高血圧緊急症の基礎知識
POINT 高血圧緊急症とは
高血圧緊急症は血圧が非常に高いままコントロールできなくなってしまう病気です。この状態を放置してしまうと、全身のあらゆる臓器に悪影響を及ぼします。主な症状は頭痛・吐き気・嘔吐・けいれん・視野異常・むくみなどです。 症状や身体診察に加えて、血液検査・超音波検査・画像検査・眼底検査などを用いて診断します。治療は降圧薬を複数用いたりして行います。高血圧緊急症が心配な人や治療したい人は、循環器内科や救急科、代謝内分泌内科などを受診して下さい。
高血圧緊急症について
高血圧緊急症の症状
- 非常に高い血圧(しばしば200mmHg以上)により、全身のさまざまな臓器がダメージを受ける
- 脳の障害
- 頭痛
- 吐き気、嘔吐
- けいれん
意識障害 - 片方の手足の動かしづらさ(
麻痺 ) - 片方の手足のしびれ(感覚障害)
- 目の障害
眼底 の網膜 の出血- 乳頭
浮腫
- 心臓の障害
- 胸痛
- 呼吸困難
- 腎臓の障害
- 脳の障害
高血圧緊急症の検査・診断
高血圧緊急症の治療法
- 血圧を下げる薬:カルシウム拮抗薬、ニトログリセリンなど
- 緊急の治療が必要であり点滴で治療する
- 目安としては、初めの1時間以内に平均血圧で25%未満の降圧、次の2~6時間で血圧160/100mmHg程度になるように下げる
- ただ血圧を下げればよいというわけではなく、脳卒中
発症 直後であれば慎重に行うなど、状況に応じて適切な治療を行う
腎機能 障害があれば速やかに透析 を行う- 治療後に臓器の障害が残らないこともあるが、重症化する場合もあるため注意が必要
- 血圧を下げて臓器へのダメージを回避することがまずは重要であるが、血圧の上昇した原因を探すことも非常に重要
高血圧緊急症の経過と病院探しのポイント
高血圧緊急症が心配な方
高血圧緊急症は血圧が高いだけでなく、脳や心臓、腎臓などの臓器において障害が生じ、症状が現れる病気です。特に症状がなく、たまたま血圧を測ったら高くてびっくりして救急外来にいらっしゃる患者さんもいらっしゃいますが、一時的な高血圧だけでは特に問題はありません。高血圧が原因で脳の障害(頭痛や吐き気、意識障害)、眼の障害(網膜の出血)、腎臓の障害などが起きた場合に、高血圧緊急症と呼び、緊急の治療が必要な状態ということになります。また、異常に高い高血圧の原因として、脳の病気や腎臓の病気、内分泌の病気があることもあります。
ご自身が高血圧性緊急症でないかと心配になったとき、受診の候補としては一般内科や救急科が適しています。頭痛や意識障害の症状があれば、脳神経外科も適しているでしょう。普通に歩ける状態であれば最初はクリニックを受診しても良いでしょう。強い頭痛や、意識がボーっとするなどの症状があれば総合病院の受診をお勧めします。
高血圧緊急症が疑われた場合、まず問診と身体診察が行われます。必要に応じて、頭部CT検査、頭部MRI検査、血液検査、心電図検査、胸部X線検査(レントゲン検査)、眼底検査などが行われ、診断に至ります。大切なのは、原因として重篤な病気がないか、高血圧による臓器の障害が進行していないかを確認することです。
高血圧緊急症でお困りの方
高血圧緊急症の治療では、原因の病気に対する治療、血圧を下げる治療、それぞれの症状に対する治療が行われます。原因の病気も現れる症状も多岐に渡るため、それぞれの原因に合った診療科で治療を受けてください。
特に症状がなく、たまたま血圧を高くてびっくりしたというだけであれば、そのまま様子をみるのも選択肢の一つです。一時的ではあってもそのように血圧が非常に高くなる人は、高血圧がコントロールできていない可能性があります。普段のかかりつけの医師や、一般内科のクリニックや病院を受診して相談すると良いでしょう。