前庭神経炎の症状、治療、薬 | MEDLEY(メドレー)
めまい・耳鳴り
最終更新: 2018.03.19

前庭神経炎の症状、治療、薬

前庭神経炎は、ある日突然目の前がぐるぐる回るような激しいめまいを感じ、吐いてしまう病気です。症状は数ヶ月続く人もいますが、ほとんどは完治し、再発しません。前庭神経炎の特徴や原因、治療について解説します。

1. 前庭神経炎の症状

前庭神経炎突然始まるめまいを特徴とする病気です。主な症状をまとめます。

  • 目の前がぐるぐる回るような激しいめまい(回転性めまい)
  • ふらつき、体がふらふら、くらくらする
  • 体が左右の一方に傾く、転びそうになる
  • 吐き気・嘔吐

めまいが出ているときに周りの人から見ると、視線が左右にピクピク動く症状(眼振)が出ていることがあります。眼振は前庭神経炎の診断の上で重視される特徴です。右か左の一方向に、水平に動く眼振(方向固定性水平性眼振)の場合が多いです。

前庭神経炎で出にくい症状

前庭神経炎では普通、難聴や耳鳴りはありません。めまいと難聴・耳鳴りの症状があるときは、メニエール病突発性難聴などが考えられます。

また、前庭神経炎は一度症状が治まってしまえば通常は再発しません。何度もめまいの発作を繰り返すときはメニエール病が考えられます。

前庭神経炎の検査と診断

回転性めまいを起こす病気として、前庭神経炎以外にも以下が考えられます。

前庭神経炎のように見えても実はこうした病気である可能性がないか、問診聴力検査で調べます。

脳の異常と紛らわしい場合は、神経の働きを調べる診察やMRIなどで脳に異常がないか探します。

2. 前庭神経炎の原因

前庭神経炎の原因は、ウイルス感染や感染後の炎症と考えられています。前庭神経炎の多くは、風邪を引いた数日後に起きます。

前庭神経炎でめまいが出るのはなぜ?

前庭神経は身体の傾きの感覚を脳に伝える神経です。傾きの感覚は、上の図にある前庭と三半規管が感じ取っています。前庭と三半規管は内耳の一部です。前庭・三半規管から脳に向かって前庭神経が伸びています。

前庭神経に異常があると傾きの感覚がおかしくなり、めまいが起こります。前庭神経炎では、左右にひとつずつある前庭神経のうち左か右の片方が障害されています。

風邪を引かなければ前庭神経炎にならない?

風邪を引いていなくても前庭神経炎になることがあります。原因として、以前感染した後に身体のなかで眠っていたウイルスが再び活動して前庭神経を傷付けているとする説があります。

3. 前庭神経炎の治療

前庭神経炎の症状が強い期間は1日から2日で、その後数日から1週間程度でめまいはしだいに治まっていきます。その間、めまいや吐き気の症状を抑えるために薬を使う治療法があります。

前庭神経炎でめまいが治まったあとも、ふらつきやくらくらする感じが数ヶ月残ることがあります。眼振は1年以上続く人もいます。ほとんどの人は完治します。再発はめったにありません。

以下では前庭神経炎に対して使われる薬などの治療の例を挙げて、それぞれについて説明します。

抗めまい薬

ベタヒスチンメシル酸塩(商品名:メリスロン®など)は、抗めまい薬とも呼ばれる薬です。内耳や脳の血流を改善し、めまいの治療に効果をあらわします。

ベタヒスチンメシル酸塩の副作用が出ることは非常にまれですが、吐き気などの消化器症状がありえます。胃潰瘍などを持病で持っている人は特に、ベタヒスチンメシル酸塩を使っていて吐き気が出たら医師や薬剤師に相談してください。

抗めまい薬にはほかにジフェニドール塩酸塩(商品名:セファドール®など)もあります。前庭神経の血流を改善する作用、脳や神経の異常な信号を抑える作用により、めまいに効果が期待できます。

ジフェニドール塩酸塩の副作用として、口が渇く食欲不振などのほか、非常にまれですが、排尿障害眼圧の変化なども起こる可能性があります。緑内障前立腺肥大などの持病がある人はジフェニドール塩酸塩の副作用により悪化する恐れがあるので注意が必要です。

ステロイド薬

ステロイド薬は神経の炎症を抑える作用があります。前庭神経炎によるめまい・ふらつきを改善する目的で使われます。

医療用で使われているステロイド薬の多くは私たちの体内の副腎(ふくじん)という臓器から分泌されるコルチゾールというホルモンを元に造られたものです。前庭神経炎に対して使われるステロイド薬としてプレドニン®プレドニゾロンなどがあります。

ステロイド薬は炎症を和らげる作用など多くの有用な作用を持ち、アレルギー性疾患、自己免疫疾患など多くの病気や症状に対して使われています。前庭神経炎の治療でも、ステロイド薬は前庭神経の炎症を抑え、めまい・ふらつきの症状を改善する目的で使われます。

ステロイド薬は、一般的には漸減(ぜんげん)またはテーパリングといって、最初にある程度の量のステロイド薬を使用し1~2週間程度かけて徐々に薬の量を減らしていく治療方法がとられます。漸減しながら使っているときは用量を守ることがとても大切になります。

ステロイド薬で出る可能性がある副作用を挙げます。

ステロイド薬を長期間使い続ける場合には特に注意が必要です。普通、前庭神経炎でステロイド薬を使うのは短期間です。治療が終わったあとから影響が出ることはありません。また、ステロイド薬は副作用もあらかじめ考えに入れたうえで使われます。たとえば胃潰瘍を防ぐため胃薬も同時に使うなど、副作用には対策が可能です。

ステロイド薬は妊娠中に処方される場合もあります。お腹の赤ちゃんに影響はありません。

授乳中には母乳に移行する可能性があり、使用中は授乳を止めるよう言われます。

吐き気を抑える薬

めまいに伴う吐き気の症状を抑える薬も使われます。

ドンペリドン(商品名:ナウゼリン®など)やメトクロプラミド(商品名:プリンペラン®など)は吐き気止めとしてよく使われている薬です。飲み薬がよく使われていますが、注射剤もあります。

ほかにトラベルミン®などの鎮暈薬(ちんうんやく)も使われます。

その他の薬

前庭神経炎の治療には、抗めまい薬のイソプレナリン塩酸塩(商品名:イソメニール®)などの薬が使われる場合もあります。

リハビリ

前庭神経炎のめまいに対しては、リハビリが有効です。早くリハビリを始めたほうが、治りがいいです。 急に始まるめまいに気が付いたら耳鼻咽喉科の病院・クリニックに行けば、薬やリハビリで早く治せます。

前庭神経炎の治療に食事は関係する?

前庭神経炎の治療中には、原則として食べてはいけないものはありません。食べやすいものを食べて体力をつけてください。吐き気・嘔吐の症状が出ているときには刺激の少ないものが食べやすいでしょう。

前庭神経炎の診療ガイドラインはある?

前庭神経炎の治療については、診療ガイドラインを評価し掲載している「Minds」に掲載されたガイドラインはありません。



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