ちゅうすうしんけいげんぱつあくせいりんぱしゅ
中枢神経原発悪性リンパ腫(原発性脳リンパ腫)
血球の一種であるリンパ球から出来たがん。脳にできる悪性リンパ腫
14人の医師がチェック 190回の改訂 最終更新: 2022.10.24

Beta 中枢神経原発悪性リンパ腫(原発性脳リンパ腫)についての医師コメント

この疾患の最も良い治療法は、現時点では抗癌剤と放射線の併用療法と考えられています。これにより、中枢神経原発悪性リンパ腫自体は完治する患者さんも増えてきています。
一方で患者さんの生存期間が延長するにつれて、「白質脳症」という神経障害が問題となってきています。これは抗癌剤や放射線の副作用と考えられており、認知症(物忘れ)や性格変化・麻痺などの症状が起こることがあります。
治療の際はそれによって起こりうる副作用について、主治医からよく話を聞いておくとよいでしょう。


匿名協力医師
患者さんへのメッセージ
2015.02.28

一般的に脳は抗がん剤などの薬が入りにくい構造をしているので、他のリンパ腫と同じような治療をしてもリンパ腫に効果が出ません。そのため、脳のリンパ腫には特別な抗がん剤治療が必要です。
抗がん剤の中では脳への届きやすさが比較的「まし」なメソトレキセートやシタラビンという抗がん剤を、通常より大量に投与することでようやく効果を発揮します。大量投与の結果として副作用も強く出ることがあり、その予防のために点滴をたくさんしたり採血を頻回にする必要があります。

その他には、背骨の間から脊髄に直接抗がん剤を注射する「髄注」という方法もあります。

脳のリンパ腫に放射線照射を照射する場合、「全脳照射」といってリンパ腫病変が見えている部分だけでなく脳全体に放射線を当てるのが一般的です。これは、一見正常な脳見える部分にも目に見えない小さなリンパ腫が入り込んでいる(浸潤と言います)ことが多いためです。


匿名協力医師
患者さんへのメッセージ
2015.02.20

脳に出来る癌の一種です。
診断のための手術だけでなく、その後に続く治療も楽なものではないため、しっかりとした説明と理解が必要です。

経過やMRIから本疾患を疑った場合には、まず診断を的確に付ける必要があります。
腫瘍の一部を採取してきて、顕微鏡で細胞を診ることで診断をつけます(病理診断)。
多くの場合は、頭蓋骨に小さな穴を開け、腫瘍に向けて細い針をさすことで腫瘍組織を一部とってきます。腫瘍が大きくて周りの脳をつよく圧迫している場合以外は、腫瘍をまるごと摘出しに行くことはありません。というのも、化学療法が効きやすいとされるタイプの腫瘍だからです。

治療法は化学療法と放射線療法を併用するのが一般的ですが、その細かい内容は施設によって異なることがあります。上記のように化学療法が「効きやすい」とは言っても、根治させることは難しく、生存率や予後の悪い疾患です。再発をきたし化学療法を繰り返さなければならないケースも少なくありません。


匿名協力医師
患者さんへのメッセージ
2015.02.18