しんこうせいきゅうまひ
進行性球麻痺
話しづらさ、物の飲み込みづらさなどを主症状とする神経の病気
6人の医師がチェック 24回の改訂 最終更新: 2018.10.02

進行性球麻痺の基礎知識

POINT 進行性球麻痺とは

しゃべりづらさや物の飲み込みにくさなどを症状とする神経に異常が起こります。筋萎縮性側索硬化症(ALS)に似た部分がある病気だと考えられています。現在のところは詳しい原因はわかっていません。筋電図検査や脊髄MRI検査を用いて診断が行われます。有効な治療は現在確立されてはいません。そのため、症状を和らげる治療が中心になります。具体的には筋力の低下を遅らせるために、リハビリテーションを行ったりします。進行性の病気のために、時間の経過とともに全身の筋力は低下していき、最終的には呼吸筋の働きを補うために人工呼吸器が必要になることが多いです。進行性球麻痺の人の診療は主に神経内科で行われます。

進行性球麻痺について

  • 話しづらさ、物の飲み込みづらさなどを主症状とする神経の病気
  • 人口10万人当たり7-11人と言われている
    • 男性の発症がやや多く、女性に比べて1.2-1.3倍と報告されている
    • 60-70歳代の発症が多い

進行性球麻痺の症状

  • 主な症状
    • 話がしづらい
    • 食べ物が飲み込みにくい
    • 声が出しにくい
    • よだれや痰が増す
    • 症状が進行すると息が苦しくなる

進行性球麻痺の検査・診断

  • その他の神経の病気と区別するために、細かな診察結果が非常に重要となる
    • 目の動き、手足の動きなどの確認
    • 腱反射
    • バランス感覚の異常の有無
    • 感覚障害の有無
    • 筋力低下の有無
  • 主な検査
    • 筋電図検査:運動神経の障害の確認
    • 脊髄MRI検査

進行性球麻痺の治療法

  • 治療
    • 根治に至るような治療法は開発されていない
      • 進行を遅らせるリルゾールという薬がある
    • 対症療法(症状を和らげる治療)
      • リハビリテーション
      • 息の苦しさを緩和する人工呼吸器の使用
      • 痰を出す手助けをする吸引器の使用
      • 食べ物を細かく刻むなど食形態の工夫
      • 話すことが困難な場合は文字盤等の使用
  • 長期的な経過(筋萎縮性側索硬化症全体でみた場合)
    • 進行の早さには差があるが、症状の進行が完全に止まったり、改善したりすることがない
    • 体のどの部分の筋肉から始まっても、やがては全身の筋肉が侵され、最後は呼吸の筋肉が働かなくなることによって自力で呼吸ができなくなる
    • 人工呼吸器を使わない場合、発症から死に至るまでの平均生存期間はおおよそ2-5年とされている
    • 人工呼吸器を使わないでも十数年の長期間にわたって非常にゆっくりした経過をたどる例もある

進行性球麻痺のタグ

進行性球麻痺に関わるからだの部位