Beta 急性大動脈解離についての医師コメント

急に背中に激痛が走ったので…今は痛みはややましですが…、と受診された患者さん。痛い場所に湿布を貼ってから受診なさったのですが、診察時に痛みがあったのは湿布よりもやや低い場所でした。検査してみると、まさに解離が進んでいたのです。突然の激痛はその後やや落ち着いたとしても受診いただくことをおすすめします。

突然胸や背中が痛くなった場合は、一刻を急ぎますのですぐに救急車を呼んで下さい。救急車を呼ぶと隣近所に恥ずかしいと言って救急車を呼ばず助からなかった症例を見たことがあります。

大変緊急性の高い病気です。比較的高齢で高血圧の方が、突然背中や腰が痛くなったら要注意です。血圧のコントロールが予防にはとても重要です。高血圧はしっかり治療しましょう。

・薬とリハビリによる治療
心臓の近くの大動脈に解離が及んでいない患者さんの場合は、手術ではなく薬による治療を行います。痛め止めや血圧を下げる薬をまずは点滴から、そして徐々に飲み薬に切り替えていきます。3週間ほどかけて解離した血管が塞がり、状態が落ち着くのを待ちながら、ゆっくりとリハビリを進めていきます。日常の運動強度で血圧の過度な上昇や痛みの再発が無ければ退院です。その後は外来通院で慎重に経過を観察します。