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G6PD欠乏症
赤血球の機能を維持するために重要な酵素の1つである、G6PDという酵素の働きが生まれつき低い状態
10人の医師がチェック 81回の改訂 最終更新: 2018.02.15

G6PD欠乏症の基礎知識

POINT G6PD欠乏症とは

赤血球は血液中に含まれる細胞であり、酸素を運ぶ役割があります。G6PD(グルコース-6-リン酸脱水素酵素)は赤血球機能を維持するうえで重要な酵素です。G6PD欠損症では生まれつき酵素の機能が不十分であるため、赤血球が体内で破壊されてしまって貧血が起こります。これを溶血性貧血といいます。普段から貧血が問題となるケースはまれで、薬剤や感染症、手術、ソラマメの摂取などをきっかけに急激に溶血性貧血、つまり急性溶血発作が起こりうることが特徴的です。普段は無症状のことが多いですが、急性溶血発作が起きると、めまい、立ちくらみ、動悸、息切れ、だるさ、疲れやすさなどの貧血症状が出現します。診断は採血検査で行います。治療としては、目立った貧血が起こらなければ様子見のみを行うことも多いですが、貧血が高度の場合には輸血も検討されます。G6PD欠損症が心配な方や治療したい方は小児科や血液内科を受診してください。

G6PD欠乏症について

  • 赤血球の膜を守るグルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PD)が不足することにより、赤血球が壊れやすくなり、貧血になりやすくなる病気
    • 伴性劣性遺伝という形式で男児に遺伝、発症する
    • 先天的な(生まれつき起こる)溶血性貧血の原因の1つ
  • 溶血性貧血とは、赤血球が壊されて新しい赤血球の生成が追いつかなくなることで起きる貧血
    • 貧血とは、体内で酸素を運搬する赤血球が不足している状態を指す
    • 体内での赤血球寿命は本来、約120日ほど
    • 早期に赤血球が破壊されてしまうことで起きる貧血溶血性貧血という
  • 薬剤、感染症、手術、ソラマメの摂取などによって貧血が悪化することが分かっている
    • 薬剤としては解熱鎮痛薬や、マラリアの薬が原因となることが多い
    • 急激に貧血が悪化することを急性溶血発作とよぶ

G6PD欠乏症の症状

  • 貧血による症状
    • めまい、ふらつき、立ちくらみ
    • だるさ、疲れやすさ
    • 息切れ
    • 動悸
    • 顔色が悪い
  • 赤血球が壊れる(溶血)ことによる症状
    • 黄疸:皮膚や眼球が黄色くなる

G6PD欠乏症の検査・診断

  • 血液検査:貧血の程度を調べる
    • 赤血球グルコース-6-リン酸脱水素酵素活性を調べることで診断する

G6PD欠乏症の治療法

  • 一般的には軽症のことが多く、治療を要しない
    • 貧血がひどい場合は輸血が必要になることもある
  • 急性溶血発作が起きてしまった場合には、原因となる薬剤を中止するなどの対応を行う