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抗リン脂質抗体症候群 (APS)

抗リン脂質抗体症候群 (APS)の基礎知識

抗リン脂質抗体症候群 (APS)とは?

  • 体の中に血栓(血のかたまり)ができやすくなる自己免疫疾患の一種
    • 自分の体を誤って攻撃してしまう抗体自己抗体)のうち、抗リン脂質抗体と呼ばれる種類のものが、血液を固まりやすくしてしまう
    • 流産の原因となることがある
  • 抗リン脂質という物質が血液中にあり、かつ血栓症や妊娠合併症流産など)を起こした場合に診断される
  • 他の病気と関係なく発症する場合(特発性)と、他の病気に関係する二次性に分けられる
    • 二次性の場合のほとんどがSLE合併する
    • その他に特発性血小板減少性紫斑病(ITP)に関連する場合もある
      ・この場合は血小板が減少しているにもかかわらず血栓症が起こりやすく、出血と血栓症の両方を同時にコントロールする必要がある
  • 罹患率は年間で人口10万人あたり5人程度
    • 女性に多い
  • 短期間で血栓症が多発する劇症型APSでは血漿交換(血液の問題となっている成分をろ過して身体の外に出す治療)など緊急の治療が必要になる

症状


検査・診断

  • 血液検査:血液を固まらせるしくみの異常を調べる
    • 血小板、凝固機能を調べる
    • 特徴的な抗体などの成分が見つかると診断の可能性が高まる
      ・抗カルジオリピン抗体(aCL)
      ・ループス抗凝固因子(ループスアンチコアグラント、LAC)
      ・抗β2-グリコプロテインI抗体
    • SLE合併しているか調べるため、血液の炎症反応、自己抗体ほか全身の症状を見る
    • 梅毒検査が誤って陽性になることがある
  • エコーCT検査などで症状に現れない血栓症を探す

治療

  • 基本的には抗リン脂質抗体が検査で陽性でも、血栓や症状がなければ治療を行わないことが多い
  • 治療においては血栓症を防ぐことが目標
    • まず血栓症の危険を高くする要因があれば治療を行う
      ・禁煙や、高血圧、脂質異常症糖尿病の治療など
    • 血液を固まりにくくする抗凝固薬抗血小板薬を使う
    • 妊娠中にはより血栓が出来やすくなるため、流産早産予防のためによりこれらの治療が大切となる
    • 抗凝固薬であるワーファリンは妊娠中は催奇形性があり、使用できないため、ヘパリン皮下注製剤などのへの切り替えが必要となる
  • SLE合併している場合はSLEの治療(ステロイド薬免疫抑制薬など)をあわせて行う
  • リスクが大きい場合、手術で下大静脈フィルター挿入や血栓除去などを行う場合がある

抗リン脂質抗体症候群 (APS)の経過と病院探しのポイント

この病気かなと感じている方

抗リン脂質抗体症候群は、そのもの自体で症状が出るというよりも、抗リン脂質抗体症候群によって脳梗塞心筋梗塞、繰り返す流産など他の病気や状態を引き起こすものです。皮膚の色調の変化(網状皮斑と呼ばれます)といった症状はありますが、これも必ず出るというものではないので、ご自身で「抗リン脂質抗体症候群ではないか」と症状から疑うことは難しい病気かもしれません。

一方で、若い方で脳梗塞心筋梗塞発症している方や、流産を繰り返した方などで心配な方もいらっしゃるかと思います。このような場合には、その病気を発症した時に病院ですでに検査が行われていることも多いです。入院するような病状であれば一般的に測定するような血液検査項目(APTT)で異常が見つかるはずですので、その時に既に検査が済んでいて、抗リン脂質抗体症候群ではなさそうだという判断になっているかもしれません。まずは、先立った病気の際にかかった病院や医師に確認してみることをお勧めします。

病院を受診する際には、他の病状によって、循環器内科、産婦人科、膠原病科などが担当科になります。心臓や血管の病気を発症していれば循環器内科、流産を繰り返していれば産婦人科、特に症状がないが抗リン脂質抗体症候群の可能性を調べたい場合には膠原病科、といった具合です。


この病気でお困りの方

抗リン脂質抗体症候群の治療としては、血液をさらさらにする内服薬を使用します。すでに他の病気でかかりつけになっている診療科の医師に担当してもらうことが多いでしょう。心筋梗塞ならば循環器内科、流産の経験があって妊娠を希望している場合には産婦人科、などです。他の病気がなくて抗リン脂質抗体症候群だけの診断がついている、ということは少ないですが、そのような場合には膠原病科や、場合によってはやはり循環器内科、産婦人科が担当となるでしょう。

この病気は、完治を目指して治療をするというよりも、他の病気の発症を予防するために治療をするという側面が強いです。残念ながら、抗リン脂質抗体症候群そのものを根治することは今の医学では難しいのですが、それによって他の病気を発症しないように、血液をさらさらに保つことを目的として治療を行います。

長期的な通院が必要となりますので、主治医との相性や病院の通いやすさは重要な点です。大学病院などの大きな病院でないと診療ができないという病気ではありませんので、お近くに信頼できる主治医を見つけることが大切です。





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