あとぴーせいひふえん
アトピー性皮膚炎
アレルギーが原因の皮膚の病気。強い痒みのある湿疹が良くなったり悪くなったりしながら慢性的に出現する
24人の医師がチェック 212回の改訂 最終更新: 2024.03.08

Beta アトピー性皮膚炎についての医師コメント

アトピー性皮膚炎には皮膚バリア、アレルギー炎症、かゆみの3つの視点で考えることができます。
皮膚バリアというのはいわゆる角層と言われるようなきれいな皮膚がある状態です。アトピー性皮膚炎の患者さんはこの皮膚のバリアが弱くなっていることが多いです。
皮膚のバリアが弱くなってしまうと、抗原(アレルゲン)がこの皮膚から侵入してきます。本来皮膚から入ってこないものが入ってくるわけですから、体は異物と認識してこれを排除するために炎症を起こします。これがアレルギー炎症です。この炎症を起こしたときにかゆみ成分が出て、かゆみを引き起こします。かゆみがあるので掻いてしまうと皮膚はさらにダメージを受けて、皮膚バリアが壊れます。
したがって治療はこれらに対応することになります。
まず炎症が強い状態をよくしてあげるためにステロイドの外用剤を使います。ステロイドの種類は皮膚の状態によるので、かかりつけの先生に指示を受けてください。これで炎症を抑えてあげると皮膚の状態も改善してきます。このいい状態を保つために保湿剤の外用薬も併用します。次にこの状態を維持することを考えます。
ステロイドをいきなり中止するとアトピーが再燃することが多いです。アトピー性皮膚炎の皮膚は一見正常になったように見えても、皮膚の中には炎症細胞がまだ存在して、また炎症を起こすリスクが高いからです。したがってステロイド外用薬を2日に1回とか週に2回とか少しずつ減量していきます。これをプロアクティブ療法と言います。プロアクティブ療法の間も保湿剤等の使用は続けていきます。

上記の理屈で考えると皮膚は必ずいい状態でキープすることが大事ということが分かると思います。ステロイドを減らしたい一心でかゆいのを我慢したりするのは治療上よくありません。通常通り治療できる範囲では、ステロイド外用剤の副反応はほとんどないので、いい皮膚を保ちながら減量してください。


匿名協力医師
病気や薬の豆知識
2016.11.05

アトピー性皮膚炎の治療に用いられるステロイド治療薬の副作用に関して、強い不安を持っている患者さんがよくいらっしゃいます。
確かに、長期使用を行うと、多毛、皮膚がうすくなるなどの症状はみられる事がありますが、内服のステロイド薬と同様の副作用が出現する事はありません。
アトピー性皮膚炎を悪化させると、湿疹のかゆみなどで日常生活に支障をきたす他、体から水分が失われ、脱水、電解質異常まできたし命の危険に及ぶこともあります。
すべての湿疹にステロイド薬が必要なわけではありませんが、不必要に怖がらず、適切な強さの薬を適切な期間塗る事で、明らかな改善がみこめます。不安な事はかかりつけの皮膚科医、小児科医に相談しましょう。


匿名協力医師
病気や薬の豆知識
2015.11.12

 アトピー性皮膚炎は皮膚科の中でも非常に患者さんの数が多い病気で、数多くの人が悩んでいる病気です。以前ほどではないものの現在もいわゆる’アトピービジネス’という苦しむ患者さんの弱みにつけこんだ極めて根拠に乏しい高額な自費治療も行われているようです。
 アトピー性皮膚炎は悪くなる原因を避けること、保湿を中心としたスキンケアをすること、適切な量の外用剤を使うことで少なくとも無治療の状態よりは確実によくすることができます。一度の治療で治ってもう皮膚炎で悩むことがなくなる・・といった病気ではなく、慢性的に症状が繰り返す病気なので定期的に皮膚科を受診してコントロールしていくことが重要になります。
 信頼できる皮膚科を見つけて継続して通院することをおすすめします。


匿名協力医師
患者さんへのメッセージ
2015.04.17

・多くの子供とそのご家族が悩んでいる病気です。特効薬や根治の方法は現在のところ医学的に証明されたものはありません。最も大切なのは、日々の生活で皮膚を健康な状態に保ってあげることです。迷っていること、困っていることがあれば医師に相談して、納得した治療を受けるようにしましょう。


匿名協力医師
患者さんへのメッセージ
2015.03.16

残念ながらあやしげな民間療法がまかり通る病気でもあります。「毒素」による病気であるとか、なんとか水で治る、というのは間違いです。
アトピー性皮膚炎はアレルギー疾患です。アレルギー疾患とは自分が本来、外から入って来た細菌やウイルスを殺すための免疫が、自分自身を攻撃してしまう病気です。自分を攻撃してしまう理由は、卵などのアレルゲンと呼ばれる蛋白と自分の皮膚が免疫が区別がつかなくなってしまうからです。
ですので、免疫が間違って自分を攻撃してしまうのを減らすための治療(ステロイド、抗アレルギー剤)や、間違いを減らす事(アレルゲンの除去)、免疫が自分を攻撃をしたくなるような炎症を減らす事(皮膚の保湿や、ひっかきの軽減で常に炎症を押さえる)が治療の主体になります。


匿名協力医師
患者さんへのメッセージ
2015.02.14