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慢性胃炎

慢性胃炎の基礎知識

慢性胃炎とは?

  • 何らかの原因で胃粘膜が慢性的炎症を起こしている状態
    • ヘリコバクター・ピロリ感染が主な原因
    • その他にもストレスや薬の影響でも起こることがある
  • 歳を取るに従って起こりやすくなる
  • 大きく3つに分類される
    • 表層性胃炎:胃の表面部分(粘膜部分)に炎症が現れる
    • 萎縮性胃炎:粘膜や組織が萎縮し胃液の分泌が少なくなる
    • 肥厚性胃炎:胃粘膜が異常に分厚くなる
  • 感染が長く続くと胃がんに進展することがある

症状

  • 胃のもたれ・不快感
  • 食前や食後に腹痛
  • 膨満感や胸焼け
  • 吐き気

検査・診断

  • 胃カメラ上部消化管内視鏡検査):胃の粘膜の状態を調べる
  • 組織診:胃カメラの際に、一部胃の粘膜を切り取り、がん細胞やピロリ菌がいるかを調べる

治療

  • 胃炎に対する治療
    • プロトンポンプ阻害薬、H2遮断薬
      ・胃酸の分泌を抑え胃のダメージを減らす
    • ピロリ菌に感染していればその除菌(「ヘリコバクター・ピロリ感染」を参照)
      ・プロトンポンプ阻害薬、ペニシリン系抗菌薬とマクロライド系抗菌薬またはメトロニダゾールの3剤を同時に使う
  • 予防、再発予防方法
    • 暴飲暴食を控える
    • 胃に負担のかからない生活をする
  • 長期的な経過
    • 胃がんに進展していないか、定期的に内視鏡検査を受けることが重要
  • 慢性胃炎自体は心配する必要のない病気

慢性胃炎に関連する治療薬

抗ドパミン薬(消化管運動改善薬)

  • 消化管運動を亢進させ、消化管運動の低下などによる吐き気、胸やけ、食欲不振などを改善する薬
    • 消化管運動が低下することによって吐き気、胸やけ、食欲不振などがあらわれる場合がある
    • アセチルコリンの作用が増強されると消化管運動が亢進するが、アセチルコリンはドパミンによってその作用を抑えられる
    • 本剤は抗ドパミン作用をあらわし消化管運動を亢進させる作用をあらわす
  • 本剤の中には嘔吐中枢を抑制することで吐き気・嘔吐を抑える薬剤もある
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酸中和薬

  • 消化管の攻撃因子である胃酸を中和し、消化性潰瘍や胃炎などの治療に用いる薬
    • 消化管に対し胃酸などの攻撃因子が胃粘膜などの防御因子を上回っている状態では消化性潰瘍や胃炎などがおこりやすい
    • 金属を含む薬剤の一部は酸(胃酸)を中和する作用をもつ
    • 本剤はアルミニウム、カルシウム、マグネシウムなどの金属を含み、酸を中和する薬剤である
  • 本剤の中には、粘膜保護作用や緩下(お腹を緩くする)作用をもつ薬剤もある
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副交感神経刺激薬(消化管運動亢進薬)

  • 副交感神経の働きを活発にし消化管運動を亢進させることで、胃もたれなどの消化器症状を改善する薬
    • 消化管運動が低下することなどによって胃もたれ、胸やけ、胃の痛みなどがおこることがある
    • 消化管運動は副交感神経が関与し、神経伝達物質アセチルコリンの作用により副交感神経が活発になる
    • 本剤はアセチルコリンの増強作用などにより副交感神経を活発にする作用をあらわす
  • 薬剤によってアセチルコリンへの作用方法が異なる場合がある
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抗コリン薬

  • 副交感神経を亢進させるアセチルコリンの作用を抑えることで、消化管の運動亢進に伴う痛みや痙攣、下痢などを抑える薬
    • アセチルコリンは副交感神経を活発にして消化管の運動などを亢進させる
    • 副交感神経が活発になると胃や腸などの痙攣・痛み、潰瘍や胃炎・腸炎の悪化などがおこりやすくなる
    • 本剤はアセチルコリンの働きを抑える作用(抗コリン作用)をあらわす
  • 胆石や尿路結石に伴う痛みなどの改善に使用する薬剤もある
  • 本剤は薬剤の作用や化学構造などにより、ムスカリン拮抗薬、3級アミン類、4級アンモニウム類などに分けられる
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胃粘膜局所麻酔薬

  • 局所麻酔作用により消化管運動などを抑え、過剰な消化管運動に伴う痛み、痙攣、吐き気、便意などを改善する薬
    • 消化管運動が過剰になると消化管の痙攣、潰瘍や胃炎・腸炎の悪化などがおこる
    • 消化管に局所的に麻酔をかけると消化管運動や胃酸分泌などが抑制される
    • 本剤は主に消化管の粘膜などに局所麻酔作用をあらわす
  • 薬剤によっては、内視鏡検査などにおける咽喉頭・食道部の麻酔や口腔内麻酔などに使用する場合もある
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総合健胃薬

  • 金属を含む制酸剤、健胃目的の生薬、消化酵素などを含み、胃が原因の胸やけや、もたれなどを改善する総合健胃薬
    • 胃の働きに不調が生じると、胃酸の逆流が起こったり胃の保護作用や運動が低下し、胸やけ、胃の不快感、消化不良などがあらわれる
    • アルミニウムやマグネシウムなどの金属を含む薬剤には胃酸を中和する作用などがある
    • オウレン、オウバク、ケイヒ、ショウキョウなどの生薬では苦味や香りなどによる健胃作用などが期待できる
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制酸薬・抗コリン薬配合剤

  • 酸(胃酸)を中和したり、消化管の過剰な運動を抑えることで胃炎や消化性潰瘍などを治療する薬
    • 消化管に対して胃酸などの攻撃因子が、胃粘膜などの防御因子を上回っている状態では、消化性潰瘍や胃炎などがおこりやすい
    • アルミニウムなどの一部の金属イオンを含む薬剤は酸を中和する作用をもつ
    • 神経伝達物質アセチルコリンが亢進している状態では、胃炎や潰瘍の発症や悪化などがあらわれる場合がある
    • 本剤は酸を中和する金属イオンを含む制酸薬とアセチルコリンを阻害する抗コリン薬などの配合剤
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ATP(アデノシン三リン酸)製剤

  • ATP(アデノシン三リン酸)を含み、むくみ眼精疲労・胃炎などの改善やめまいやめまいに伴う耳鳴りなどを改善する薬
    • ATPは体内で必要なエネルギー供給物質で血管拡張作用などもあらわす
    • ATPは脳血管などの血流増加や内耳微小血管の拡張、胃の運動改善など様々な作用をあらわす
    • 本剤はATPを主な成分とする製剤で多くの疾患・症状などに使われる
  • 剤形に散剤、錠剤、注射剤があり用途や症状などによって選択される
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ヘリコバクターピロリ除菌製剤

  • 2種類の抗菌薬と胃酸分泌抑制薬(プロトンポンプ阻害薬:PPI)を1シート(1日分)にまとめたヘリコバクター・ピロリ除菌の専用製剤
    • ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)は胃の粘膜に感染し慢性胃炎胃潰瘍十二指腸潰瘍などを引き起こす主な原因の一つ
    • ピロリ菌はウレアーゼという酵素を作り出すことで、強い酸である胃酸から身を守っている
    • ピロリ菌の除菌は一般的に2種類の抗菌薬と胃酸分泌抑制薬(PPI)を併用する治療法が行われている
  • 慢性胃炎、消化性潰瘍などの消化器疾患以外にもピロリ菌の関連性が考えられる疾患の改善目的で使われる場合もある
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慢性胃炎の経過と病院探しのポイント

この病気かなと感じている方

慢性胃炎では、胃もたれや吐き気、胸焼けといったような症状がみられます。このような症状に該当してご心配な方は胃カメラ上部消化管内視鏡)の検査が行える消化器クリニックでの受診をお勧めします。

胃炎は胃の内側の粘膜の異常ですので、レントゲンCTといったような画像検査や、血液検査で診断することはできません。


この病気でお困りの方

慢性胃炎の治療としては、胃薬の内服とともにピロリ菌の除菌治療が重要です。一定期間抗生物質を内服することで、胃にピロリ菌がいる方は、菌を退治することができます。ピロリ菌を除菌することによって胃がんの発生リスクを低下させることが治療の目的です。

ピロリ菌の除菌は、消化器内科のクリニックや、内科のある病院であればほとんどの医療機関で受けることができます。また、そのまま放置することで、まれに胃がん発症する方がいますので、除菌を受けた上で、1年に1回など定期的な胃透視(バリウムによる検査)や胃カメラで経過を見ていくのが良いでしょう。





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