たいじょうほうしん
帯状疱疹
水ぼうそうを起こすウイルスの感染が原因。身体の一部に、帯のように痛みのある赤いぶつぶつができる
22人の医師がチェック 195回の改訂 最終更新: 2022.05.27

帯状疱疹の基礎知識

POINT 帯状疱疹とは

帯状疱疹は水痘帯状疱疹ウイルスの感染によって起こります。最初の感染で水ぼうそう(水痘)が起こり、それが治った後も水痘帯状疱疹ウイルスは神経に潜んでいます。しばらくしてから潜んでいたウイルスが再活性化することで帯状疱疹が起こります。帯状疱疹の症状は、皮膚の痛み・かゆみ・違和感と水疱がメインになります。皮膚の症状が神経に沿って帯状に起こるため帯状疱疹といいます。目や耳の周囲に症状が出た場合は、重症になりやすいので直ちに医療機関を受診して下さい。 帯状疱疹の診断には、皮膚の診察や顕微鏡の検査(Tzanck試験)を行います。治療には抗ウイルス薬を用います。帯状疱疹が心配な人や治療したい人は、皮膚科・感染症内科・総合内科・小児科を受診してください。

帯状疱疹について

  • 身体の一部に、痛みのある発疹(赤いぶつぶつ)が帯のように列になって現れる病気
    • 通常は身体の片側に症状が出ることが多い
  • ヘルペスウイルスの仲間である「水痘・帯状疱疹ウイルス」が原因
    • ウイルスは水痘水ぼうそう)が治った後も神経の中で眠っていて、そのウイルスが再活性化して皮膚に症状を起こす
  • 痛みや違和感がでて、水ぶくれ、赤みなどの皮膚の症状が帯状に現れる
    • 加齢やストレス、過労などにより免疫力が落ちたときに起こりやすい
    • 頭部や顔面に症状が出た場合は髄膜炎になりやすいので注意が必要である
    • 目の周りに症状が出た場合は視力低下の原因となるので注意が必要である
  • 高齢者に多いが、若年者でも見られる
    • 6-7人に1人程度が、一生のうちに一度は帯状疱疹を経験すると言われている
  • 身体の広範囲に皮疹が出た場合(汎発性帯状疱疹、播種性帯状疱疹)は、ウイルスが全身に回っているような重症な状況が予想されるため医療機関にかかることが望ましい
    • 重症であることと周囲への感染力が高いことから、入院治療(個室管理)が必要になる場合が多い
  • 髄膜炎になった場合も入院治療が必要となる
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帯状疱疹の症状

  • 主な症状
    • 体の一部にぴりぴりとした痛みや違和感、痒みが出て、その後同じ場所に赤みや水ぶくれができてくる
      • 顔や胴体に出やすい
    • 痛みがひどい人では皮膚の症状が落ち着いても違和感や痛みが残りやすい
  • およそ3週間ほどで症状は治まるが、痕はしばらく残ってしまうことが多い
  • 皮膚の跡が消えても痛みが消えない状態になることがあり、これを帯状疱疹後神経痛という
    • 帯状疱疹後神経痛による痛みは非常に強いことがあり、これに対してペインクリニックで専門的に治療してもらうことが望ましい
  • 眼や耳の近くに症状が出た場合は合併症に注意が必要
    • 眼の場合は最悪の場合失明眼部帯状疱疹)、耳の場合はめまい、顔がひきつれるなどの症状(耳性帯状疱疹)が出てくることがあるため必要に応じて眼科や耳鼻科を受診する
症状の詳細

帯状疱疹の検査・診断

  • 痛みや違和感、水ぶくれ、赤みの場所など特徴的な症状から診断される
  • 水疱の中にある液体を顕微鏡で観察して帯状疱疹や単純疱疹に特徴的な細胞(巨細胞)が存在するかどうかをみる(Tzanck試験)
  • 診断と同時に免疫が低下する背景がないかを調べられることもある
    • 免疫抑制剤の使用
    • HIV/AIDS

帯状疱疹の治療法

  • ウイルス薬による治療を行う
    • 皮疹が出てから48時間以内に治療を行わないとあまり効果がないことが分かっている
    • 通常は飲み薬だが、重症の人は入院して点滴治療を行うこともある
    • 身体が疲れて免疫が落ちているときに出てくることが多いため安静にすることも重要
    • 治療を行うことで帯状疱疹後神経痛の出現率が下がることが期待される
  • 痛みに対しては、対症療法で痛み止めを使用する
    • 皮膚の症状が落ち着いても痛みが残るときは、長期的に痛み止めが必要になることがある
  • 痛みがひどい人にはペインクリニックでの専門的な治療も検討される
  • 基本的には温めた方が痛みが取れるが、症状が出始めた直後に関しては、冷やした方が痛みが取れることがある
  • 50歳以上の人は予防のためワクチン接種が可能
    • 生ワクチンは7,000円〜10,000円程度。1回の接種で6割程度有効。
    • 不活化ワクチンは2回の接種が必要で、合計40,000円〜50,000円程度。不活化ワクチンの方が効果が高い。
治療法の詳細

帯状疱疹に関連する治療薬

非ステロイド性抗炎症薬(皮膚疾患治療薬・外用薬)

  • 抗炎症作用などにより、皮膚の赤みや腫れ、痛みや痒みなどを和らげる薬
    • 炎症や痛みなどを引き起こす体内物質にプロスタグランジン(PG)がある
    • PGはシクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素などにより生成される
    • 本剤はCOX阻害作用などにより炎症などを緩和する作用をあらわす非ステロイド性の外用塗布剤
  • 本剤は帯状疱疹などの皮膚疾患に使用する場合もある
非ステロイド性抗炎症薬(皮膚疾患治療薬・外用薬)についてもっと詳しく

ヘルペスウイルス感染症治療薬

  • ウイルス増殖に必要なDNA複製を阻害し、ヘルペスウイルスの増殖を抑え単純疱疹や水痘、帯状疱疹などを治療する薬
    • 単純疱疹、水痘、帯状疱疹などはヘルペスウイルスが原因で発症し、ヘルペスウイルスに感染すると水ぶくれができ痛みや発熱などが生じる場合がある
    • ウイルスが増殖するには遺伝情報が刻まれているDNA複製が必要
    • 本剤はウイルスのDNA複製を阻害することで抗ウイルス作用をあらわす
  • 発症した疾患や腎機能の状態などによって各薬剤の服用量が異なる場合がある
  • ヘルペスウイルス(帯状疱疹ウイルス)の関与があるとされる片頭痛に対して使われる場合もある
ヘルペスウイルス感染症治療薬についてもっと詳しく

帯状疱疹の経過と病院探しのポイント

帯状疱疹が心配な方

帯状疱疹では、主に片側の胸から背中に皮膚の赤みや水ぶくれ、そして痛みが出現します。痛みが先行してあとから皮膚の異常が出現する(最後まで皮膚の変化が出ないこともあります)ため、初期には診断がつきにくい病気の一つです。

ご自身が帯状疱疹でないかと心配になった時、もしかかりつけの内科クリニックがあれば、まずはそこで相談してみることをお勧めします。特に普段かかっている病院がなければ、皮膚科のクリニックも良いでしょう。

帯状疱疹に関連する診療科の病院・クリニックを探す

帯状疱疹でお困りの方

帯状疱疹はウイルス感染が原因の病気ですので、治療は抗ウイルス薬の内服になります。基本的には診断がつき次第その場で治療が開始されますし、初期治療の方法にバリエーションが少ないため、どこでどのような治療を受けるか迷う余地は少ない病気かもしれません。

帯状疱疹の治療経過で悩む場合があるとすれば、痛みが強い場合や痛みがなかなか改善しない場合でしょう。帯状疱疹では、痛み止めを内服しても残念ながら痛みがゼロになるというわけではありません。しかし、中には極端に痛みが強くて日常生活がままならなくなる方や、数週間たっても痛みが治まらないというような方もいます。そのような場合にはペインクリニックといって、痛みに対する治療を専門とする診療科があります。

ペインクリニックは、麻酔科の医師が担当していることが多いです。ブロック注射といって、首の前方に注射をして神経を麻痺させることで痛みを改善させるような処置が行われたりします。専門性が高く特殊な治療のため、最初からすぐに受診するような科ではないかもしれませんが、一つの手段として頭に入れておかれても良いかもしれません。

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帯状疱疹が含まれる病気

帯状疱疹のタグ

帯状疱疹に関わるからだの部位