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急性虫垂炎(盲腸)

急性虫垂炎(盲腸)の基礎知識

急性虫垂炎(盲腸)とは?

  • 一般的に盲腸と言われている病気
    • 右の下腹部にある虫垂(ちゅうすい)に、細菌が感染した状態
    • 「盲腸」という呼び名で広く知れ渡っている
    • 本来の盲腸は、虫垂の隣に位置する構造であり虫垂とは別のもの
  • 腸の粘膜のむくみリンパ節がはれることで腸の中の圧が上がり、感染を起こしやすくなる
    • 年長者や成人では糞石(ふんせき:老廃物が腸内で石状になったもの)が原因になっていることが多い
  • 子供から成人まで、様々な年齢で起こる
    • 5-20歳に多い(1歳未満ではまれ)
  • 無治療では発症から48-72時間で穿孔(腸にあながあく)を起こす確率が上がる

症状

  • 主な症状
    • 腹痛
      ・典型的にはまずみぞおち周囲が痛くなった後に、右の下腹部に痛みが移動する
      ・初期よりも、症状が進んでからの方が痛みの部位がはっきりしてくることが多い
      ・お腹をかばうように背中をまるめて、ゆっくりと歩くようになる
    • 発熱:腹痛出現後しばらくしてからみられる
    • 嘔吐:頻度は高くない
    • その他に軽度の下痢や頻尿がみられることもある
  • 穿孔すると、菌がお腹の中に広がる
    • お腹全体の激しい痛み
    • 状態が悪いと敗血症DICなどを起こして重症化する
  • 年少児では症状が典型的ではないことが多く、診断が難しい
    • 一方で虫垂の壁が薄く、穿孔しやすい(30-60%)

検査・診断

  • 血液検査
    • 血液中の白血球数などの項目を見ることで、炎症の程度を調べる
  • 画像検査:虫垂炎の診断や炎症が広がっている範囲を調べるために行う
    • 腹部超音波検査
    • 腹部X線レントゲン)写真
    • 腹部(造影CT検査
  • 超音波検査で虫垂の腫大(はれていること)や糞石の存在が確認できた場合、腹部CT検査は必ずしも必要ない
  • 特に年少児では、他の病気を否定するために詳しい検査が必要になることがある

治療

  • 抗菌薬による治療
    • 程度が軽いものであれば、抗菌薬と絶食で様子をみることもある(俗に「散らす」という表現をされる治療)
    • 抗菌薬の効果が不十分だと、進行して穿孔する危険性がある
  • 手術
    • 開腹手術と腹腔鏡下手術の2種類がある
    • 標準的な所要時間は1−2時間
    • 診断後すぐに手術をする場合と、抗菌薬を使って症状が落ち着いた段階で手術をする場合がある
  • 炎症の進行の程度や再発の危険性などを踏まえて治療法を選択する

急性虫垂炎(盲腸)の経過と病院探しのポイント

この病気かなと感じている方

急性虫垂炎ではみぞおちから右下腹部の痛み、吐き気や発熱といったような症状がみられます。

急性虫垂炎を主に診療する診療科は、一般外科、消化器外科、大腸外科などです。急性虫垂炎は手術が必要となることが多いですが、手術ではなく抗生物質の点滴で治療を行う場合などは、消化器内科で診療を行うこともあります。急性虫垂炎は、生涯で7人に1人が発症するとも言われており、外科疾患の中で最も一般的な病気の一つです。

急性虫垂炎の診断は腹部エコーまたはCTで行います。国内の総合病院であればほとんどのところにエコーやCTの設備がありますので、診断のために特別な病院を選択しなければならない、ということはありません。


この病気でお困りの方

急性虫垂炎の根本治療としては、手術が必要となることが多いです。そのため、外科のある病院が適しています。大学病院など、特殊な大病院でなければ治療が受けられないということはありません。症状が弱い、血液検査や腹部CT炎症の及んでいる範囲が小さい、元々病気がなく健康な方である、など様々な条件が重なった場合には手術ではなく抗生物質の点滴で治療を行うこともありますが、その場合も経過が思わしくなければすぐに手術に切り替えられる準備をしておく必要があります。

手術を行う場合には、大きく分けて二通りの手段があります。開腹手術(お腹に傷を開けて行う手術)と腹腔鏡下手術(お腹に小さな傷を複数開けて内視鏡で行う手術)です。

腹腔鏡下手術の方が傷口が小さくて済むために術後の回復が早い、傷口が目立ちにくいというメリットがある一方で、外科医にとっては開腹手術の方が病気の部位に直接手を触れられるので手術が正確に行いやすいというメリットがあります。病院によってどちらの手術を主体で行っているかが異なるため、受けられる治療が変わってきます。

虫垂炎の手術は、診断がつけばその場で緊急で行われることが多いです。平日の日中であれば良いのですが、土日祝日や夜間は院内に残っているスタッフが少ないため、緊急で手術を行える病院と、そうでない病院があります。ある程度の規模の病院や、外科手術の手術件数が多い病院の方が、時間外の緊急手術により迅速に対応できるところが多い傾向にあります。





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