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一酸化炭素中毒

一酸化炭素中毒の基礎知識

一酸化炭素中毒とは?

  • 一酸化炭素が血中に大量に入り、全身に必要な酸素量が足りなくなる状態
    • 一酸化炭素は、酸素の250倍も赤血球とくっつきやすい
    • そのため、赤血球が酸素のかわりに一酸化炭素とくっついてしまい、全身へ十分な酸素を運べなくなる
  • 閉めきった環境で、不完全燃焼が起こると一酸化炭素が発生する
    • 一酸化炭素は無味無臭であるため、発生に気づきにくい
  • 以下の物から一酸化炭素が発生しやすい
    • 石油ストーブ
    • 薪、炭
    • 古い型のガス湯沸かし器
    • 火災
  • 思いがけない一酸化炭素中毒発生の例
    • 大雪で車のマフラーが塞がっているのに気づかず、車内でエンジンが暖まるのを待っていた
    • ボイラーがすぐ近くにある古い湯沸かし器の追い炊き機能を使いながら入浴していた
  • 日本における中毒死亡者の約6割を占める
    • 死亡に至らなくとも脳に重大な障害を残す場合がある

症状

  • 初期に起こる症状(かぜや疲れの症状によく似ている)
    • 軽い頭痛
    • 顔のほてり
    • 眼がチカチカする
    • めまい
    • 意識がぼんやりする
    • 視力障害
  • 進行すると起こる症状
    • 頭痛 
    • 胸痛
    • 脱力
    • 運動障害
    • 不整脈
    • 失神
    • 血圧低下
    • 錯乱
  • 更に進行すると起こる症状
    • 昏睡
    • けいれん
    • 意識消失から呼吸停止
  • 重症例だと、数時間後に回復したその数週間後に再び記憶障害、視力障害のほか、体調不良が現れる場合があるので、長期的な注意が必要
  • 主な後遺症としては以下のものがある
    • 神経症状
      ・ふるえ
      ・運動障害
      ・認知機能の低下
    • 精神障害
      ・人格変化
      ・物忘れ

検査・診断

  • 血液検査:血液中の一酸化炭素の圧力などを調べる、最も重要な検査
  • 意識障害がある場合には脳の画像検査検査も行う
    • 頭部CT
    • 頭部MRI
      ・ただし脳の異常は発症してから数時間以上経たないと画像検査では分からない

治療

  • 酸素吸入:高濃度酸素を吸う
    • 一酸化炭素をなるべく早く追い出すことが重要
  • 高圧酸素療法:酸素カプセルに入って、より体に酸素を届けるようにする
    • この治療を行うことができる医療機関はかなり限られている
  • 以下のことを行うことで予防、再発予防に努める
    • 物が燃えている場所ではこまめに換気を行う
    • 気密性が高い空間(部屋、車など)では、物を燃やさない
    • 古い燃焼機材は点検、買い換えをする
  • 重症の場合、脳がダメージを受けて、後遺症が残る可能性がある

一酸化炭素中毒の経過と病院探しのポイント

この病気かなと感じている方

一酸化炭素中毒では、めまいや頭痛、頭がぼーっとするといった症状が出ます。重症化すると命に関わる状態です。物が燃える際には二酸化炭素が発生しますが、火災などで火の勢いが強い時、あるいは閉めきった環境で酸素が不足している時などに不完全燃焼によって一酸化炭素が発生します。

このような環境にあって、めまいや頭痛といった症状がある場合には、すぐにお近くの病院の救急外来を受診されることをお勧めします。意識がはっきりしていれば救急車ではなくそれ以外の手段での受診で構いませんが、一人ではなくどなたかに付き添ってもらっての受診が良いでしょう。病院では血液中の一酸化炭素を測定して診断します。意識障害といった重症の症状が出ている場合には頭部CT頭部MRIといった脳の検査も必要となるでしょう。


この病気でお困りの方

軽症の一酸化炭素中毒であれば、酸素の吸入が治療となります。クリニックでは難しいかもしれませんが、総合病院であればほとんどの病院で対応が可能です。一方で、気を失ったりけいれんが生じたりしているような一酸化炭素中毒は重症で、酸素吸入だけでは対応し切れないことがあります。そのような場合に治療の選択肢となるのは高圧酸素療法と呼ばれる治療です。酸素カプセルの中に入ったり、一部の医療機関では加圧室と呼ばれる、部屋ごと加圧できる部屋があるところもあります。ただしこれらの医療機器は、大学病院やそれに準ずるような、ごく限られた病院にしかありません。

重症の一酸化炭素中毒では、低酸素脳症といって手足や顔面、そして脳の機能に後遺症が残ってしまうことがあります。このような場合には長期間のリハビリテーションが必要です。後遺症が大きく一人で日常生活を行うことができないような場合には、急性期病院から回復期病院(リハビリ病院、療養型病院)に転院して、リハビリに専念することになります。

急性期病院にも一般的にリハビリの施設はついていますが、回復期病院の方がリハビリに専念しやすい環境が整っています。一緒にリハビリを行うことになるのは理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といったスタッフですが、患者さん一人あたりのスタッフ数や、リハビリ設備(リハビリ室や器具)の充実度といったところが病院を探す上で参考になります。リハビリの回数が1日1回なのか、それとも午前と午後で2回あるのか、1日に受けられるリハビリの総時間、土日はどうかといった点も、回復期の病院を探す上でのポイントとなります。





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