しんけいせいやせしょう
神経性やせ症
太ることへの強い恐怖、意図的な体重減少、自身の体型や体重に対する歪んだ認知が見られる摂食障害の一種
7人の医師がチェック 66回の改訂 最終更新: 2023.06.13

神経性やせ症の基礎知識

POINT 神経性やせ症とは

太ることへの強い恐怖や自身の体型・体重に対する歪んだ認知によって起こる摂食障害の1つです。若い女性に多く見られます。必要量に比べて摂取カロリーが少ないために、強いやせがあります。低体重であるにも関わらず、「体重増加」や「肥満」に対して強い恐怖があり、体重増加を妨げる行動(食べ物選択の制限や過度の運動、嘔吐の誘発、下剤の使用)をとります。また、ホルモンのバランスに影響を与え、女性では無月経、男性では性欲、性的能力の減少が見られます。問診から診断が行われ、認知行動療法を中心とした治療が行われます。体重の減少が極めて著しい人には入院して点滴が必要になります。神経性やせ症が心配な人やその周りの人は精神科で相談してください。

神経性やせ症について

  • 太ることへの強い恐怖、意図的な体重減少、自身の体型や体重に対する歪んだ認知が見られる摂食障害の一種
  • 自らの意思に基づく、意図的な体重減少が特徴
  • 青年期の若い女性に多く見られる
    • 男性に神経性やせ症が見られた場合は、その後の経過はあまり良くない
  • 原因ははっきりしていないが、痩せた女性を賛美する社会文化的要因や何らかの心理機制などが関連していると考えられている

神経性やせ症の症状

  • 必要量と比べてカロリー摂取が不足していて、BMIが18.5以下であるなど強いやせがある
    • 思春期前では、成長期に本来あるべき体重増加が見られない場合がある
  • 低体重でもあるにもかかわらず、体重増加または肥満になることに対する強い恐怖があり、体重増加を妨げる持続的な行動(食物選択の制限、過度の運動、嘔吐の誘発、下剤の使用)がある
  • 低体重の深刻さに対する認識に欠け、十分痩せているのに「まだ太っている」といった体重や体型の歪んだ認識を持っている
  • 体重減少によってさまざまな臓器に影響が出る
    • 女性では無月経、男性では性欲、性的能力の減少がみられる

神経性やせ症の検査・診断

  • 体重減少(BMIが目安となる)
  • 体重減少の結果として、成長ホルモン甲状腺ホルモンインスリン分泌の異常が見られることがある

神経性やせ症の治療法

  • 精神科の薬物療法は多くの場合効果がない
  • 認知行動療法が効果のある場合がある
  • 体重減少が著しく生命の危険がある場合は、入院のうえ点滴治療が必要となる

神経性やせ症の経過と病院探しのポイント

神経性やせ症が心配な方

神経性やせ症は若い女性に多く見られる、意図的な体重減少が特徴的です。体重減少のため無月経貧血起立性低血圧などの症状が見られます。

神経性やせ症の患者さんは自分が病的な状態であると感じていない場合もあるため、周囲の人が心配して患者さんに受診を勧める場合も多いです。その場合、最初に受診するのは内科や産婦人科であることが多いです。

内科では体重減少や体調不良についての相談、産婦人科では無月経の相談が一般的で、そこで医師から精神科や心療内科、メンタルヘルス科の受診を勧められます。もちろん最初から精神科や心療内科を受診される方も少なくないですが、体重減少の程度や月経の状態によって、内科や産婦人科と連携が必要になってくる場合が多いです。

もし、かかりつけの内科がすでにあるようであれば、そこから診療情報提供書(紹介状)をもらったうえで受診することをお勧めします。その他の病気の有無、検査結果は状態の把握のために必須になりますし、診療情報提供書がないと基本的な検査を一からやり直すことになってしまうためです。

神経性やせ症の診断は体重減少の程度と、食行動の異常や意図的な排出などの意図的な体重減少がみられるかどうかの評価によって行われます。身体状態の評価や他の身体疾患の有無を調べるために血液検査を行います。

治療に関しては内科、産婦人科、精神科での連携が必要な場合があったり、身体状態が悪い場合は入院が必要になるケースが多いので、可能であれば精神科外来のある総合病院を受診されることをおすすめします。

神経性やせ症の診断、治療は精神科専門医、精神保健指定医であれば一定の知識や経験を持って診療にあたっていますが、神経性やせ症を専門にしている精神科医がいる病院があり、より適切な診断や治療をうけられる可能性がより高くなります。

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神経性やせ症でお困りの方

神経性やせ症の治療において最も大切なことは患者さん本人に病気であるという認識、治療を受ける意思を持ってもらうことです。治療法としては、身体の状態が悪い場合は精神的な治療に先んじて生命を守るための内科的治療が必要になる場合もあれば、外来通院で治療を導入していく場合もあります。また、著しい低栄養状態が続いていた患者さんは自身が病気かどうかの判断も含めて、正常で合理的な判断ができない場合がしばしば見られますので、身体面の内科的治療がまず優先されることが多いです。

生命を守るための内科的身体管理がある程度うまくいっている状況では精神科での治療を行っていくことになりますが、精神科での薬物療法は多くの場合効果がありません。心理療法(カウンセリング)を通じて患者さんの体型や体重、食生活についての認知の歪みを修正し、身体的な健康を損なわない状態を目指していけるようにサポートをしていきます。

治療は内科的、産婦人科的な治療が行われる場合や、内科入院が必要になる場合がありますので、可能であれば精神科外来のある総合病院で治療を受けることをおすすめします。

軽症の場合は入院施設を持たないクリニックでの治療も可能ですが、受診をして自身の身体状態の評価をうけて、どういう治療方針が適切かということについて医師としっかり話し合い、総合病院など設備が整った医療機関での治療を勧められた場合は勧めに従い移動することも必要です。

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