そうぼうべんいつだつしょう
僧帽弁逸脱症
僧帽弁が変化して、左心室が収縮するときに弁が心房側に張り出してしまう状態
7人の医師がチェック 121回の改訂 最終更新: 2017.12.06

僧帽弁逸脱症の基礎知識

POINT 僧帽弁逸脱症とは

心臓にある血液逆流防止弁の中でも、左心房と左心室の間にある弁を僧帽弁といいます。僧帽弁逸脱症は僧帽弁が通常の位置よりも左心房側に移動する病気です。僧帽弁逸脱症自体で症状が出ることはほとんどありません。しかし、病状が進行すると僧帽弁閉鎖不全症になることがあり、最終的に心不全になってしまった場合は息切れ・ふらつき・失神などの症状が出てきます。 症状や身体診察に加えて、心臓エコー検査を用いて診断します。病状が進行しない限りは特に治療することなく様子を見ますが、心不全の症状が強くなった場合は手術で弁を取り替えます。僧帽弁逸脱症が心配な人や治療したい人は、循環器内科や心臓血管外科を受診して下さい。

僧帽弁逸脱症について

  • 左心室が収縮するときに弁が心房側に張り出してしまう状態
  • 細身の女性に多い
    • 男女比では、女性が男性の約2倍
  • 僧帽弁逸脱症が進行すると僧帽弁閉鎖不全症を起こすことがあり治療が必要になる
  • 重症の僧帽弁逸脱症になると、心不全不整脈が起こるようになる
    • 年間で2%くらいの重症僧帽弁逸脱症患者が亡くなる

僧帽弁逸脱症の症状

  • 僧帽弁逸脱症そのもので症状が出ることは少ない
  • 僧帽弁逸脱症によって僧帽弁閉鎖不全症に進行して心不全が生じた場合に症状が出現する
    • 息切れ
    • 全身のむくみ
    • 胸痛
    • ふらつき
    • 失神   など

僧帽弁逸脱症の検査・診断

  • 聴診
    • 僧帽弁逸脱症に特有の音を聴診器で確認できることがある
      • 心臓の収縮している期間の中間でカチッと言うような音がする(収縮中期クリック音)
  • 心臓超音波検査:診断を確定するための最も基本的な検査
    • 心臓の動きと弁の働きを確認できる
    • 弁がうまく働かずに血液が逆流している状態の有無を確認できる
  • 心電図検査
    • 僧帽弁逸脱症の有無は分からないが、不整脈心筋梗塞など他の心臓の病気の有無を確認するために行われる
  • 胸部レントゲン検査
    • 僧帽弁逸脱症の有無は分からないが、心不全や他の心臓の病気の有無を確認するために行われる

僧帽弁逸脱症の治療法

  • 僧帽弁逸脱症のみで、僧帽弁閉鎖不全症心不全が起こっていなければ特別な治療は行われず、定期的な検査で様子を見る
  • 僧帽弁閉鎖不全症があり、進行して症状が出現していれば、僧帽弁を取り替える手術治療を検討する

僧帽弁逸脱症の経過と病院探しのポイント

僧帽弁逸脱症が心配な方

僧帽弁逸脱症によって心不全が起こると、息切れや全身のむくみといったような症状がみられます。僧帽弁逸脱症のみの段階では症状が出ませんが、何らかの理由で僧帽弁逸脱症がご心配な場合や、心不全のような症状を自覚されている場合には、かかりつけの医師か、もしくは循環器内科の受診をお勧めします。

僧帽弁逸脱症の診断は、聴診と心エコーで行います。僧帽弁逸脱症があるかどうかの診断や、ある程度重症度の検討をつけるだけであれば、クリニックを含め、心エコーの機械がある医療機関ならばどこでも行うことができます。

僧帽弁逸脱症に関連する診療科の病院・クリニックを探す

僧帽弁逸脱症でお困りの方

僧帽弁逸脱症の重症度によって治療が大きく変わります。軽症で、定期的に様子を診る方針で良いのであればクリニックへの通院で診療が可能ですし、重症で本格的な治療を考慮しなければならない場合には、心臓手術が行える病院を選ぶことになります。この場合、心臓手術はその他の部位と比較して難易度が高い治療であるため、手術件数が少なすぎないことは、病院を探す上で参考になる基準の一つです。

重症の場合は、僧帽弁逸脱症およびそれによる僧帽弁閉鎖不全症の根本治療のために心臓手術が必要です。心臓血管外科に入院の上で手術を行い、手術後は ICU (intensive care unit) と呼ばれる集中治療室に入室することになります。

僧帽弁逸脱症であっても手術が必要ないような場合には、定期的に通院して心エコーや心電図といった検査を受けながら、症状が悪化しないか様子を見ていくことになります。長期的な通院が必要となりますので、主治医との相性も大事な判断基準の一つです。

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