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白血病

白血病の基礎知識

白血病とは?

  • 骨髄で異常な白血球が増殖してしまう、「血液細胞のがん」にあたる病気
    • 異常な白血球が体の様々な臓器に障害を及ぼす
    • 血液を作る骨髄が異常な白血球を作るばかりになって正常な血球が作られなくなる

症状

  • 骨髄の異常によって正常な血球を作ることができない
    • 赤血球の減少
      貧血が生じ、だるさ、頭痛、息切れ、動悸といった症状が起こりやすくなる
    • 白血球の減少
      ・病原体への抵抗力が低くなり、感染を起こしやすくなる
    • 血小板の減少
      ・血が止まりにくくなる
      ・歯茎からの出血が止まらなかったり、すねに赤い点々が多発する
  • 最初は「かぜをひいたような症状」(だるさ、発熱、頭痛など)のこともあるが、かぜと違って数週間経っても治らず、採血すると白血病が見つかることがある
  • 進行すると異常な白血球が集まることで肝臓や脾臓が腫れて大きくなったり、骨の痛みが起こる

検査・診断

  • 血液検査
    • 白血球の数や、異常な血液細胞の有無を確認する
  • 骨髄検査
    • 骨髄穿刺を行い、白血病細胞の種類を確認する
  • 遺伝子検査
    • 白血病になりやすくなる遺伝子の有無を確認する
  • 白血病のタイプによっては、特に出血しやすいタイプであったり、特定の薬が効きやすいタイプであったりということがあるため、骨髄検査と遺伝子検査は治療法を選択する上で重要な検査

治療

  • 治療は基本的に抗がん剤を使う化学療法
    • 治療期間は、半年から1年が目安になるが、1年以上かかることもある
    • 抗がん剤を使用している期間は基本的には入院が必要
  • 抗がん剤による治療の過程で、重い感染症貧血などが起こることがあり、それらに対する治療も同時に行う
  • 白血病細胞のタイプや治療経過によっては骨髄移植が行われる

白血病に関連する治療薬

代謝拮抗薬(プリン拮抗薬)

  • DNAの構成成分に類似した化学構造をもち、細胞増殖に必要なDNA合成を阻害して抗腫瘍効果をあらわす薬
    • がん細胞は無秩序に増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 細胞増殖に必要なDNAの成分にプリン塩基と呼ばれる物質がある
    • 本剤はプリン塩基と同じ様な構造をもち、DNA合成の過程でプリン塩基の代わりに取り込まれることなどにより抗腫瘍効果をあらわす
  • 本剤は薬剤毎それぞれの作用により抗腫瘍効果をあらわす
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副腎皮質ホルモン(ステロイド内服薬・注射薬)

  • 炎症作用、免疫抑制作用などにより、アレルギー性疾患、自己免疫疾患、血液疾患などに効果をあらわす薬
    • 副腎皮質ホルモンの一つのコルチゾールは抗炎症作用、免疫抑制作用、細胞増殖抑制作用、血管収縮作用などをもつ
    • 本剤はコルチゾールを元に造られたステロイド薬
  • 本剤は薬剤のもつ作用持続時間によって、(作用の短い順に)短時間作用型、中間型、長時間作用型に分けられる
  • 本剤は多くの有益の作用をもつ反面、副作用などに注意が必要となる
    • 副作用の軽減目的のため、抗菌薬や胃薬などを併用する場合もある
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レチノイド製剤(APL治療薬)

  • 骨髄球の分化を妨げる遺伝子の抑制機構を崩すことで異常に増殖した前骨髄球を減少させる薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 急性骨髄性白血病の一つである急性前骨髄球性白血病(APL)は前骨髄球のがん化でおこり染色体異常でキメラ遺伝子が生じ、これが白血球の分化・成熟を阻害し前骨髄球が異常に増加する
    • 本剤はAPLにおけるキメラ遺伝子による白血球の分化抑制機構を崩す作用をあらわす
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アルキル化剤

  • 細胞増殖に必要なDNAに作用しDNA複製阻害作用やDNAの破壊作用により抗腫瘍効果をあらわす薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返し転移することで細胞を障害し組織を壊す
    • 細胞の増殖には遺伝情報をもつDNAの複製が必要となる
    • 本剤は薬剤中のアルキル基というものがDNAに結合することで抗腫瘍効果をあらわす
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分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害薬〔Bcr-Abl〕)

  • 白血病細胞の増殖に必要な異常なタンパク質による働きを選択的に阻害し抗腫瘍作用をあらわす薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 慢性骨髄性白血病では変異した染色体から異常なタンパク質が作られ無秩序な細胞増殖を引き起こす因子となるBcr-Ablチロシンキナーゼという酵素が産生される
    • 本剤はBcr-Ablチロシンキナーゼに結合しその活性を阻害することで、がん細胞の増殖抑制作用をあらわす
  • 本剤はがん細胞の増殖などに関わる特定の分子の情報伝達を阻害することで抗腫瘍効果をあらわす分子標的薬となる
  • 本剤の中には消化管間質腫瘍GIST)に対して抗腫瘍効果をあらわす薬剤もある
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分子標的薬(オファツムマブ〔ヒト型CD20モノクローナル抗体〕)

  • B細胞の表面に発現しているCD20抗原というタンパク質に結合し、結合した細胞を溶解することで抗腫瘍効果をあらわす薬
    • 慢性リンパ性白血病リンパ球B細胞が末梢血、骨髄リンパ節脾臓などで増殖する悪性腫瘍
    • B細胞の表面にCD20抗原というタンパク質が発現している
    • 本剤はCD20抗原に高い親和性で結合しB細胞を溶解する作用をあらわす
  • 本剤は特定分子の情報伝達などを阻害することで抗腫瘍効果をあらわす分子標的薬となる
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分子標的薬(モガムリズマブ〔ヒト化抗CCR4モノクローナル抗体〕)

  • 腫瘍細胞の表面に発現しているCCR4に結合し腫瘍細胞を障害する薬
    • 成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)ではリンパ球T細胞のがん化がおこる
    • 多くのATLでは白血球遊走の因子となるケモカインの受容体であるCCR4というものが強く発現している
    • 本剤は腫瘍細胞の表面で強く発現しているCCR4に結合することで腫瘍細胞を障害する作用をあらわす
  • 本剤は特定分子の情報伝達などを阻害することで抗腫瘍効果をあらわす分子標的薬となる
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分子標的薬(アレムツズマブ〔ヒト化抗CD52モノクローナル抗体〕)

  • 白血球細胞の表面に発現しているCD52抗原というタンパク質に結合し、結合した細胞を溶解する作用をあらわす薬
    • 慢性リンパ性白血病(CLL)はリンパ球B細胞が末梢血、骨髄リンパ節脾臓などで増殖する悪性腫瘍
    • B細胞、T細胞及びCLL細胞などの表面にはCD52抗原というタンパク質が発現している
    • 本剤はCLL細胞の表面のCD52抗原に結合し細胞溶解作用をあらわす
  • 本剤は特定分子の情報伝達などを阻害することで抗腫瘍効果をあらわす分子標的薬となる
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