しきゅうかすい、しきゅうだつ
子宮下垂、子宮脱
子宮が下がってきたり、腟からはみ出てきしまう状態。老化とともに、子宮を支える靭帯の固定や筋肉の力が弱ってしまうことが原因
9人の医師がチェック 142回の改訂 最終更新: 2018.07.12

子宮下垂、子宮脱の基礎知識

POINT 子宮下垂、子宮脱とは

加齢や妊娠・出産などが原因で子宮を支える筋肉や靱帯が弱くなり、子宮が骨盤内より垂れ下がった状態のことです。高齢者や経腟分娩をした人に多くみられます。症状は不快感や出血、痛み、尿の出が悪い、性交ができないなど多様です。また、子宮脱の人は子宮だけではなく膀胱や直腸など骨盤内臓器にも下垂が起こっていることがあります。症状の程度や年齢に応じて、骨盤底筋訓練、ペッサリー療法、手術の中から治療法が選ばれます。子宮下垂、子宮脱が心配な人は産婦人科で相談してみてください。

子宮下垂、子宮脱について

  • 子宮を支える靱帯や筋肉などの組織が弱くなったために、子宮が下がってきたり、腟からはみ出してしまう現象
    • 高齢者に多い
    • 経膣出産経験者に多い
  • 子宮下垂子宮脱の主な原因
    • 多くの場合、分娩時に、骨盤の底の靭帯や筋肉がダメージを受け、加齢とともに弱ってくることが原因とされている
      • 子どもをたくさん産んだ女性が年をとってから起こることが多い
  • 頻度
    • 女性の約10%が経験し、そのうちの95%は分娩経験者
  • 子宮が落ちてきてしまっていても、腟内に留まっていれば子宮下垂と呼ぶ
    • 腟から外に出てしまった場合を子宮脱という

子宮下垂、子宮脱の症状

  • 主な症状
    • 軽度の場合の症状
      • 下腹部や外陰部の不快感
      • 圧迫感
      • 下垂感
      • 便秘
      • 頻尿
    • その他の症状
      • 性器の下垂感や脱出感
      • 脱出した部分による歩行障害
      • 脱出部分の粘膜のただれや炎症による出血
      • 排尿障害
  • 症状の説明
    • 程度の軽い子宮下垂の場合は無症状のことがあり、婦人科健診を受けるまで気づかないことが多い
    • 排便時や重い物をもったときなど、腹筋に力が入った時にだけ子宮が飛び出てくるのが自覚できることもある

子宮下垂、子宮脱の検査・診断

  • 視診や内診のみで確定診断は可能
  • 子宮脱以外にも膀胱脱、直腸脱、また子宮全摘後の膣脱もあり、主に脱出している部分がどこかを診察で評価する
  • 子宮下垂でもお腹に力を加えたり、子宮の入り口を引っ張って検査することもある

子宮下垂、子宮脱の治療法

  • 保存的治療
    • 軽度〜中程度の場合に行う
    • 規則正しい骨盤底の運動が効くことがある
    • ペッサリーの挿入(硬質プラスチック製のペッサリーを腟内へ挿入し、子宮を上に挙げて固定する方法)
      • ペッサリーは一時的に子宮下垂を改善する方法であり、根本的な治療にはならない
      • ペッサリーが合わないなどの場合、ガードルのような特別な下着で子宮脱を抑える方法がある
  • 手術
    • 子宮を取って、骨盤底を縫い合わせる手術
    • 子宮を取らずに済む手術
      • 帯を子宮に縫い付ける手術や、腟閉鎖術がある
    • メッシュのような膜を骨盤の底にいれて、(あたかもハンモックのように)臓器が落ちるのを支える手術
  • 手術法は子宮下垂子宮脱の状態に合わせて行われるが、施設によって選択する手術方法が変わることがある

子宮下垂、子宮脱のタグ

子宮下垂、子宮脱に関わるからだの部位