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急性喉頭蓋炎

急性喉頭蓋炎の基礎知識

急性喉頭蓋炎とは?

  • 感染などが原因でのどの奥にある「喉頭蓋(こうとうがい)」という部分に炎症が起きた状態
    • 喉頭蓋が腫れ上がり、空気の通り道(気道)が狭くなる
    • 進行がきわめて速く気道が完全にふさがることもあるため、治療を急ぐ
    • 小児において無治療では6%が死亡する
  • 細菌感染が主な原因
    • b型インフルエンザ桿菌がほとんど
      ・ヒブワクチンの普及によってインフルエンザ桿菌による急性喉頭蓋炎は減ってきている
    • それ以外には、黄色ブドウ球菌肺炎球菌、EBウイルスカンジダなどがある
  • 2-7歳の小児に多い
  • 男女差、季節性はない

症状

  • 主な症状
    • 突然の発熱と激しいのどの痛み
    • のどの痛みは非常に強く、特につばや食べ物を飲み込もうとする際に強くなる
    • 前傾姿勢の方が呼吸が楽になるので、自然と前かがみになることが多い
    • のどぼとけの上方を押すと痛みがある
    • 特徴的な話し方
      ・くぐもった声になる
    • 空気を吸う際にヒューヒュー音がする
  • 重症化した場合の症状
    • 痛みのために唾液が飲み込めなくなり、口から垂れ流しになる
    • 気道が狭くなることにより、呼吸困難の症状が出現する
      ・肋骨の間や一番下の肋骨の下方
      ・鎖骨の間などがべこべこへこむような呼吸(陥没呼吸)
      意識障害
      チアノーゼ
  • 咳や鼻水はほとんどない

検査・診断

  • 経過や症状から診断する
    • 数時間から1日以内に急激に症状が悪化する場合には、この病気である可能性が高くなる
  • 検査は参考にはなるが、進行が速いため検査よりも治療を優先する
  • 画像検査
    • レントゲン検査
      ・喉頭蓋の腫れが起こっていないかを調べる
    • CT検査
      ・レントゲンよりも精度高く喉頭蓋周辺の様子を確認できる
      ・診断だけでなく、よく似た他の病気(咽頭膿瘍など)を見つけるためにも有用である
    • 喉頭ファイバー検査:のどに炎症が起こっていないかを詳しく調べる
      胃カメラよりも細いカメラを鼻や口から入れて、のどの奥を観察する
      ・すぐに行える医療機関は限られている
  • 血液検査
    • 炎症の値が上昇していることが多い
  • 培養検査:のど・血液中の細菌の検査

治療

  • 気道を確保して、窒息しないようにすることが最優先
    • 気管挿管:口から管を入れ、人工呼吸器で呼吸を手助けする
    • 輪状甲状靭帯切開:のどの一部を切って管を入れる(小児ではあまり行われない)
  • 急激に悪化するため、入院ですぐに対応できるようにする必要がある
    • 抗生物質点滴(セフトリアキソン、スルバクタム・アンピシリンなど)
    • アドレナリン吸入
    • ステロイド点滴
  • 2-3日で挿管など人工呼吸が必要な期間は終わり、約1週間で完全に症状がなくなる
  • 姿勢の工夫
    • 頭の位置が下がると窒息のリスクが増すため、座った姿勢や縦向きに寝かせることが多い
  • Hibワクチンの定期接種を受けることで予防効果が期待できる

急性喉頭蓋炎の経過と病院探しのポイント

この病気かなと感じている方

急性喉頭蓋炎では、のどの極めて強い痛みが特徴的です。炎症が進行すると唾液を飲み込もうとする際の痛みが我慢できず、唾液を一切飲まずに外に出し続けてしまうほどになります。

進行が早く、痛みが強くなってから早ければ半日、そうでなくとも数日以内に急激にのどが腫れてしまい、呼吸に支障をきたすため緊急入院が必要となります。そのまま放置すると、のどが詰まって窒息死につながる深刻な病気です。もし急性喉頭蓋炎が疑わしいのであれば、早期に救急外来を受診する必要があります。呼吸が苦しければ救急車で受診すべき病気です。

急性喉頭蓋炎の診断は喉頭ファイバースコープで行います。補助的にレントゲンを使用することもありますが、診断確定のためには喉頭ファイバースコープという、胃カメラのような細いカメラを口から入れて確認します。これは主に救急科や耳鼻科で行われる検査です。どこの救急科でも行える検査ではありませんが、耳鼻科医がいる病院であれば確実です。

夜間や土日祝日に病院を受診する際には注意が必要です。救急科が24時間受付をしていたとしても、耳鼻科や救急科の医師が常に院内に常駐しているとは限りません。専門外の医師だけでは診断が難しい場合があります。


この病気でお困りの方

急性喉頭蓋炎については、診断がつき次第その場で緊急入院となって、直ちに抗生物質抗菌薬)やステロイドなどの治療が開始されます。命に関わる病気ですので、どこでどのような治療を受けるかを迷う余地はほぼありません。

本当に重症の場合には、のどを切開して呼吸できるよう応急処置を行うこともあります。救急医が緊急で行う場合と、少し時間に余裕があるのであれば、手術室に移動して耳鼻科医が行う場合があります。

いずれにせよ、入院の上で、ICU (intensive care unit), HCU (high care unit) などと呼ばれるような集中治療室で経過をしっかりとみるような重大な病気です。設備の整っていない小さな医療機関では対応が難しい病気の一つと言えます。





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