しょくどうきかんしろう
食道気管支瘻
食道と気管支の間に瘻孔(あな)が形成され、唾液や胃液が肺へ流れ、肺炎や気管支炎を繰り返し起こす病気
6人の医師がチェック 20回の改訂 最終更新: 2018.12.04

食道気管支瘻の基礎知識

POINT 食道気管支瘻とは

食道は食べ物の通り道で、気管支は空気の通り道です。食道と気管支は本来はつながりがありませんが、穴が開いてつながってしまうことがあり、この状態を食道気管支瘻といいます。食道気管支瘻になると、唾液や胃液が気管支や肺に流れこんでしまうので、肺炎や気管支炎を繰り返してしまいます。 先天異常のこともあれば、腫瘍や炎症の影響で、穴が開いてしまうこともあります。画像検査(胸部レントゲン検査、CT検査)や内視鏡検査(上部消化管内視鏡検査、気管支鏡検査)が診断のために行われます。手術によって穴を塞ぎ、食道と気管を元の位置に戻したり、ステントいう筒状の器具を挿入して、穴を塞ぐこともあります。食道気管支瘻は消化器内科や小児外科、消化器外科で診療が行われます。

食道気管支瘻について

  • 食道と気管支の間に孔(あな)が形成され、唾液や胃液が肺へ流れ、肺炎気管支炎を繰り返し起こす病気
  • 先天性のものと、後天性のものに大きく分かれる
  • 先天性のもののメカニズム
    • 通常、胎児のときに食道と呼吸器は元々1本の管から分かれていくが、その段階で分離が障害される
    • 口側から追っていく途中で食道が盲端になって、胃側の下部食道が気管とつながっている形が最も多いが、様々なつながり方がある
  • 後天性のものの原因、メカニズム
    • 腫瘍炎症の影響で瘻孔が形成される
      • 食道がんによる場合が多くみられる
      • がんが気管、気管支へ浸潤し、一部のがん組織が崩れ落ちたため、食道と気管、気管支に瘻孔が形成される

食道気管支瘻の症状

  • 主な症状
    • 先天性の場合
      • 飲み込んだ唾液や羊水が、逆流して気管へ流れ込み、咳が出たり、チアノーゼを生じる
      • 細い孔の場合は、幼少時より繰り返して気管支炎肺炎を起こす
    • 後天性の場合
      • 食事が詰まる
      • 食事をとると咳き込む
      • 胸痛
      • 発熱などの肺炎症状が現れる

食道気管支瘻の検査・診断

  • 先天性の場合
    • 胸部レントゲン検査
      • 細い孔の場合は、水溶性造影剤による食道造影で初めて診断される
      • 後天性の場合
      • 上部消化管内視鏡検査
      • 気管支鏡検査
      • 水溶性造影剤を用いたレントゲン検査:気管支、肺が造影されることにより診断する
      • CTMRI検査

食道気管支瘻の治療法

  • 主な治療法
    • 先天性の場合
      • 手術で食道と気管を正しい位置関係になるように繋ぎ直す
    • 後天性の場合
      • 原因が食道がんの場合、そちらに対する治療を行う
      • それと同時に、バイパス手術やステント挿入といった手段で、食道を食物が通れるようにする
      • 食道がん以外の原因の場合には、手術で食道同士と、気管・気管支同士を繋ぎ直すことが可能な場合もある

食道気管支瘻のタグ

食道気管支瘻に関わるからだの部位