おうもんきんにくしゅ
横紋筋肉腫
自分の意思で動かすことのできる「横紋筋(おうもんきん)」と呼ばれる筋肉に腫瘍ができた状態。
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最終更新: 2022.03.11
横紋筋肉腫の基礎知識
POINT 横紋筋肉腫とは
横紋筋とは身体を動かすための筋肉のことで、身体のあらゆる場所に存在します。横紋筋肉腫は横紋筋になるはずだった細胞から発生した悪性腫瘍です。全身のあらゆる場所にできる可能性があり、さまざまな症状が現れます。例えば、お腹の中にできた場合には腹痛や便秘が現れますし、尿の通り道である膀胱や腎臓にできると尿に血が混じる、尿が出しづらいといった症状が現れます。横紋筋肉腫が疑われる場合にはCT検査やMRI検査などの画像検査を行います。必要に応じて、腫瘍の一部をとる組織診も行われることがあります。治療は手術が中心ですが、取り残しを減らすために手術の前に抗がん剤治療を行ったり、放射線治療を行ったりりします。治療後は再発をいち早く見つけるために定期的に受診が必要です。
横紋筋肉腫について
- 自分の意思で動かすことのできる「
横紋筋 (おうもんきん)」と呼ばれる筋肉に腫瘍 ができた状態- 腫瘍ができることで、血管や神経を圧迫し、痛みや腫れなどの症状が出現する
- 遺伝子の異常が関わっていると言われている
- 男児に多い
- 学童期に
発症 することが多い - 小児
がん のうち3~4%を占める
- 学童期に
- 腫瘍は、眼のまわりや頭蓋骨の下、手足にできやすい
横紋筋肉腫の症状
腫瘍 が生じることによる、腫れやしこり- 腫瘍ができた場所によってさまざまな症状が出る
- 顔面にできた場合、顔面痛や頭痛が出る
- 尿の通り道にできた場合、
血尿 や排尿困難などの症状が現れる - 目の周りにできた場合、物が二重に見えたり視力が落ちたりする
横紋筋肉腫の検査・診断
- 画像検査:
腫瘍 の位置や大きさなどを調べるレントゲン 検査(X線 写真)CT 検査MRI 検査
組織診 :腫瘍を切り取って、腫瘍が良性 か悪性か調べる- 診断を確定するのに必要
横紋筋肉腫の治療法
- 以下の3つの治療法を組み合わせるのが標準的
化学療法 (抗がん剤治療 )放射線治療 腫瘍 に放射線をあてて、腫瘍の組織を壊す
- 手術
- 周りの臓器を同時に切除することがある
- 手術の前に化学療法や
放射線療法 を行い、腫瘍を小さくしてから行うことが多い
- 長期的な経過
- 手術だけを行っても再発することが多いため、手術後に化学療法が必要になることが多い
横紋筋肉腫に関連する治療薬
アルキル化剤
- 細胞増殖に必要なDNAに作用しDNA複製阻害作用やDNAの破壊作用により抗腫瘍効果をあらわす薬
- がん細胞は無秩序な増殖を繰り返し転移することで細胞を障害し組織を壊す
- 細胞の増殖には遺伝情報をもつDNAの複製が必要となる
- 本剤は薬剤中のアルキル基というものがDNAに結合することで抗腫瘍効果をあらわす