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22q11.2欠失症候群
22番染色体の一部(11.2部分)が欠失している染色体異常で、先天性心疾患など様々な合併症を引き起こす
7人の医師がチェック 57回の改訂 最終更新: 2019.02.20

22q11.2欠失症候群の基礎知識

POINT 22q11.2欠失症候群とは

染色体の異常による病気です。人間の体の細胞には22対の常染色体と1対の性染色体があり、常染色体には1から22まで番号がついています。このうち22番めの染色体の一部が欠失している病気が、22q11.2欠失症候群です。遺伝する病気ですが、ほとんどの場合は突然変異で起こります。22q11.2欠失症候群には200種類以上の合併症(同時に存在する病気)があると考えられており、その症状はさまざまです。疑われた人には心臓や血液の状態など全身が調べられます。根本的な治療は見つかっていないので、合併症や症状に対して治療が行われます。22q11.2欠失症候群は主に小児科や小児外科で検査や治療が行われます。

22q11.2欠失症候群について

  • 22番染色体長腕(22q)の一部である、11.2部分が欠失している染色体異常
    • 22q11.2欠失症候群に特徴的な顔つき、胸腺や副甲状腺の発達が不十分であること、先天性心疾患など、様々な合併症や症状が生じる
    • 欠失の原因は母体の影響などではなく、生物学上一定の範囲で出現する突然変異による
  • 発生頻度は3,000〜6,000人に一人、性差はない
  • 常染色体優性遺伝性疾患だが、多くの場合突然変異で起こる
    • 両親のいずれかが22q11.2欠失を持っている場合は50%の割合で遺伝する
    • 親子、兄弟姉妹で同じ欠失をもっていても、違った症状の出ることがある
  • 副甲状腺や胸腺が不十分に形成されることで有名なDi George症候群はこの病気に含まれる

22q11.2欠失症候群の症状

  • 22q11.2欠失症候群には200種類以上の合併症があると言われ、症状は様々である
  • 主な合併症
  • その他、発達障害、学習障害を伴うことが多い
  • 消化管の異常などで口から十分に食べ物が摂取できないために、鼻から管を入れたり、胃ろうを造ったりすることがある

22q11.2欠失症候群の検査・診断

  • 一般の染色体検査法であるG分染法やQ分染法と呼ばれる方法では、22q11.2欠失症候群の小さな欠失は診断できない
  • 出生前診断が行われる場合もあるが、多くの倫理的問題が残っている
  • 先天性心疾患の診断がまず発見され、その後様々な合併症が発見されて22q11.2欠失症候群が疑われることが多い
    • 先天性心疾患の検査
      • 心電図胸部X線検査心臓超音波検査
    • 胸腺低形成の検査
      • 血液検査でリンパ球数、特にTリンパ球の異常を認める
      • CTなどの画像検査

22q11.2欠失症候群の治療法

  • 22q11.2欠失症候群そのものの根本治療は困難であり、それぞれの合併症に対する対症療法を行う
  • 先天性心疾患
    • それぞれの心疾患の種類に応じた手術が行われる
  • 低カルシウム血症
    • カルシウムの補充
  • 口の発達の異常による摂食障害
    • 食べるときのスプーンの形状の工夫
  • 運動や精神面の発達の程度を確認し、必要があれば早期から適切な介入を行う
    • 言葉の発達、身長の伸びなども概して遅いが、成長に伴って追いついてくることが多い
    • 学童期からは学習障害ADHDが明らかになることもあり、思春期から精神的な疾患を発症することもある
  • 経過に最も大きく影響するのは、先天性心疾患の重症度である

22q11.2欠失症候群のタグ

22q11.2欠失症候群に関わるからだの部位