かいんとうがん
下咽頭がん
下咽頭がんとはのどの一番奥の食道につながる部分(下咽頭)にできたがん
7人の医師がチェック 102回の改訂 最終更新: 2017.12.06

下咽頭がんの基礎知識

POINT 下咽頭がんとは

下咽頭がんは舌の付け根から、食道の入り口までの範囲にできるがんです。原因は主に飲酒、喫煙です。初期症状はのどの違和感で、進行すると、のどの痛み、食事の通りにくさ、声がれ、首の腫れなどがおこります。下咽頭がんは進行するまで症状が出にくく、症状が出た時には、首のリンパ節転移などがあることが多いため、上記の症状が持続する場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう。診断には鼻から細いカメラ(ファイバースコープ)を入れて腫瘍を観察します。がんであることを確かめるために腫瘍を一部切り取り、組織診断を行います。がんの広がりや転移を調べるために、CT検査、MRI検査、超音波検査、PET-CT検査を行う他、合併したがんを調べるために上部消化管内視鏡(胃カメラ)を行います。治療は手術、放射線治療、化学療法(抗がん剤)を組み合わせて行います。進行したがんの手術では、声を出す喉頭もあわせて切除するため、発声機能に障害が出ることがあります。

下咽頭がんについて

  • 下咽頭がんとはのどの一番奥の食道につながる部分(下咽頭)にできたがん
  • 下咽頭がんの主な原因
    • 長年の喫煙
    • 過度の飲酒:咽頭の梨状陥凹にできるがんは特に関係が強い
    • 最近では逆流性食道炎との関連も指摘されている
    • 例外的に、咽頭の輪状後部という部分にできるがんは鉄欠乏性貧血が関係していると言われている
  • 食道がん合併していることも多いが、がんが出来る原因が似ているためだと考えられている
  • 男性の方が多い(女性の4-5倍)
    • 輪状後部のがんは女性が多い
    • 発症年齢は50歳から60歳代に多い

下咽頭がんの症状

  • 下咽頭がんは、がんが大きくならないと症状が出にくい
    • 症状が出ているときは既に進行がんであるが多い
  • 主な症状
    • 飲み込むときの異物感
    • のどにしみる感じ
    • 耳の周りの痛み
      • 下咽頭の神経が耳の神経とつながっていて、下咽頭の神経ががんによって刺激を受けると耳の痛みとして症状が出ることがある
    • 声がかれる
      • 声帯や喉頭にがん広がることで、反回神経(声帯の動きを調節する神経)が障害を受けることによる
    • 首のリンパの腫れやしこり
      • がんのリンパ節転移による

下咽頭がんの検査・診断

  • 咽頭鏡検査
    • 内視鏡を使ってのどの奥を観察する
  • 組織診:組織を採取し、がん細胞があるかどうかを顕微鏡で調べる
  • 場合によっては必要な検査
    • 血液検査:腫瘍マーカーを使って、がんの増殖具合などを調べる
    • 画像検査:首のリンパ節にがんが転移していないかなどを調べる
      • 超音波検査
      • CT検査
      • MRI検査
  • これらの検査により、がんの進行の程度を病期ステージ)で分ける

下咽頭がんの治療法

  • 基本的な治療方針
    • 治療は手術、放射線療法抗がん剤化学療法)を組み合わせて行う
  • 主な治療
    • 初期(Ⅰ期)は放射線療法単独で治療することも可能
    • 進行した場合に手術+放射線療法あるいは化学療法+放射線療法を行う
      • 進行した場合の手術では喉頭(咽頭の隣の気管に続く部分)も含めて切除しなくてはならない可能性もある
      • その場合、声を出す機能に障害が出ることが多い
  • 予防、再発防止方法
    • 規則正しい生活
    • 禁煙
    • 過度の飲酒を控える
  • 外来での定期的な診察と画像検査を行い、がんが再発していないか調べていく必要がある

下咽頭がんのタグ

下咽頭がんに関わるからだの部位