けいついこうじゅうじんたいこつかしょう
頚椎後縦靭帯骨化症
首の骨を支えている「後縦靭帯」という靭帯が骨のようになり、脊髄や脊髄から分かれる神経を圧迫する病気。
5人の医師がチェック 118回の改訂 最終更新: 2022.03.11

頚椎後縦靭帯骨化症の基礎知識

POINT 頚椎後縦靭帯骨化症とは

首の骨の椎体の後ろ側にある靭帯(後縦靭帯)が骨のように硬くなってしまう病気です。硬くなった靭帯の影響で神経が圧迫されて、運動や感覚障害が現れます。発病には遺伝が関係されているとされており、厚生労働省の定める難病にも指定されています。運動麻痺(手足の動かしにくさなど)や感覚障害(手足のしびれや感覚の鈍さ)、排尿・排便障害(尿意や便意を感じなくなる)などさまざまな形で症状が現れます。頚椎後縦靭帯骨化症が疑われる場合は、レントゲン検査やCT検査、MRI検査といった画像検査が行なわれます。コルセットでの首の固定や薬物療法などが治療として行なわれ、症状が重い場合は手術が検討されます。手足のしびれや動かしにくさなどの原因は後縦靭帯骨化症の可能性があります。脳神経外科や神経内科、整形外科を受診してください。

頚椎後縦靭帯骨化症について

  • 首の骨を支えている「後縦靭帯」という靭帯が骨のようになり、脊髄や脊髄から分かれる神経を圧迫する病気
  • 病気のメカニズム
    • 神経が圧迫されると、運動障害や感覚障害が引き起こされる
  • 主な原因
    • 遺伝が原因の一つであるとの報告もある
  • 日本の人口における3%の人がこの病気をもっている
    • 男性に多い
    • 50歳前後で発症することが多い
  • 厚生労働省において特定疾患として認められているため、一部治療費が支給される

頚椎後縦靭帯骨化症の症状

  • 主な症状
    • 運動麻痺:腕が動かしにくい、指先の細かい動きができない、十分に力が入らない
    • 感覚障害:手足のしびれ、感覚が鈍くなる
    • 排尿障害排便障害:尿や便を思うように出すことができなくなる
    • その他の自律神経障害:体温や血圧が正常に保たれなくなる

頚椎後縦靭帯骨化症の検査・診断

  • 診察で神経症状が出ていないか調べる
    • 運動検査:どの程度運動できるか調べる
    • 感覚検査:どの程度の感覚が残っているか調べる
    • 痛覚検査:ピンや針を使用して痛みを感じる程度を調べる
  • 画像検査:首の靭帯の石灰化の大きさなどを調べる
    • レントゲン
    • CT検査:靭帯の状態を調べるのに有効
    • MRI検査:首にある脊髄が損傷していないか調べる

頚椎後縦靭帯骨化症の治療法

  • 主な治療
    • 保存療法:首専用の装具を使って安静にする
    • 薬物療法:痛み止めの薬を使う
    • 手術
      • 前方除圧固定術:首の骨の前から侵入し、固くなった後縦靭帯を除去する
      • 脊柱管拡大術(椎弓形成術):首の骨の後ろから侵入し、脊髄が通る場所を広くする
    • リハビリテーション
      • 体幹が硬くなっていることが多く、後ろを振り向けない、かがめないなどの日常生活に必要ま動きができないことがある
      • 残った体の働き(動かせる筋肉)を強化する、一部障害された働きを改善することができる
  • 予防・再発予防について
    • 首の過度な動きや転倒に対して注意することで悪化を予防することが重要
    • 手足のしびれや指先で細かい物を操作することができなくなったなどの症状が出た場合は、早急に病院を受診することが重要である
    • 早期発見できれば症状を改善できることが多い

頚椎後縦靭帯骨化症のタグ

頚椎後縦靭帯骨化症に関わるからだの部位