ぜんていしんけいえん
前庭神経炎
突然、回転性のめまいが生じる病気の一つで、周囲がぐるぐると回って見える。平衡感覚を脳に伝える前庭神経の炎症が原因
9人の医師がチェック 83回の改訂 最終更新: 2022.07.06

前庭神経炎の基礎知識

POINT 前庭神経炎とは

前庭神経(耳の奥にある平衡感覚を担当する神経)のウイルス感染などによる炎症です。ぐるぐる回るような、回転性めまいがおきます。主な症状は回転性めまいで、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。大きな回転性めまいの後、身体を動かした時や歩いた時のふらつきが持続します。耳鳴りや難聴、手足の麻痺や、呂律不良(ろれつが回らない)といった症状は起きません。診断のために、問診や眼振検査(眼の動きの検査)、聴力検査などで行います。安静にすることが治療になり、症状に応じて、めまいや吐き気を止める点滴や内服薬を使用します。炎症を抑える目的でステロイド薬を使用することがあります。2-3週間で症状は徐々に改善しますが、なかには数年たっても、歩く時などにふらつきが続く人もいます。一般内科や耳鼻咽喉科で診療を受けられます。

前庭神経炎について

  • 突然、回転性のめまいが生じる病気の一つ
    • 周囲がぐるぐると回って見える
  • 耳にある前庭神経(平衡感覚を司る神経)の炎症がめまいの原因
    • 炎症の原因はウイルス感染とする説が有力である
    • めまいが発症する前に、かぜのような症状が起こる場合が多い

前庭神経炎の症状

  • 主な症状は激しい回転性のめまい
    • 突発的にめまいが起こり、1週間程度続く
    • 吐き気、嘔吐を伴うことも多い
  • 耳鳴りや難聴は起こらない

前庭神経炎の検査・診断

  • 症状の問診とめまいの状態を診察することで診断される
    • 前庭神経炎を発症する数日から2週間前に、かぜなどの上気道感染症にかかっていることが多い
    • 前庭神経炎を診断する簡便で正確な検査はない
  • 平衡機能検査
    • めまい発作時の眼振(眼の左右の動き)や、温度刺激(耳に冷水またはお湯を注入する)によって生じる眼振を確認する

前庭神経炎の治療法

  • 2-3週間で自然に治る事が多いが、数年たってもふらつきが残る人もいる
  • 症状をやわらげる薬を使うことがある
    • 吐き気止め
    • ステロイド薬炎症を抑える
    • ベンゾジアゼピン系の抗不安薬:鎮静作用により、めまい症状を抑える

前庭神経炎のタグ

前庭神経炎に関わるからだの部位