かまじょうせっけっきゅうしょう
鎌状赤血球症
赤血球が鎌状(三日月形)になり、赤血球が壊れやすくなる病気。溶血性貧血の原因となる
3人の医師がチェック 42回の改訂 最終更新: 2017.12.21

鎌状赤血球症の基礎知識

POINT 鎌状赤血球症とは

血液中の成分である赤血球は、肺で酸素を取り込み全身に届ける役割があります。体内での赤血球寿命は約120日ほどですが、より早期に赤血球が破壊されてしまうこと(溶血)により起きる貧血が溶血性貧血です。鎌状赤血球症はほぼ黒人にしか見られない、遺伝性の溶血性貧血です。 症状としては、めまい、立ちくらみ、動悸、息切れ、だるさ、疲れやすさなどの貧血症状に加えて、黄疸(おうだん:皮膚や目が黄色くなる)、脾腫(脾臓が腫れてお腹が張る)などがあります。運動や登山、病気などの影響で低酸素状態になると、疼痛発作と呼ばれる発作を起こし、貧血の急激な進行や、手足の痛み、腹痛、発熱などが出ることもあります。鎌状赤血球症の診断は採血で行います。治療は疼痛発作の予防が重要になります。鎌状赤血球症が心配な方や治療したい方は血液内科や小児科を受診するのがよいですが、日本人では見られない病気なので、専門性の高い医療機関で診断や治療を受ける必要があるでしょう。

鎌状赤血球症について

  • 赤血球が鎌状(三日月形)になり、赤血球が壊れやすくなる病気
    • 赤血球に含まれるヘモグロビンの異常が原因
  • 発生率に人種間の差があり、黒色人種に多い病気である
    • 日本人ではまだ発見されていない
    • 黒人の約0.3%に発症する病気とされている
    • 染色体不完全優性遺伝という形式で子孫に遺伝する
  • 貧血の症状が出る一方で、鎌状赤血球症の人はマラリア感染症にかかりにくくなることが知られている

鎌状赤血球症の症状

  • 症状
    • 息切れ、動悸、めまい、ふらつきなどの貧血症状
    • 黄疸(皮膚や眼が黄色くなる)
    • 血尿
    • 鎌状に変形した赤血球が細い血管に詰まり、血管閉塞を起こす(脾梗塞など)
    • 脳出血が起こってしびれやしゃべりづらさ、意識障害が起こることがある

鎌状赤血球症の検査・診断

  • 血液検査
    • 血液を顕微鏡で確認すると、鎌状の赤血球や、壊れた赤血球の破片が見られる
    • ヘモグロビン電気泳動法という検査も行われる

鎌状赤血球症の治療法

  • 症状を抑える治療(対症療法)がメイン
    • 血液中の酸素量が減るような激しい運動を避ける
    • 感染症にかからないように特に気をつけ、風邪などでも医療機関を受診するようにする
    • ワクチン接種をしっかりと行う
    • 6歳くらいまで予防的に抗生物質を飲み続ける
  • 根治することを目標に骨髄移植が行われることがある
    • 高リスクな治療なので、あまり行われない
  • 血液検査、遺伝子検査により、子どもが鎌状赤血球症になりやすいか調べることができる

鎌状赤血球症のタグ

からだ