しきゅうないたいじはついくちえん
子宮内胎児発育遅延
何らかの原因で子宮内での胎児の成長が遅れたり停止したりする状態。胎児の推定体重が同時期の平均的な胎児の体重と比べて軽い状態
5人の医師がチェック 91回の改訂 最終更新: 2018.12.12

子宮内胎児発育遅延の基礎知識

POINT 子宮内胎児発育遅延とは

何らかの原因で子宮内の胎児の成長が遅れたり止まってしまったりする状態のことで、具体的には妊娠中の胎児の体重が同時期の胎児と比べて軽い状態のことです。母体側と胎児側にそれぞれ要因があります(下の段参照)。母体には特に症状はありませんが、超音波検査や血液検査、染色体検査などを行い原因を調べることがあります。薬物や喫煙など原因が明らかな場合には、原因を解消します。 子宮内胎児発育遅延が疑われる場合、産婦人科や新生児科などが協力して診療が行われます。

子宮内胎児発育遅延について

  • 妊娠中の胎児の推定体重が同時期の平均と比べて軽い状態
  • 主な原因
  • 全妊娠の5%程度に見られる
  • 胎児の発育タイプは大きく3つに分けられる
    • 均衡型:頭も体も小さい発育不全型。妊娠初期から起きることが多い
      • 胎児自体の障害によるもの
      • 発育遅延児の20-30%を占める
      • 遺伝子あるいは染色体異常や胎内感染などが主な原因
      • その後の経過は不良
    • 不均衡型:頭は大きくなっているが、体が大きくなれない状態。栄養失調型。妊娠中期から起きることが多い
      • 栄養不足によるもの
      • 発育遅延児の70%を占める
      • 比較的その後の経過は良い
    • 混合型
      • 上記のタイプの中間型
      • 発育遅延児の5%を占める
      • 妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)、母体の栄養失調、薬物、喫煙、アルコールなどが影響していると考えられる
      • 発育遅延の程度によりその予後は異なる

子宮内胎児発育遅延の症状

  • 母体側の自覚症状はない
  • 胎児側の症状の出方は主に2種類
    • 体重、身長、頭囲がすべて妊娠週数のわりに小さい(先天的な異常が主な原因)
    • 身長や頭囲は基準内だが体重のみ小さい(栄養不足が原因)

子宮内胎児発育遅延の検査・診断

  • 発育の遅れを確認するための検査
    • 腹部超音波検査:胎児の身体の部位ごとの大きさから、体重を推定する
  • 原因を探るための主な検査
    • 腹部超音波検査
    • 血液検査
    • 血清学的検査
    • 染色体検査
    • 胎児奇形が疑われる場合はMRI撮影を行うこともある など
  • 分娩時期を決定するための検査
    • 胎児の心拍数などの反応を通じて元気さを確認する検査(ノンストレステストNST) 、コントラクションストレステスト(CST)など)
    • 腹部超音波検査
    • 超音波ドップラー:胎児の心拍動を調べる など

子宮内胎児発育遅延の治療法

  • 胎児の発育度や健康状態の経過を見守りつつ、安静にして管理する
  • 原因を除去する
    • 原因と考えられる薬剤を中止する
    • 禁煙する
  • 栄養不良が原因の場合
    • 食事療法や栄養点滴
      • ビタミンや必須脂肪酸を多く摂取することで栄養周りをよくする
  • 発育停止や子宮内環境の悪化が考えられる場合
    • 肺の成熟度を調べたうえで、早めの胎児娩出を検討する

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