そうたいかんゆけつしょうこうぐん
双胎間輸血症候群
母親の胎内で双子が1つの胎盤を共有している時に、一方の胎児に血液が多く供給され、もう一方の胎児は血液が少なくなった状態
5人の医師がチェック 39回の改訂 最終更新: 2019.02.19

双胎間輸血症候群の基礎知識

POINT 双胎間輸血症候群とは

双子は母体の中で育つ際に、それぞれ胎盤をもっている場合と、胎盤を共有している場合があります。胎盤を共有している場合に、片方の胎児の血液がもう片方の胎児に多く供給されてしまいもう一方の胎児の血液が少なくなった状態のことを双胎間輸血症候群と言います。双子が胎盤を共有している場合、約10%に双胎間輸血症候群が起こるとされています。未治療のままただと、胎児に悪影響が起こります。血液が多くなる胎児(受血児)には心不全や胎児水腫といった問題が起こります。一方で、血液が少なくなる胎児(供血児)は腎不全や発育不良といった問題が起こります。羊水除去術が一般的な治療法です。具体的には、1週間に1回から2回羊水を抜きます。その他ではレーザー治療も可能ですが、行える施設は限られています。程度が重いときには、帝王切開で胎児を体外に取り出すことが検討されます。

双胎間輸血症候群について

  • 母親の胎内で双子が1つの胎盤を共有している時に、一方の胎児に血液が多く供給され、もう一方の胎児は血液が少なくなっている状態
  • 未治療だと胎児死亡、流産のリスクが高い
  • 症状として、受血児(血液が多い胎児)は羊水過多心不全胎児水腫となり、供血児(血液が少ない胎児)は羊水過少腎不全、発育不全になる
  • 無事に出産できても、胎内での発育不全や早産の影響で子どもに後遺症が残る可能性がある
  • 1つの胎盤を双子が共有している場合、約10%が双胎間輸血症候群になる

双胎間輸血症候群の症状

  • 受血児(血液が多い胎児)
  • 供血児(血液が少ない胎児)
  • 無事に出産できても、胎内での発育不全や早産の影響で子どもに後遺症が残る可能性がある

双胎間輸血症候群の検査・診断

  • 超音波検査
    • 双子の片方が羊水過多(羊水の深さ8cm以上)で、もう片方が羊水過少(羊水の深さ2cm以下)を同時に確認できる
    • 羊水過多、羊水過少を引き起こす他の疾患がなければ、双胎間輸血症候群と診断される

双胎間輸血症候群の治療法

  • 羊水除去術が一般的な治療である
    • 受血児(血液が多い胎児)の羊水腔に針を刺して、羊水を1-2L抜く
    • 数日で羊水量が元に戻るため、週に1-2回行う
  • 胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術が2012年に保険適用として認められた(一部の病院でしか受けることが出来ない)
    • 麻酔下で、母体のお腹から子宮内にスコープを挿入して、双子の間を流れている血管を焼いてしまう
    • 治療による出血や早産流産などのリスクがある
  • 非常に状態が悪い時は妊娠を終了して帝王切開で子どもを体外に取り出すことがある
    • その場合は、体外に出ても大丈夫ほど身体が育っているかをきちんと評価する必要がある

双胎間輸血症候群のタグ

双胎間輸血症候群に関わるからだの部位