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IgA紫斑病(ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)

IgA紫斑病(ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)の基礎知識

IgA紫斑病(ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)とは?

  • 全身の細い血管の壁に炎症が起こって、様々な症状を起こす
    • 患者の30-50%で、症状の現れる1-2週間前に上気道感染を起こしている
    • 感染をきっかけに免疫反応が刺激されている可能性は指摘されているが、明らかな原因は不明
    • 溶連菌感染症や食物、虫さされ、ワクチンなどとの関連も報告されている
  • 血管がダメージを受けることで、皮膚、消化管、腎臓で特に目立った症状が現れる
  • 2-8歳の子どもに起こることが多い
    • 10万人あたり、10-20人程度
    • 冬に多く、女児より男児に多い
  • 腎臓や消化管の症状には注意が必要だが、全般的に予後は良い
  • 多くは一過性で回復するが、1/3で再発する
  • アナフィラクトイド紫斑病と呼ばれることもある

症状

  • 主な症状 
    • 皮膚症状:紫斑(ほぼ全例)
      ・両すねの前側が典型的だが、足の甲、おしり、顔、腕にもみられる 
      ・赤-紫色の盛り上がった小さな発疹がいくつも集まる
      ・2mm以下の点状出血が多いが、より大きなものもある
      ・褐色になって3-10日間で徐々に退色する
      ・同時もしくは皮疹に先立ってむくみがみられることもある
       ・おしりやまぶた、唇、陰嚢、手足の甲など
    • 消化器症状:腹痛(70%)、吐き気(20%)、血便(10%)
      腸重積を起こすことがある(約3%)
    • 関節症状:膝や足首の関節痛(約65%)
      ・関節周囲のむくみを伴う
  • 症状は同時に出現する場合と数週間から数か月間隔をあけて少しずつ出現する場合がある
  • 腎障害を起こすと、血尿たんぱく尿が出る 
    • 頻度は20-60%と報告によりばらつきがある
    • 発症から1~3週間後にみられることが多い
    • ネフローゼ症候群腎機能の低下を認めることもある
    • 腎障害の程度により自然に改善する場合と長期的に治療が必要な場合がある

検査・診断

  • 特異的発疹やその他の症状から診断する
    • 検査は診断に必須ではないが、その他の病気や合併症を否定するために必要になることがある
  • 主な検査
    • 血液検査
      血小板の数や血液を固める成分の異常の有無を確認する
      消化管からの出血により貧血が進んでいないか等を確認する
      膠原病など似たような症状を起こす病気が隠れていないか確認する
    • 尿検査:血尿たんぱく尿など腎臓の機能を確認する(目で見て血が混じっていない場合にも検査で血尿が明らかになることがある)
    • 便検査:便に血が混じっていないかを確認する
    • 腹部エコー:腸のむくみを調べる(腸重積が疑われる場合にも重要)
    • 腎生検:腎障害が長く続く場合やネフローゼ症候群腎機能低下、高血圧の合併などでは腎生検を行う

治療

  • 安静と適切な水分補給が主な治療
    • 発疹だけの場合は安静のみで改善することが多い
    • 激しい運動は避けて、足はできるだけ挙げて生活する
    • 自宅で安静が難しい場合には入院が必要になることもある
  • 関節やお腹の痛みに対しては適宜鎮痛剤を使用する
    • 症状が強い場合にはステロイド薬(内服もしくは点滴)を使用する
    • 腸重積合併している場合には早期に整復が必要
  • 腎障害を起こしている場合もほとんどの場合は軽症で、特別な治療は必要ない
    • 腎生検の結果が予後予測と治療方針決定に重要
    • ステロイド免疫を抑える薬(免疫抑制剤)を用いて治療する
    • 血漿交換や腎移植が必要になることもある




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