しんぞうべんまくしょう
心臓弁膜症
心臓にある弁(僧帽弁、大動脈弁、三尖弁、肺動脈弁)に異常があり、本来の血液逆流防止弁としての機能が低下した状態の総称
8人の医師がチェック 120回の改訂 最終更新: 2017.12.06

心臓弁膜症の基礎知識

POINT 心臓弁膜症とは

心臓にある血液逆流防止弁(僧帽弁、大動脈弁、三尖弁、肺動脈弁)に異常があり、本来の逆流防止弁としての機能が低下した状態の総称です。心臓弁膜症になると逆流が起こるため、うまく血液が身体に回らなくなります。その原因はリウマチ熱や心筋梗塞、先天性心疾患などになります。主な症状は息切れ・胸痛・動悸・むくみなどになります。 症状や身体診察に加えて、画像検査や心臓エコー検査を用いて診断します。根治するためには手術やカテーテル治療を行いますが、軽症であれば様子を見たり薬物治療を行ったりします。心臓弁膜症が心配な人や治療したい人は、循環器内科や心臓血管外科を受診して下さい。

心臓弁膜症について

  • 心臓にある弁(僧帽弁大動脈弁、三尖弁肺動脈弁)に異常があり、本来の血液逆流防止弁としての機能が低下した状態の総称
  • 病気のメカニズム
    • 心臓の弁は血液の流れに合わせて、閉じたり開いたりし、血液を効率よく循環させているが、この弁の働きが損なわれる
    • 狭窄症と閉鎖不全症に大きく分かれる
      • 狭窄症:弁の開きが悪くなり血流の流れが妨げられる
      • 閉鎖不全症:弁の閉じ方が不完全なため血流が逆流する
  • 僧帽弁(左心室左心房の間)と大動脈弁(左心室と大動脈の間)に多い
    • 2つ以上の弁が同時に侵されることもある
  • 心臓弁膜症は感染性心内膜炎という心臓の感染症の原因となりやすい
  • 主な原因
  • 日本国内で約200万人が罹患している
    • 手術が必要な人は年間約1万人
  • 具体的な疾患名(詳細はそれぞれの疾患を参照)

心臓弁膜症の症状

  • 呼吸困難、息切れ
  • 顔面や下肢のむくみ
  • だるさ、疲れやすさ
  • 動悸

心臓弁膜症の検査・診断

  • 聴診:心臓の音を調べる
    • 心臓弁膜症があると、特徴的な心臓の音となる
  • 心電図:心臓を動かす電気信号に異常がないかを調べる
  • 胸部レントゲン検査:心臓の大きさを調べる
  • 心臓超音波検査:心臓の動きや血流に異常がないかを調べる
  • 冠動脈造影検査:心カテーテルを使って心臓の状態を詳しく調べる

心臓弁膜症の治療法

  • 基本的には、どの種類の弁膜症なのかによって治療法は大きく異なる
  • 薬物療法
    • 心不全の治療を中心に行うことが多い(利尿薬など)
  • 手術療法の一例
    • 弁形成術:弁の形を整える
    • 弁置換術:弁を新しいものに取り替える
    • 根本的な治療は手術療法しかないが、手術が必須であるかどうかは病状によって異なる
  • 手術によって日常生活が過ごしやすくなったり、その後の進行を予防して、長期的な経過を改善したりすることができる場合がある

心臓弁膜症の経過と病院探しのポイント

心臓弁膜症が心配な方

心臓弁膜症によって心不全が起こると、息切れや全身のむくみというような症状がみられます。弁膜症という病名は、4つある弁のいずれかの異常の総称ですが、どのような種類の異常であってもそれが進行すると心不全を起こします。

上記のような症状に該当してご心配な方は、一度循環器内科または心臓血管外科のある病院の受診をお勧めします。心臓血管外科と同様の診療科のことを胸部外科、血管外科、心臓外科と呼んでいる病院もあるでしょう。中には弁膜症外来という専門外来やハートセンターを開設している病院もあり、これらでは専門性が高い医療を提供していると言えます。

心臓弁膜症の診断は、心エコーで行います。心臓弁膜症があるかどうかの診断や、ある程度重症度の検討をつけるだけであれば、クリニックを含め、心エコーの機械がある医療機関ならばどこでも行うことができます。細かな重症度の判断や、弁膜症以外にも心臓の病気が重なっていないかどうかを判断するためには、循環器内科、または心臓血管外科のある病院で入院して検査を行います。ここまで本格的な検査を行うのはある程度以上の重症度の場合になりますが、重症の心臓弁膜症心不全につながって命に関わることがあるため、大切な検査です。心臓のカテーテル検査や、経食道エコーと呼ばれる胃カメラのようなエコー検査、また、医師の立ち会いの下で軽い運動をして、心臓に負荷をかけた時に心臓の働きがどうなるかといったことを調べます。

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心臓弁膜症でお困りの方

心臓弁膜症の重症度によって、そして弁膜症の種類によって治療は大きく変わります。軽症で、定期的に様子を診る方針で良いのであればクリニックへの通院で診療が可能ですし、重症で本格的な治療を考慮しなければならない場合には、カテーテルを含む心臓手術が行える病院を探すことになります。この場合、心臓弁膜症の心臓手術は難易度が高い治療であるため、手術件数が少なすぎないことは、病院を選ぶ上で参考になる基準の一つです。具体的な治療法については、それぞれの弁膜症のページもご参考になさってください。

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