こうけっとうこうしんとうあつしょうこうぐん
高血糖高浸透圧症候群
糖尿病患者がインスリン不足により、高度の高血糖と脱水状態となり、ぐったりする危険な状態
7人の医師がチェック 104回の改訂 最終更新: 2022.09.06

高血糖高浸透圧症候群の基礎知識

POINT 高血糖高浸透圧症候群とは

高血糖高浸透圧症候群(HHS: hyperosmolar hyperglycemic syndrome)は、糖尿病の方が著しい高血糖となることにより、強い脱水状態となってぐったりとしてしまうことを指します。ご高齢の2型糖尿病の方が、肺炎や尿路感染などの感染症、脳卒中、手術後、薬の副作用などをきっかけとして高血糖高浸透圧症候群になることが多いです。症状としては、ぐったりする、喉が渇く、多飲多尿になる、痙攣するなどがあります。血糖測定と病歴、症状からおおよその診断はつけられますが、確定診断のため、また合併症がないか調べるために採血検査や画像検査も行われます。治療は原則として専門医のいる医療機関で入院して行うことが必要です。治療としては水分や電解質を補う点滴、インスリンの注射が主体となります。糖尿病の方で上記のような症状が特に目立つ場合には、可能であればまず血糖を測定してかかりつけ医に相談してください。相談できない場合には救急科、糖尿病内科、内分泌内科などのある医療機関を速やかに受診してください。

高血糖高浸透圧症候群について

  • 糖尿病の悪化により急激に血糖が上昇して、強い脱水症状を呈する状態
  • 高血糖によって、尿量が増え、体内の水分が奪われて脱水状態になる
    • 英語表記のhyperosmolar hyperglycemic syndromeの頭文字をとってHHSと呼ばれる
  • 糖尿病の患者に以下のことが重なるとHHS発症の原因となりうる
    • 感染症
    • 脳血管障害(脳梗塞脳出血など)
    • 心不全
    • 手術
    • 高カロリー輸液
    • 清涼飲料水を大量に飲む
    • 利尿薬やステロイド薬の内服などによるインスリン作用不足
    • 腎機能の異常
  • 高齢者に発症しやすい
    • 特に認知症や一人暮らしで水分補給がうまくできない人はより発症しやすい
  • 喉の渇きを感じるため、これに対して清涼飲料水を飲むと、さらに血糖値が乱れて喉が渇くという悪循環におちいるので注意が必要
    • 糖尿病患者は清涼飲料水を控えるようにして予防する必要がある
  • 病状が進み始めてから症状が強くなるまでが遅く、発症までに数日かかる
  • 以前は非ケトン性高浸透圧性昏睡という病名だったが、血液中にケトン体が検出されることも多く、昏睡になることはまれなので、現在の病名に変更されている

高血糖高浸透圧症候群の症状

  • 脱水の症状
    • 口渇
    • 多飲
    • 多尿
    • 体重減少
    • だるさ など
  • 高度の脱水の結果、様々な程度の意識障害が生じる
    • 錯乱
    • 見当識障害(日時や場所がわからなくなる)
    • 昏睡
  • まれにみられる症状
    • 血圧低下
    • 脈拍が速くなる

高血糖高浸透圧症候群の検査・診断

  • 血液検査:血糖値や電解質などを調べる
  • 尿検査:尿糖やケトン体の有無などを調べる
  • 高血糖、脱水等がみられた場合、身体検査などから総合的に診断される
  • 感染症合併がある場合はX線検査CTなどを行う

高血糖高浸透圧症候群の治療法

  • 入院のうえ、脱水の補正と電解質の補充を行う
    • 大量に点滴で補液を行う
    • 電解質や血糖値のチェックのため、頻繁な採血検査が必要
  • インスリンの適切な使用
    • 点滴や注射でインスリンを使用し、血糖値を緩徐に適正値まで補正する
  • 原因となる疾患がある場合は、その治療もあわせて行う

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