すいとうさいぼうしゅよう
膵島細胞腫瘍
膵臓を構成する細胞である膵島に生じる腫瘍の総称
3人の医師がチェック 25回の改訂 最終更新: 2018.12.04

膵島細胞腫瘍の基礎知識

POINT 膵島細胞腫瘍とは

膵臓を構成する細胞である膵島にできる腫瘍のことです。膵島からは血糖値や胃の消化を調整するホルモンが分泌されています。膵島に腫瘍ができると、ホルモンが過剰に分泌されてしまうことがあり、分泌されるホルモンによって症状が異なります(下段参照)。膵島細胞腫瘍が疑われる人には血液検査や腹部超音波検査、CT検査、MRI検査を使って詳しく調べられます。治療は手術で行われることが多く、そのほかでは腫瘍に血液を送る血管を塞ぐ治療を行うこともあります。膵島細胞腫は消化器外科や消化器内科で治療が行われます。

膵島細胞腫瘍について

  • 膵臓を構成する細胞である膵島に生じる腫瘍の総称
  • 膵島には、血糖や胃の消化を調整するホルモンを分泌する細胞が複数ある
    • その膵島に腫瘍ができると、ホルモンが過剰に分泌されてしまうことがあり、それぞれのホルモンごとの症状が生じる
  • 腫瘍の分類
    • インスリノーマ
      • インスリンをつくる細胞に発生する腫瘍
      • インスリン:血液の糖濃度を下げるホルモン
    • ガストリノーマ
      • ガストリンをつくる細胞に発生する腫瘍
      • ガストリン:胃の消化を助けるホルモン
    • グルカゴノーマ
      • グルカゴンをつくる細胞に発生する腫瘍
      • グルカゴン:血糖値を高めるホルモン
  • ホルモンをつくらない細胞にできる腫瘍もある
    • 膵島腫瘍ができるのはまれでそのほとんどが良性だが、その一部は悪性腫瘍がん)である

膵島細胞腫瘍の症状

  • インスリノーマの症状
    • インスリン過剰による低血糖症
      • 脱力感
      • 発汗
      • 意識障害
      • けいれん
  • ガストリノーマの症状
    • ガストリン過剰による症状
      • 腹痛
      • 水様性下痢
  • グルカゴノーマの症状
  • ホルモンを作らない細胞にできた腫瘍
    • 無症状のことが多く、初期には発見されにくい
    • 腫瘍が大きくなってから、腹痛や圧迫感を引き起こす
    • 黄疸
    • 吐き気や嘔吐

膵島細胞腫瘍の検査・診断

  • 主な検査
    • 血液検査
    • 腹部超音波検査
    • 超音波内視鏡検査EUS
    • 腹部CT検査
    • 腹部MRI検査
    • 内視鏡的逆行性膵管胆管造影ERCP
  • その他特徴的な検査

膵島細胞腫瘍の治療法

  • 主な治療法
    • 手術で切除する
    • 腫瘍に血液(栄養)を送る血管を塞ぐ治療(カテーテル治療)を行うこともある