めまい・耳鳴り

めまいや耳鳴りに悩んでいる人のためのガイドです。どちらも長年苦しんでいる人が多く、2つの関連性も強い症状です。めまいや耳鳴りは不快なだけでなく、怖い病気が隠れていることもあります。是非このガイドを通じて、自分に合った治療法や対処法を見つけてください。

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最終更新: 2016.08.23

突発性難聴に薬は効く?原因、症状、治療と治りにくい場合

耳鳴りの原因のひとつが突発性難聴(とっぱつせいなんちょう)です。50代から60代の人に多く、突然症状が始まります。突発性難聴の原因や症状、治療に使うステロイド薬副腎で作られるホルモンの1つ。ステロイドホルモンを薬として使用すると、体の中の炎症や免疫反応を抑えることができるため、様々な病気の治療で用いられているなどの特徴と注意点を説明します。

 

 

1. 突発性難聴とは?

 

突発性難聴とは、突然片方の耳が聞こえづらくなる病気です。50代から60代に多いです。

薬の治療がありますが、元通りに回復する人は3分の1ほどにとどまります。

突発性難聴はひとつの病名です。突然聞こえなくなる症状はほかの病気が原因のこともあります

 

2. 突発性難聴の症状は?

突発性難聴の主な症状は以下です。

  • 難聴
  • めまい
  • 耳鳴り
  • 耳が詰まった感じ(耳閉感)

眠っているうちに突発性難聴が発生し、朝起きたら片方の耳が聞こえなくなっていることもありえます。

 

「難聴」なのに耳鳴り?

突発性難聴で聞こえにくくなるのと同時に耳鳴りも聞こえることがあります。

難聴なのになぜ耳鳴りがするのか不思議に思えるかもしれません。実はどんな病気でも難聴と耳鳴りは同時に起こりやすいのです。たとえばメニエール病では難聴と同時に低音の耳鳴りが聞こえる人がいます。

耳鳴りは正常な人でもよく聞こえます。正常な耳鳴りの多くは高音です。低音の耳鳴りは病気の恐れがあります。

耳鳴りの原因を耳鼻科で調べると難聴が見つかることはよくあります。

 

3. 突発性難聴は治る?

突発性難聴で聴力がほぼ元通りまで回復する人はおよそ3分の1です。適切な治療が行われれば聴力はある程度治ります。しかし、3分の1は聴力が元よりは低い水準になります。残り3分の1は良くならないままです。特に、難聴にめまいを伴った場合、難聴の治りが悪いことが知られています。

突発性難聴再発しません。治療して聴力が回復すれば完治と言えます

もし再発のように感じることがあれば、メニエール病などの原因を調べる必要があります。

 

4. 突発性難聴の原因は?

画像:耳の断面図。音は外耳・中耳を通って内耳で神経の信号に変換され、蝸牛神経を通って脳に送られる。

 

突発性難聴の原因は不明です。いくつかの要素が原因に関係すると考えられています。

  • ウイルス様々な病気の原因となる病原体の一つ。細菌とは別物であり、抗菌薬は無効であるの感染
  • 炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出る
  • 血流障害
  • 異常な免疫病原体に対する体の防御システム。何かのきっかけで、免疫が過剰反応している状態がアレルギーで、免疫が自分自身の体を攻撃してしまうのが自己免疫疾患

突発性難聴にかかりやすい人は、年齢が50代から60代の人です。もともと健康な人にでも突然発生します。

難聴の症状は、突発性難聴以外にも以下の原因で起こります。

このうち突然聞こえにくくなるものは以下です。

  • 急性中耳炎
    • 発熱や耳だれ(細菌などに感染すると、免疫を担当する細胞(白血球)が細菌と戦うが、その結果として死んだ細胞や細菌が集まったものが膿である)が出ることがあります。
  • 鼓膜損傷
    • 耳かき、耳をぶつけたなどで鼓膜が傷付きます。
  • 外耳道異物
    • 耳に物が詰まっています。耳垢が詰まっていることもあります。
  • 外耳道炎
    • 耳だれやかゆみが出ることがあります。
  • 外耳道損傷
    • 耳に傷がついています。
  • メニエール病
    • 激しいめまいの発作比較的急激に、症状が一定時間あらわれること。その後の時間経過や適切な治療によって、症状が無くなりやすいものを指すことが多いを繰り返します。
  • 外リンパ瘻
    • 鼻をかむなどで内耳に穴が開きます。
  • 流行性耳下腺炎
    • 耳の下が腫れる「おたふくかぜ」のあとで聞こえにくくなります。
  • ラムゼイ・ハント症候群
    • めまい、顔の半分が動かしにくい、耳の水ぶくれなどの症状があります。
  • 薬剤性難聴
    • 薬を飲んだり注射したあとで聞こえにくくなります。
  • 髄膜炎
    • 頭痛、嘔吐、首が曲がらないなどの症状があります。
  • 脳梗塞
    • 体を動かしにくい、感覚がおかしいなどの症状があります。

 

ストレスは難聴の原因になるか?

心因性難聴と呼ばれる状態はストレスが原因と考えられています。

心因性難聴は、音を聞いて日常生活はできているにもかかわらず、聴力検査耳の聴こえ具合を調べる検査。複数の周波数(音の高さ)で、どの程度の大きさの音まで聴こえるかを測定するでは聴力低下の結果が出る状態です。主に子供に発生します。突然始まることもあります。

 

5. 突発性難聴の治療薬:ステロイド薬

突発性難聴の治療には、炎症や異常な免疫を抑えるステロイド副腎で作られるホルモンの1つ。ステロイドホルモンを薬として使用すると、体の中の炎症や免疫反応を抑えることができるため、様々な病気の治療で用いられているの飲み薬または点滴が中心になります。

入院して、安静を保って点滴治療をすることが望ましいですが、外来でも突発性難聴の治療は可能です。

 

 

ステロイドとは?

医療用で使われているステロイド薬の多くは私たちの体内の副腎(ふくじん)という臓器から分泌されるコルチゾールというホルモン体内で作られて、血流にのって体の特定の部位を刺激する物質。内分泌物質とも呼ばれるを元に造られたものです。突発性難聴に対して使われるステロイド薬としてプレドニン®プレドニゾロンなどがあります。

 

ステロイドの効果は?

炎症を和らげる作用など多くの有用な作用を持ち、アレルギー免疫反応によって、体が過剰な防御反応を起こして悪影響が生じてしまう状態性疾患、自己免疫疾患本来は外敵を倒すために働くはずの免疫が、何らかの異常によって自分の体を攻撃してしまう病気の総称など多くの病気や症状に対して使われています。突発性難聴の治療でも、ステロイド薬は主に内耳や神経の炎症を抑え、耳鳴りなどの症状を改善する目的で使われます。

 

ステロイド薬の使い方の注意点は?

ステロイド薬は、一般的には漸減(ぜんげん)またはテーパリングといって、最初にある程度の量のステロイド薬を使用し一般的には1-2週間程度かけて徐々に薬の量を減らしていく治療方法がとられます。漸減しながら使っているときは用量を守ることがとても大切になります。正しく漸減しないと、大きな副作用が出ることがあります。

 

突発性難聴でステロイド薬の副作用は出る?

ステロイド薬は高い有効性をもつ一方で、感染症何らかの病原体が引き起こす病気。細菌、ウイルス、真菌などが原因となることが多い。人から人へ直接うつらないものも含めた総称高血糖血糖値が高い状態。いくつ以上が高血糖という基準はないが、糖尿病にかかっている人は血糖値が高くなりがちであるなどの副作用にも注意しなくてはいけません(コラム「ステロイド内服薬の副作用とは」で詳しく解説しています)。

ステロイド薬に注意すべき点は多いのですが、何よりも危険なのは、自己判断で中止したり量を変えて飲んだりすることです。これは他の病気であっても同様です。かえって病気が悪化したり、症状がぶり返したり、治りが遅くなる場合もあります。

突発性難聴の治療でステロイド薬を出されたときは、使用期間や使用中の注意点、副作用が出たときの対処など、処方医や薬剤師からよく話を聞いておき、適切に使って治療していくことが大切です。

 

妊婦や授乳中の女性がステロイドを使っても大丈夫?

ステロイド薬は妊娠中に処方される場合もあります。胎盤をほとんど通過しないと考えられており、お腹の赤ちゃんに影響はありません。

授乳中には母乳に移行する可能性があり、使用中は授乳を止めるよう言われます

 

6. 突発性難聴の治療薬:ベタヒスチンメシル酸塩

ベタヒスチンメシル酸塩(商品名:メリスロン®など)は、抗めまい薬とも呼ばれる薬です。内耳や脳の血流を改善し、突発性難聴によるめまいに効果をあらわします。

 

ベタヒスチンメシル酸塩の副作用は?

ベタヒスチンメシル酸塩の副作用が出ることは非常にまれですが、吐き気などの消化器症状がありえます。胃潰瘍などを持病で持っている人は特に、突発性難聴でベタヒスチンメシル酸塩を使っていて吐き気が出たら医師や薬剤師に相談しましょう。

 

7. 突発性難聴の治療薬:ジフェニドール塩酸塩

ジフェニドール塩酸塩(商品名:セファドール®など)は、抗めまい薬とも呼ばれる薬です。前庭耳の奥にある内耳の一部で、平衡感覚をつかさどる器官神経の血流を改善する作用、脳や神経の異常な信号を抑える作用により、突発性難聴のめまいや耳鳴りの症状に効果が期待できます。

 

ジフェニドール塩酸塩の副作用は?

ジフェニドール塩酸塩の副作用として、口が渇く食欲不振などのほか、非常にまれですが、排尿障害排尿に様々な異常がある状態。尿が出にくい、尿がもれる、頻尿、排尿時痛などの症状の総称や眼圧の変化なども起こる可能性があります。緑内障前立腺男性の尿道の奥の部分を取り囲むようにある臓器。前立腺液と呼ばれる液体を分泌したり、尿の排泄をコントロールしたりしている肥大などの持病がある人はこれらの副作用により悪化する恐れがあるので注意が必要です。

 

8. 突発性難聴の治療薬:アデノシン三リン酸二ナトリウム(ATP)製剤

アデノシン三リン酸二ナトリウム(ATP)製剤(商品名:アデホストリノシン®など)は、血管拡張により血流を改善し、脳や内耳の代謝体内で行われる、物質の合成や分解などの化学反応のことを促進したり、神経伝達の効率を改善したりすることで、突発性難聴のめまいや耳鳴り・難聴を改善します。アデホスの注射剤(アデホス-Lコーワ注)などは耳鳴りと難聴に対して保険適用があります。

実際に多くの人が使っているのはアデホスコーワ顆粒などの顆粒剤です。

ATP製剤は全体に飲み合わせや安全性の問題がかなり少ないこともあり、耳鳴りやめまいの再発予防薬として長期的に飲む人も多い薬です。

 

9. 突発性難聴の治療薬:脳の血流・代謝を改善する薬

脳の血液循環を改善する薬は、脳に栄養や酸素が送られやすくすることで、突発性難聴の症状を改善します。

ニセルゴリン(商品名:サアミオン®など)は脳循環の改善作用をあらわす薬です。

イフェンプロジル酒石酸塩(商品名:セロクラール®など)は血管を広げることで脳血流を増加させ循環を改善する他、血液が固まるのを抑える作用があります。

イブジラスト(商品名:ケタス®など)は血管を広げる作用、炎症を抑える作用、血液が固まるのを抑える作用、神経を保護する作用などがあり、脳の循環障害によるめまい、ふらつき、立ちくらみの改善が期待できます。

 

10. 突発性難聴の治療薬:ニコチン酸アミド・パパベリン塩酸塩配合錠

ストミンA®配合錠(商品名)には2種類の有効成分が配合されています。

ニコチン酸アミドは、内耳の細胞の機能を改善します。パパベリン塩酸塩は、内耳の血流を改善します。この2種類の作用により、内耳や神経に原因がある突発性難聴の耳鳴りに対して効果が期待できます。

ストミンA®配合錠で副作用が起こることはまれとされますが、眠気頭痛などの精神神経系症状や、便秘口の渇きなどの消化器症状には注意が必要です。

 

11. 突発性難聴に対するステロイド鼓室内注入療法とは?

 

ステロイド鼓室内注入療法は、鼓膜に小さい穴を開け、鼓膜の奥にある鼓室(こしつ)という空間にステロイド薬を注入する治療法です。

ダメージを受けている部分に近い場所から直接ステロイド薬を届かせることで、飲み薬や点滴で全身に行き渡らせるよりも効率的に治療する狙いがあります。

ステロイド鼓室内注入療法はもともとは子どもの中耳炎に対して行われていた治療法です。突発性難聴に対しては、標準的な治療であるステロイドの飲み薬、点滴で効果がみられない場合の選択肢として考えられます。

中耳炎に対して行われていることから、安全であることはわかっています。穴を開けた鼓膜は1ヶ月程度で自然に塞がります。

 

12. 突発性難聴に漢方薬は効く?

突発性難聴で耳鳴りの症状が出ているとき、以下の漢方薬が有効な場合があります。

  • 五苓散(ゴレイサン)
  • 半夏白朮天麻湯(ハンゲビャクジュツテンマトウ)
  • 柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)
  • 加味帰脾湯(カミキヒトウ)
  • 抑肝散(ヨクカンサン)
  • 釣藤散(チョウトウサン)

漢方薬はひとりひとりの症状や体質に合わせて選ばれます。「耳鳴りに効果が期待できる漢方薬は?」で詳しく説明しています。

 

13. 突発性難聴は補聴器で聞こえるようになる?

突発性難聴の治療後に軽度の聴力低下が残った場合、補聴器で改善できる可能性があります。

補聴器は原理から伝音性難聴に適しているとされます。突発性難聴は感音難聴なので、最適とは言えません。しかし実際には感音難聴で補聴器を使っている人もいます。

 

人工内耳とは?

人工内耳は、手術で体に埋め込むことで高度の難聴を改善する装置です。体の外で音を集める部分と、埋め込んで脳に信号を送る部分からできています。有効性には個人差があります。また、聞こえるようになるまでにリハビリテーションが必要です。日本でも使われています。

 

14. 突発性難聴の薬はいつまで?

突発性難聴を薬で治療すると、3分の1の人は聴力が元通りに回復します。治れば薬をやめることができます。

ところが、適切な治療が行われても、3分の1は聴力がある程度回復するけれども元よりは低い水準になり、3分の1は良くならないままです。

突発性難聴は治療を始めるのが早いほど結果が良くなります。特に症状が始まってから48時間以内に治療開始出来れば、聴力が改善する可能性が上がります。遅くても2週間以内の治療開始が望ましいです。

治療開始した人の約半数は10日以内に症状が改善し始めます。症状が始まって2ヶ月から3ヶ月の時点で聴力が固定し、それよりあとは治療を続けても改善しにくくなります。このため、できるだけ早く治療を始め、2ヶ月以内に効果を出すことが大事です。

少しでも早く治療を始めるため、もし気になる症状が現れたら急いで耳鼻咽喉科(じびいんこうか)の病院・クリニックに相談してください。

 

15. 突発性難聴の名医はどこにいる?

突発性難聴を専門にしている診療科は耳鼻咽喉科です。耳鼻咽喉科専門医の資格を持っている医師は、突発性難聴にも詳しいでしょう。

このサイトで耳鼻咽喉科専門医がいる医療機関を検索できます。

ただし、突発性難聴は現在、どうしても「確実に治せる」とは言えない病気です。突発性難聴を確実に治せる名医はいません。もし「突発性難聴の名医」の噂を見かけたら、まずは疑ってかかったほうがいいでしょう。

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