症状が出たら、なるべくゆっくりと呼吸して、落ち着くのを待ってください。不安障害で頻繁に強い症状が繰り返すときには、抗不安薬や抗うつ薬といった薬が処方されることもあります。

うつ病によるめまいについて

心の不調を感じていて、めまいや立ちくらみの症状もあれば、薬や心理療法が必要な段階です。精神科や心療内科で診察を受けてください。めまいを感じる人の中でうつ病も同時に抱えている人は少なくないと考えられています。根本的な治療をしなければ、めまいを繰り返し、何度も救急車を呼ぶことにもなってしまいます。ストレスの原因を取り除くことはもちろん大切ですが、自分では変えられない原因で強いストレスを受けてしまうこともあります。まずは病院に行って、症状を楽にしてください。

12. 自律神経失調症

自律神経失調症はめまい・立ちくらみの原因にもなります。自律神経失調症の症状は人によって大きく違います。

自律神経失調症の主な症状】

  • めまい・立ちくらみ
  • 頭痛
  • 耳鳴り
  • 体中の痛み
  • 動悸
  • 手足の痺れ

上記は代表的な症状です。症状は時間帯によって、あるいは日によって変化が大きいことも特徴です。

自律神経失調症はストレスなどをきっかけとして、自律神経のバランスが崩れることが原因です。ストレスの原因をなくす、ストレスに強くなる、ストレスを解消するなど、自分でもできる対処法があります。薬や心理療法にも効果があります。詳しくは「自律神経失調症の改善法」で紹介しています。

13. 更年期障害

閉経の前後の女性ホルモンの変化が原因で、以下のような更年期障害の症状があらわれます。

更年期障害の主な症状】

  • めまい
  • のぼせ
  • 冷え
  • イライラ
  • 疲れやすい

更年期障害は閉経の前後、年齢で言うと40代から50代ごろの女性にあらわれます。すなわち、この年代の女性にめまいがあれば、更年期障害の可能性も考えられます。更年期障害によるめまい・立ちくらみに対して、婦人科でホルモン剤や漢方薬などの治療が受けられます。

14. 低血糖

糖尿病で薬を飲んでいる人やインスリン注射を打っている人が、食事を摂らなかったことなどをきっかけとして血糖値が下がり過ぎると、めまいやふらつきの症状があらわれます。動悸や冷や汗の症状も特徴的です。低血糖かもしれないと思ったら、アメを舐めたり、ジュースを飲んだりするなど、糖分を摂取してみてください。血糖値が安全な水準まで戻れば、すぐに症状は良くなります。糖尿病の薬を飲む人は、念のため糖分が取れる食品を携帯しておくとよいです。

15. 緊張型頭痛、鞭打ち(頚椎捻挫)、頚性めまい

頭痛や肩・首の筋肉の緊張と関連して、めまいが出ることがあります。

  • 緊張型頭痛
    • 首や肩の筋肉の緊張・こりが原因で起きる頭痛です。
  • 鞭打ち(むちうち)
    • 頚椎捻挫(けいついねんざ)とも言います。交通事故の後遺症として首から肩の痛みや痺れ、筋肉の張りが長く続きます。
  • 頚性(けいせい)めまい
    • 怪我や老化による首の筋肉や靭帯(じんたい)、骨の変形が原因で起きるめまいです。

いずれも、首にある自律神経が刺激されることでめまいが起こると考えられていますが、はっきりとしたメカニズムは分かっていません。

これらの病気に伴うめまいに苦しんでいる人は多いのですが、有効な治療は確立されていません。

16. 貧血

めまいや立ちくらみがあるとまず「貧血かな」と思うかもしれません。もちろん貧血もめまいの原因になります。医学用語で言う貧血とは、血液中で酸素を運搬する赤血球が減ってしまった状態のことを言います。血液検査ではヘモグロビン(Hb)という項目の値が低くなります。

貧血の症状は次のものです。

貧血の主な症状】

  • めまい・立ちくらみ
  • 疲れやすさ
  • 動悸
  • 息切れ

めまいや立ちくらみの症状自体を貧血とは言わないので、ふらふらすると思って病院に行ったら「貧血ではありません」と言われて不思議に感じることがあるかもしれません。これは「あなたのふらふらする症状の原因は赤血球が減っていることではありません」という意味です。

女性のめまい・立ちくらみの原因

医学用語で「貧血」という名前がついた病気はいくつもあります。

貧血の種類】

貧血の多くは鉄欠乏性貧血で、治療では鉄剤を内服します。しかし、中には入院治療が必要な重い病気もあります。病院で「貧血」と言われたら「ただの貧血か」と思わずに、どんな病気かよく説明を聞いてください。

鉄欠乏性貧血の対策について

最も多い鉄欠乏性貧血の予防は、鉄分を不足させないことです。

鉄欠乏性貧血は女性に多い貧血で、主な原因は下記の3つです。

鉄欠乏性貧血は、鉄分を補う錠剤などで治療すれば数ヶ月で症状がなくなります。