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敗血症性ショック

敗血症性ショックの基礎知識

敗血症性ショックとは?

  • 感染症による全身の炎症が原因で血圧が低下し、脳や腎臓などの重要な臓器に酸素が行き渡らなくなる重篤な状態のこと
    • 体内の病原体が増えて血液中や全身に広がると、血液中の水分が血管の外に漏れ出して血圧が低下する
    • 様々な種類の感染症も原因となる
  • 敗血症性ショックを起こしやすい人
    • 新生児
    • 高齢者
    • 妊婦
    • 免疫力が低下した人
      ・免疫抑制療法を行っている
      がんHIV感染症、免疫の病気がある
    • 人工の医療機器が体内と外部をつないでいる状態
      ・静脈カテーテル
      ・尿道カテーテル
      ・人工呼吸器
  • 重症化してDICや多臓器不全が起これば、治療による回復の可能性が低く致命的となる

症状

  • 全身の炎症による症状
    • 発熱
    • 脈が早くなる
    • 呼吸数が多くなる
  • ショック症状
    • 血圧が低下する
    • 尿が出なくなる
    • 注意力の低下や意識状態の変化
    • 手足が冷たくなる
  • 重症となるとDICを起こし出血しやすくなったり、多臓器不全による症状(呼吸不全黄疸急性腎不全による症状)が起きる

検査・診断

  • 感染症の有無や原因の特定
    • 細菌検査:血液、尿、痰などを調べて菌の有無や原因菌の特定を行う
    • 血液検査:炎症反応や臓器障害の状態を調べる
    • 胸部CTなどの画像検査を行い、感染が生じている臓器の状態を調べる
  • 心臓の検査:心臓の機能の低下によりショックが起こることがあるため検査が必要
    • 心臓超音波検査
    • 心電図

治療

  • 救命のための処置と感染の治療(抗菌薬の投与)をなるべく早く行うことが重要
  • 救命のための処置
    • 大量の輸液:血管中の水分量を増加させて、血圧を上昇させる
    • 血圧を上昇させるため、血管を収縮させる薬物(ノルエピネフリンやバソプレシン)を使用する
    • 上記治療を行っても血圧が上がらない場合は、ステロイド(ハイドロコルチゾン)の使用が検討される
    • 酸素療法:体の酸素不足を補う
    • 人工呼吸器:呼吸を補助する
  • 原因となった感染症に対する治療
    • なるべく早い段階から、幅広い菌に効く抗菌薬を用いる
    • 入院中でカテーテルを使用しているなど、感染の原因になり得るものを取り除いたり交換したりする
    • 肺やおなかの中に感染の原因となるが溜まっている場合は、膿を取り除く処置を行う
  • 死亡率は元となる感染症や報告によって様々だが、全体で20-40%と高い
    • 良い治療結果を得るためには早期(疑われてから6時間以内)に積極的な治療が開始することが重要とされる

敗血症性ショックの経過と病院探しのポイント

この病気かなと感じている方

敗血症とは、何らかの感染症が悪化して全身に細菌ウイルスなどが広がってしまった状態を指します。敗血症性ショックは、その更に重症の状態です。元の感染症は肺炎だったり、膀胱炎だったり様々です。敗血症性ショックを主に診療する診療科は、あえて挙げるとすれば救急科なのですが、肺炎であれば呼吸器内科、膀胱炎であれば腎臓内科など、それぞれの科で行われることも多いです。

敗血症性ショックに陥っている状態であれば、意識がもうろうとしたり、ぐったりして自力で病院を受診するのが難しい状態だと考えられます。このような場合には救急車で受診することになるでしょう。救急隊は、近さや病院の専門性を考慮した上で、救命救急センターのような高度医療機関など、適切な病院を判断し案内してくれます。

ICU (intensive care unit), HCU (high care unit) と呼ばれるような集中治療室に入院となるケースが多いです。敗血症性ショックの診断のために行われる検査は、血液検査、尿検査、レントゲンCTMRIなど、元となる感染症によって様々です。

敗血症性ショックは、2000年頃まで死亡率40-50%と言われていました。近年治療の知見が溜まってきて死亡率は劇的に(半分近く)低下はしましたが、それでも命に関わることが多い重症の状態です。原則として、ある程度の医師数がいる総合病院での治療が望ましいと言えます。ICUがあるような病院であればより適切ですが、治療に一刻を争う病状でもありますので、遠くの専門病院を受診するよりは、とりあえず近くの病院で初期治療を行うことが重要です。救急車もそのような判断基準で搬送先を選定します。通常の病気であれば、1日や2日の治療の遅れが命に関わることはありませんが、敗血症性ショックは、数時間単位での差がその後を左右します。






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