ぷれこーでぃあるきゃっちしょうこうぐん
プレコーディアル・キャッチ症候群
若年者に多く見られる、突然起こる胸の痛み
5人の医師がチェック 87回の改訂 最終更新: 2022.11.14

プレコーディアル・キャッチ症候群の基礎知識

POINT プレコーディアル・キャッチ症候群とは

6歳から20歳くらいの子供に多く見られる、突然胸の痛みを起こす病気です。運動している時よりは安静時に起こりやすく、左前胸部に刺すような痛みが数十秒から数分ほど起こることが典型的です。また、深呼吸で息を吸った時に痛みが強くなるのも特徴的です。痛みの範囲はあまり広くなく、指1,2本で指し示せる程度のことが多いです。胸の筋肉や神経の問題と考えられていますが、正確な原因は分かっていません。診断は必要に応じて胸部レントゲン(X線)検査や心電図検査を実施し、他の病気がなさそうであることを確認することで行います。特に治療は必要とせず、自然に治る病気なので様子をみることになります。プレコーディアル・キャッチ症候群で本当によいのかどうか心配な方や、もともと心臓や肺に持病を持っている方などは小児科や循環器内科、呼吸器内科などを受診して相談してください。

プレコーディアル・キャッチ症候群について

  • 若年者に多く見られる、突然起こる胸の痛み
    • 6-12歳に最も多く見られる
  • 悪化したり後遺症を残したりする病気ではないため、治療の必要はない
    • 歳を取るにつれて自然に痛みは消失する
  • 確定的な原因は判明していないが、肋骨周囲の筋肉の痙攣あるいは肋間神経の障害が原因ではないかと考えられている

プレコーディアル・キャッチ症候群の症状

  • 突然起こる胸の痛み
    • 鋭く、刺される様な痛み
    • 胸の左側の乳頭(ちくび)周囲に多い
    • 深呼吸で痛みが強くなる
  • 胸痛は30秒から3分程度で治まることが多い
  • 安静時に起こることが多く、睡眠中には起こらない
  • 胸の痛み以外の症状はない

プレコーディアル・キャッチ症候群の検査・診断

  • 症状の特徴から診断する
  • 心電図、血液検査やレントゲン写真やCT検査といった画像検査では異常が見られないが、その他の病気でないことを確認するために行われることがある
    • 検査で異常が出ないことがプレコーディアル・キャッチ症候群の診断の条件

プレコーディアル・キャッチ症候群の治療法

  • 悪化したり後遺症を残したりする病気ではない
  • 逆に、薬剤などを用いて症状が抑えられる病気でもないため、治療は行われない
    • 歳を取るにつれて痛みが自然に消失するのを待つ
    • 痛みがある時は鎮痛薬を用いることがある

プレコーディアル・キャッチ症候群の経過と病院探しのポイント

プレコーディアル・キャッチ症候群が心配な方

プレコーディアル・キャッチ症候群は、6-12歳を中心とした若年者に多く見られる、突然起こる胸の痛みです。特に治療の対象となる異常はなく、経過が良好であることが特徴です。

基本的に治療の必要がないため、様子をみていて改善するようであれば病院を受診する必要はありません。しかし、家族で心筋梗塞などに若い年齢でなった方がいる場合や、もともと心臓の病気を起こす可能性がある何らかの疾患(例えば川崎病など)を持っている方は、胸の痛みの影に重大な病気が隠れている可能性もあるため、一度受診を検討されてください。

その場合は内科や循環器内科を受診しましょう。基本的には症状やその方の特徴(年齢や今までかかった病気、家族の病気など)から診断するため、検査を実施しないことも多くあります。治療の必要がある胸痛ではないことを確認するために、心電図や血液検査、心エコー(超音波)検査などを行うこともあります。

普段から通院しているクリニックまたは病院があるならば、まずはそこの医師に相談すると良いでしょう。クリニックであっても上記の検査が実施可能なところも多くありますし、もし診察や検査ができなくても、適切に循環器内科や内科を紹介してくれるでしょう。

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プレコーディアル・キャッチ症候群でお困りの方

プレコーディアル・キャッチ症候群であれば治療の必要はありません。基本的には自宅で様子を見ていて大丈夫な疾患です。痛みは30秒から長くて数分で治まることが多いです。それよりも長く続く場合、胸痛以外の症状も訴えている場合、いつもより明らかに違う場合は早めに医者に診てもらった方が良いでしょう。

歳を取るにつれて、次第に症状が起こりにくくなります。中年以降の方には認められることが少ないため、この年齢で胸痛が起こった場合は、他の重篤な疾患の可能性も考慮して早期に受診をされて下さい。

なお、プレコーディアル・キャッチ症候群は病気としての危険性が低いこともあり、医療者間でもあまり有名な病気ではありません。そのため、明確にこの診断名を告げられることは少ないかもしれません。

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