しんしつちゅうかくけっそんしょう
心室中隔欠損症
心臓の中にある右心室と左心室の間に、本来ないはずの穴が生まれつき空いてしまっていること
9人の医師がチェック 170回の改訂 最終更新: 2019.09.20

心室中隔欠損症の基礎知識

POINT 心室中隔欠損症とは

心室中隔欠損症は左心室と右心室の間にある壁に生まれつき穴が空いてしまう病気です。心室中隔欠損症の半分弱の人で特に治療しなくても自然に治ります。主な症状は呼吸の乱れ・息切れ・発汗・四肢の冷えなどになりますが、症状が進行すると動かなくても息が切れる状態になってしまいます。 症状や身体診察に加えて、画像検査・心臓エコー検査を用いて診断します。また、病状を詳細に調べる必要がある場合には心臓カテーテル検査を行います。根治するには手術で治療しますが、手術をしなくてもいい場合があるので慎重な判断が必要になります。心室中隔欠損症が心配な人や治療したい人は、小児科・循環器内科・心臓血管外科を受診して下さい。

心室中隔欠損症について

  • 心臓の中にある右心室左心室の間に、本来ないはずの穴が空いてしまっていること
  • わが国のデータでは先天性心疾患(生まれつきの心臓病)のうち約5%を占める(先天性心疾患全体の発生頻度は約1%)
    • 先天性心疾患の中で最も出現頻度が高い
    • 心室中隔欠損症の1/2から1/3くらいの人で、年齢を重ねていくうちに自然な閉鎖や縮小が起こる
    • 空いている穴が大きい場合には自然閉鎖は期待しにくい
  • 感染性心内膜炎などの血流感染症が起こりやすくなる

心室中隔欠損症の症状

  • 穴の位置やサイズと穴を通して流れる血液の量などによって症状が変わる
    • 穴のサイズが大きい場合には、生後1ヶ月を過ぎた頃から以下の症状が出る
      • 呼吸が速くなる
      • 食欲が少ない
      • 体重が増えにくい
      • 発汗
      • 手足が冷たい   など
    • 症状がないまま成人する場合も多い
      • 穴が小さい場合には、ほとんど症状がないことが多い

心室中隔欠損症の検査・診断

  • 身体診察、胸部レントゲン写真、心電図検査から心室中隔欠損症が疑われると心臓エコー検査が行われる
  • 聴診
    • 心臓の収縮期に雑音が聞こえる
    • 進行すると心尖部で拡張期ランブルを聴取する
    • 重度の進行(アイゼンメンゲル症候群化)すると心雑音が聞こえなくなることもある
  • 検査によって心臓の動きや大きさ、心室中隔欠損のサイズ、他の病変の有無などを調べる
    • 心電図検査
      • 左室肥大、左房拡大濃霧を確認する
    • 胸部レントゲン(X線)検査
      • 心拡大、肺血管陰影増加濃霧を確認する
    • 心臓超音波検査
      • 心室中隔欠損の位置、サイズ、右室圧などの推定をすることができ、最も重要な検査の一つ
    • 心臓カテーテル検査
      • 肺体血流比、肺血管抵抗、肺動脈圧などの測定を行う

心室中隔欠損症の治療法

  • 治療の方針
    • 穴が大きい場合や症状がある場合には手術による欠損部分の閉鎖が原則となる
    • 自然に欠損部分が閉じる場合もあるので、以下のような場合を手術を行う判断材料とする
      • 心不全の症状がある場合
      • 二次性肺高血圧症が起こっている場合
      • 症状がなくても大動脈弁逸脱、大動脈弁逆流が起きている場合
      • 心臓カテーテル検査において、肺に行く血流量が一定以上多くなっている場合
    • いずれ手術する必要がある場合でも、時間的余裕があれば、生後直後ではなく手術が行える体重や年齢になるまで待つこともある
      • 手術を行うまで、利尿剤や強心剤の内服で症状を和らげる治療法(対症療法)を行う
  • 症状が進行してアイゼンメンゲル症候群の状態になると手術できなくなる
    • 手術をしない選択をしても、病状が進行していっていないかを慎重にみていかなければならない
    • 治療のタイミングを逃さないように早期からきちんと定期検査をする

心室中隔欠損症が含まれる病気

心室中隔欠損症のタグ

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