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頚椎椎間板ヘルニア

頚椎椎間板ヘルニアの基礎知識

頚椎椎間板ヘルニアとは?

  • 背骨と背骨の間のクッションである「椎間板」が後方に飛び出て、脊髄を圧迫すること
    • そのことで感覚障害や運動麻痺などの症状を引きおこす
    • 首の骨(頚椎)の位置で起こる場合を頚椎椎間板ヘルニアという
  • 主な原因
    • 仕事などで悪い姿勢でいる(猫背など)
    • スポーツ
    • けが
  • 男性に多い
    • 40~60歳代に多い
  • 分類
    • 椎間板のはみ出し具合で4つに分類される
      ・膨隆型:椎間板が変形して、背骨を支えている「後縦靭帯」と呼ばれる靭帯が膨らんでいる状態
      ・突出型:椎間板の内部の「髄核」が後縦靭帯のすぐ下まで飛び出している状態
      ・脱出型:髄核が後縦靭帯を突き破っている状態
      ・移動型:髄核が本来の位置からちぎれて後縦靭帯の先まで飛び出している状態

症状

  • 主な症状
    • 運動麻痺:腕が動かしにくい、指先の細かい動きができない、腕が疲れやすい など
    • 感覚障害:手足のしびれ、感覚がなくなる など
    • 排尿、排便障害
    • その他の自律神経障害:血圧や体温の異常
    • 画像上はヘルニアがあっても症状が見られない時もある
  • 特殊な症状
    • 頚椎の位置で、脊髄が強い圧迫を受けると、呼吸がしづらくなるなど危険な状態に陥ることがある

検査・診断

  • 運動検査:動かすことができない箇所や力の入り具合を調べる
  • 感覚検査:感覚の異常がある箇所を調べる
  • 痛覚検査:ピンや針を使って、痛みを感じる箇所を調べる
  • 画像検査
    • レントゲン:骨の並びがまっすぐか、骨折がないかを調べる
    • CT:骨の並びがまっすぐか、骨折がないかをより詳細に調べる
    • MRI:CTでは分からないような骨折や、脊髄のダメージがないかを調べる

治療

  • 主な治療
    • 保存療法:首専用の装具を使って安静にする
    • 薬物療法
      NSAIDs:痛み止め
      ビタミンB12:神経の回復を促す
      ・プレガバリン:神経痛に効く痛み止め
    • 手術
      ・前方除圧固定術:首の骨の前方から切り開く手術で、圧迫を起こしている骨や椎間板を取り除く
      脊柱管拡大術(椎弓形成術):首の骨の後方から切り開く手術で、脊髄が通る場所を広くする
    • リハビリテーション:残った体の働き(動かせる筋肉)を強化したり、一部障害された働きを改善したりすることが期待できる
  • 予防、再発予防方法
    • 首の過度な動きや、転倒に対して注意することで悪化を予防することができる
  • 長期的な経過
    • 手足のしびれや指先で細かい物を操作することができなくなったなどの症状が出た場合は早急に病院を受診することが重要である

頚椎椎間板ヘルニアの経過と病院探しのポイント

この病気かなと感じている方

頚椎椎間板ヘルニアは、首の位置で起こる椎間板ヘルニアです。椎間板ヘルニアとは、背中の骨と骨の間でクッションの役割をしている椎間板の中身が飛び出してしまった状態です。頚椎椎間板ヘルニアでは、飛び出した椎間板が首の骨の後ろにある頸髄(脊髄の一部)という神経を圧迫することで、手の痺れや動かしにくさなどがみられます。猫背などの姿勢の影響や、首に負担がかかるスポーツや怪我が原因となります。40-60歳代の男性に多いことが知られています。

ご自身が椎間板ヘルニアでないかと心配になった時、最初に受診するのは、整形外科のクリニックが良いでしょう。頚椎椎間板の症状が出た際に、整体院で治療を受ける方もいらっしゃいますが、初期の段階では診断を確かめる意味も踏まえて、まず一度整形外科での診察を受けることをお勧めします。

頚椎椎間板ヘルニアの診断は、問診、診察、画像検査で行います。診察では、運動、感覚に異常がないかを調べます。画像検査では、レントゲン検査やCT検査で骨の変形や骨折がないか、そしてMRI検査で神経の圧迫がないかを確認します。MRIやCTがないクリニックもありますが、診察とレントゲンの結果から頚椎椎間板ヘルニアを疑い、治療を開始することも多くあります。また、クリニックの場合であっても、必要に応じてMRIやCTを取れる病院を紹介するなどで適切な対応が可能です。


この病気でお困りの方

頚椎椎間板ヘルニアでは、安静の上、サポーターを装着し、痛み止めによる治療を行います。それでも痛みがひどい場合には、神経ブロックという注射や手術を行うこともあります。

しかし、ほとんどの場合では痛み止めと安静にすることで、症状が改善します。そのため、基本的には入院の必要はなく、自宅で安静にし、様子をみることが可能です。自宅で様子を診る場合、注意しなくてはならない点がいくつかあります。痛み止めを使っても痛みがどんどん悪くなる場合、力が入りにくくなった場合、排尿や排便に問題が出てきた場合など、このような症状が出た場合はすぐに病院を受診しましょう。特に排尿や排泄に問題が出た場合は、その場で緊急手術が行われることがあります。

安静、痛み止めの内服、ブロック注射にて症状が改善しない場合、上記で述べたような症状が出た場合は手術を検討します。手術は基本的に総合病院で行われます。クリニックに通院中であれば、手術可能な病院への紹介状を書いてもらいましょう。手術の方法には、内視鏡を使った体の負担の少ない手術や、背骨の一部を切ってはみ出た椎間板を取り除く手術があります。病院毎に得意とする手術方法が異なる場合もあるため、まずは希望の病院のホームページなどで、手術件数や得意とする手術方法の記載があるかを確認することも、ご自身の希望にあった治療を受けるためには大切です。また、手術のために必要な入院は1-2週間です。病院によって、差額ベット代が異なるため、入院前に費用に関しても確認しておくといいでしょう。





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