さいとめがろういるすはいえん
サイトメガロウイルス肺炎
免疫力が低下している時のみに発症する、サイトメガロウイルスが原因の肺炎。致命的になる場合がある。
6人の医師がチェック 68回の改訂 最終更新: 2017.12.06

サイトメガロウイルス肺炎の基礎知識

POINT サイトメガロウイルス肺炎とは

サイトメガロウイルスが肺に感染を起こした病気です。通常の免疫を持った健常者でこの病気になる人は少なく、多くは免疫力の低下した人に起こります。特にエイズや移植行った人は注意が必要です。主な症状は、発熱・息切れ・咳・呼吸困難感などです。 身体所見・画像検査・遺伝子検査・血液検査などを総合して診断します。抗ウイルス薬を用いて治療します。サイトメガロウイルス肺炎が心配な人や治療したい人は、呼吸器内科・感染症内科を受診して下さい。

サイトメガロウイルス肺炎について

  • 身体が弱って免疫力が低下している時のみに発症する、サイトメガロウイルスが原因の肺炎
  • サイトメガロウイルスは日本人の8割から9割に感染しているが、ほとんどの場合、症状をあらわすことはない
    • 多くの人は乳幼児のころに感染している
    • 一度感染すると一生いなくなることはない
  • 免疫力が低下すると、体内のウイルスが活発化して発症する
  • 免疫力が著しく低下する状況の例
    • エイズ
    • 臓器移植
    • 骨髄移植
    • 免疫抑制剤の使用
  • サイトメガロウイルスのような感染性が弱いウイルスや微生物が原因で起こる感染症日和見感染症(ひよりみかんせんしょう)と呼ぶ

サイトメガロウイルス肺炎の症状

  • 他の肺炎と同様の初期症状が見られる
  • 初期症状
    • 発熱
    • 咳(ただし痰は多くない)
    • 息切れ
    • 呼吸困難(息苦しさ)
  • サイトメガロウイルスが原因の肝機能障害網膜炎を合併する場合がある

サイトメガロウイルス肺炎の検査・診断

  • 主な検査
    • 胸部レントゲン写真(X線検査)、CT検査:すりガラス状陰影(うすい影)の確認
    • 顕微鏡検査:痰や気管支肺胞洗浄で採取した検体を検査
    • 遺伝子検査:感染の診断のために行われる
    • アンチゲネミア法:迅速診断法として広く普及している
      • ただしアンチゲネミア法は、サイトメガロウイルスの活性化状況を調べるための検査で、サイトメガロウイルス肺炎と診断する方法ではない
  • サイトメガロウイルスは多くの人が持っているため、尿や唾液からサイトメガロウイルスが見つかっただけでは肺炎の根拠とはなりえない
    • 細胞の検査や感染細胞の検出が必要である

サイトメガロウイルス肺炎の治療法

  • 治療には薬が用いられる
    • ウイルス薬(ガンシクロビル)
      • 副作用として白血球の減少や好中球の減少などの骨髄抑制が現れる
      • ガンシクロビルの副作用が強い場合には、G-CSF製剤(白血球の数を増加させる薬)が使用されることがある
  • 長期的な経過は良くないことから、いかに早期に診断し治療を開始するかが重要なポイントである

サイトメガロウイルス肺炎に関連する治療薬

サイトメガロウイルス治療薬

  • ウイルスの増殖に必要なDNA複製を阻害し、サイトメガロウイルス感染症を治療する薬
    • サイトメガロウイルスはヘルペスウイルスの一種で特に免疫が弱っている状態で感染すると肺炎、網膜炎などを引き起こす場合がある
    • ウイルスの増殖には遺伝情報をもつDNAの複製が必要となる
    • 本剤はDNA複製に必要な酵素(DNAポリメラーゼ)を阻害し抗ウイルス作用をあらわす
  • 腎機能の状態などによって薬剤の投与量を変更する場合がある
サイトメガロウイルス治療薬についてもっと詳しく

サイトメガロウイルス肺炎が含まれる病気

サイトメガロウイルス肺炎のタグ

サイトメガロウイルス肺炎に関わるからだの部位