かんぜんだいけっかんてんいしょう
完全大血管転位症
生まれつき大動脈と肺動脈の位置が反対に入れ替わっている病気
6人の医師がチェック 104回の改訂 最終更新: 2019.10.04

完全大血管転位症の基礎知識

POINT 完全大血管転位症とは

生まれつき大動脈(全身に血液を送り出す血管)と肺動脈(肺に血液を送り出す血管)の位置が入れ替わっている病気のことです。生まれつき他の心臓の病気(動脈管開存・心房中隔欠損症・心室中隔欠損症など)を同時に持っていることがほとんどです。全身の浮腫みや呼吸困難、チアノーゼ(酸素不足のために皮膚が青白くなる状態)などが主な症状です。疑われた子どもにはレントゲン検査や超音波検査、カテーテル検査などが行われます。 治療は手術によって血管の位置を正常に近い状態にして、同時にある先天性心疾患も行います。完全大血管転位症の子どもは心臓の病気を専門とする小児科で検査や治療が行われます。

完全大血管転位症について

  • 生まれつき大動脈肺動脈の位置が反対に入れ替わっている病気
    • 通常とは逆に、右心室から大動脈、左心室から肺動脈が出る
    • 心臓、肺、全身の3箇所をつなぐ血液の流れが、非効率にループができた状態になってしまう
    • 本来であれば肺を通って酸素を取り入れた後に、その血液が全身へ巡らなければならない
    • 動脈管開存、心房中隔欠損症心室中隔欠損症といった他の心疾患を併発していない限り、全身に一切の酸素を送り出すことができなくなり、そのままでは生存できない
      • 酸素を多く含んだ血液が全身に行くためには、どこかで身体の方に流れる血流に混入する部分が必要
    • 従って、完全大血管転位症をもっている患者は必然的に、先述したその他の心疾患も併発していることが必要になる
  • 先天性心疾患全体の中でおよそ4-8%といわれている
    • 男児に多い
  • 心室中隔欠損と肺動脈狭窄をそれぞれ合併しているかどうかによって3つの病型に分類される
    • 1型:心室中隔欠損がないもの(最も多い)
    • 2型:心室中隔欠損があって肺動脈狭窄がないもの
    • 3型:心室中隔欠損と肺動脈狭窄があるもの
  • 小児慢性特定疾患に指定されており、申請を行えば症状の進行具合によって医療費の補助を受けることができる

完全大血管転位症の症状

  • チアノーゼ
    • 指の先や唇が青紫になる
  • 心不全症状
    • 息切れ
    • 浮腫

完全大血管転位症の検査・診断

  • 画像検査で心臓を詳しく検査する
    • 胸部レントゲン検査(X線写真)
    • 心臓超音波検査
    • 心臓カテーテル検査

完全大血管転位症の治療法

  • 手術
    • 大動脈スイッチ手術(Jatene手術)
      • 大動脈と肺動脈の付け替え、冠動脈の入れ替え、卵円孔の閉鎖を行う
    • 肺動脈バンディング手術
    • BTシャント
    • ラステリ手術:人工血管を用いる
    • REV手術:自己組織を用いる
  • 薬物療法
    • プロスタグランジン製剤
      • 動脈管の閉鎖を防ぎ、血中の酸素濃度が保たれるようにする
  • 治療が行われない場合、数か月以内に約半数が死に至る

完全大血管転位症が含まれる病気

完全大血管転位症のタグ

完全大血管転位症に関わるからだの部位